2020年6月24日水曜日

BTHVN op.29: 弦楽五重奏曲 ハ長調「隠れた名作」♪

「ベートーヴェンの全作品を聴く」プロジェクト《All BTHVN 🎧》、今日は Op.29、弦楽五重奏曲 ハ長調(1801: 31歳)。「嵐」"storm" という標題が付けられることもある。

ベートーヴェンには 3曲の弦楽五重奏曲があるが、オリジナルの作品はこの Op.29のみ。他は、 Op.103の管楽八重奏《パルティア》の改作である Op.4と、ピアノ三重奏曲 Op.1-3 を編曲した Op.104 である。


Op.29

🎼 List of works by Ludwig van Beethoven


平野昭氏の解説を読むと、この作品が「嵐」と呼ばれる理由が少し分かる。

「(この作品は)交響曲第1番を完成させた後であり、バレエ音楽《プロメテウスの創造物》を作曲していたころに着手されたと思われる」

「注目すべきは終楽章だ。8分の6拍子の急速なプレスト楽章で、強いアクセント打撃で和音を、ピアニッシモでトレモロ奏する高音域に、第1ヴァイオリンがまるで閃光が走ったかのような鋭い音形で割り込む」

「この開始部には、ハ長調でありながら嵐のような不気味さが漂う。これはまさしくバレエ音楽《プロメテウスの創造物》の序曲後の導入曲《ラ・テンペスタ(嵐)》の木霊であり、7年後の交響曲第6番《田園》第4楽章「雷鳴・嵐」につながる、遠い前触れ予震だ」

【出典】
✏️ベートーヴェン唯一のオリジナル・クインテットは隠れた名作「弦楽五重奏曲 ハ長調」


この曲を YouTube で聴いて初めに感じたのは、弦楽四重奏にヴィオラを一つ追加しただけなのに、とても重厚な響きがすることだ。

第1楽章冒頭から名曲の予感を感じさせる「本物」の(authentic な)印象。全体の構成もきっちりしていて、平野昭氏の言うように「隠れた名作」と言っていいだろう。

♪ Ludwig van Beethoven: String Quintet "Storm" Op.29 Bowman, Löscher, Dann, Camille, Lester, "Live"


演奏は、ヴァイオリンが Benjamin Bowman と Cornelia Löscher、ヴィオラが Steven Dann と Michel Camille、チェロが Richard Lester。知っている名前が一人もいない…(^^;)。

2011年、エスビャウ国際室内楽音楽祭での演奏。エスビャウ(Esbjerg)はデンマークの南、海に面した都市である。

この音楽祭の特徴の一つが、色んな演奏家を集めて新しいコラボレーションを実現させることのようだ。この五重奏の組み合わせも初顔合わせなのかも知れない。それにしては、とてもいいアンサンブルを聴かせてくれる ♪


これだけのいい曲なので、CDでもいい演奏がないかと探してみた。思ったほど録音の数は多くない。弦楽五重奏というのは特別に編成する必要があるからだろうか。例えば、弦楽四重奏団がヴィオラ奏者を一人探してくるとか…。

Spotify で探した中では、この Kammerensemble de Paris の演奏(↓)が一番気に入った。上の YouTube の演奏よりは音がやや軽やかな印象だが、まぁ、録音の影響かもしれない。


Beethoven: Septet in E-Flat Major, Op. 20 - String Quintet in C Major, Op. 29




Kammerensemble de Paris については、なぜか日本語に対応した公式サイト(↓)がある。

✏️カンマー・アンサンブル・ドゥ・パリ


それによると、この室内楽アンサンブル(弦楽器と管楽器)は 1990年に、ヴァイオリニスト Jean-Claude Bouveresse(ジャン=クロード・ブーヴレス)によって立ち上げられ、メンバーが入れ替わりながら現在まで続いている室内楽団だ。

弦楽六重奏(ヴァイオリン×2、ヴィオラ×2、チェロ×2)、コントラバス、木管五重奏(フルート、オーボエ、クラリネット、バスーン、ホルン)という編成で、メンバーは国際コンクール受賞者とオーケストラのソリスト12名とのこと。

上のCDは 1995年の録音。


それにしても、いい曲と演奏に巡り逢えて今日はとてもいい気分だ ♪ 《All BTHVN 🎧》プロジェクト、やっててよかった…😊。



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