この曲は、ベートーヴェンが 20数年前に作ったピアノ三重奏曲(Op.1-3、1792-94)を弦楽五重奏曲に「編曲」したものだが、その経緯がちょっと面白い ♪
Op.104
🎼 List of works by Ludwig van Beethoven
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🎼 List of works by Ludwig van Beethoven
現存する筆写総譜には、自筆で次のようなユーモラスなメモが書いてあるらしい。
「篤志家氏により3声部の五重奏曲に編曲された三重奏曲。そして大いなるみすぼらしさからそこそこの外見にまで高められるごとく、好意氏により見かけ上の5声部から真の5声部へと変貌せられた。1817年8月14日。注: 元の3声部五重奏曲の総譜は厳かな燔祭の生贄として地下の神々に捧げられた」
「篤志家」=アマチュア音楽家ヨーゼフ・カウフマンによって編曲された見かけだけの 3声部の「五重奏」を、「好意氏」=ベートーヴェンが本当の五重奏に仕立て直した。
つまり、カウフマンの編曲に我慢できなかった?ベートーヴェンが、完全な五重奏にするために「赤入れ」をしたらしいのだ…(^^;)。その結果が Op.104 として出版された。
以上、下記の土田英三郎氏の論文による。下の筆写総譜の写真もここからお借りしたもの。
✏️「いっそうの普及と収益のために」(国立音大資料 PDF)
─編曲家としてのベートーヴェン─
ちなみに、2004年 9月の「図書館展示」の資料(↓)もなかなか興味深い。
✏️ベートーヴェンの編曲作品(国立音大資料 PDF)
この「赤入れ」については、PTNA(ピティナ)の丸山瑶子さんの「編曲と音楽、その歴史」という連載に詳しく書かれている。第18回(↓)〜第20回あたり。
私にはちょっと専門的すぎて難しいが、興味のある方はどうぞ…(^^;)。
✏️ 18.オリジナルに「忠実に」より、その「ジャンルらしく」(PTNA)
YouTube で聴いたのはこれ(↓)。ケルンWDR交響楽団(WDR Sinfonieorchester Köln)のメンバーによる演奏だが、メリハリがあってなかなかいい演奏だと思う ♪
元のピアノ三重奏曲(Op.1-3)も改めて聴いてみた。
いつもはピアノの入っている版(ピアノ三重奏曲)の方が気に入るはずなのだが、今回はなぜだか弦楽五重奏版の方が気に入った ♪ 弦の響きの厚みが魅力なのかも…(^^)?
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