昨年は、自分なりにランキングをつけて「10大ニュース」にしてみた(↓)が、今年はそれほど数もなくランクづけも難しかったので、いくつかのテーマに分けて振り返ってみることにした。
巨匠の訃報
●ピエール・ブーレーズ
今年は年明け早々、現代音楽の巨匠、ピエール・ブーレーズの訃報が飛び込んできた。
その音楽や演奏にそれほど親しんできた訳ではないが、それでもその名前の大きさは何となく分かっていたつもりである。現代の音楽の流れの中で一つの区切りとなるだろうことは十分に想像できる。
●エイノユハニ・ラウタヴァーラ
エイノユハニ・ラウタヴァーラ(Einojuhani Rautavaara)は、7月27日に87歳で亡くなったフィンランドの代表的な作曲家。その訃報で初めて名前を知った作曲家である。
ところが、そのピアノ曲を聴いたとたん、とても惹きつけられるものを感じた。記事のタイトルにもしたが「かっこいい!♪」と感じたのだ。
しかし、その「かっこいい」曲は難易度が高い上に、私の苦手なパターンが多く「好きなピアノ曲は永遠に弾けないのかも…」と思ってしまった。…のだが、やさしい曲を見つけて、練習できたのは嬉しかった ♪
●中村紘子
日本人では、日本を代表するピアニストであった中村紘子さんが7月26日に亡くなられた。72歳になられたばかりであった。
日本のピアノ界を変革して行く中心になってほしいと期待していた人だったので、本当に残念である。
訃報をきっかけに著書を3冊読んだが、どれも面白かった。文筆家としての素晴らしさにも遅ればせながら接することができた。
ノーベル賞、アーティスト・オブ・ザ・イヤー
●ボブ・ディラン
受賞関連では、ピアノではないが、一番驚いたのはボブ・ディランのノーベル文学賞の受賞であった。
一時は辞退するのでは?とか授賞式に出ないのでは?などと世間を騒がせもした。何よりも、ボブ・ディランがなぜ文学賞?と各界の著名人からも疑問が呈されもした。
…が、私の若い頃に親しんだアーティストが、この大きな賞を受賞したことは何となく嬉しいものである。
●ダニール・トリフォノフ
たまたま、海外の「クラシック音楽界の12大出来事」という記事を見て、トリフォノフが取り上げられているのを知った。
その記事では、ドイツ・グラモフォンから出ている『超絶! トリフォノフ・プレイズ・リスト』というCDでの、リストのエチュード録音が評価されていた。
…が、チェックしてみると、グラモフォンの「アーティスト・オブ・ザ・イヤー」も受賞している。
カーネギーホールのシューマンも良かったし、トリフォノフ君、婚約をきっかけに?かなり調子を上げてきたようだ。
●ユジャ・ワン
ユジャ・ワンも「アーティスト・オブ・ザ・イヤー」に選ばれている。こちらは、"Musical America" というクラシック音楽メディアによる選出。
受賞理由の中に「曲に合わせた目を見張るような衣装…」「音楽の輝きとともにヴィジュアルな美しさ…」などが含まれるのが、ちょっと笑える…かも…(^^;)。
復帰した大物ピアニスト
●イーヴォ・ポゴレリッチ
ポゴレリッチが18年(21年?)ぶりに新しい録音を発表したというニュースがあった。といっても、CDではなく "IDAGIO" というサイトでのネット配信のみ。
このサイトに無料アカウント登録はしたのだが、7日間限定のプレミアム会員お試しを失念していて、聴きそびれてしまった…(^^;)。
そういえば、つい最近の来日公演はどうだったのだろう? ネットにはほとんどレビューらしいものは見当たらないのだが…。
●ピョートル・アンデルシェフスキ
3月にアンデルシェフスキ(アンデルジェフスキ)が長期休養に入った!というニュースにがっかりしていたら、6月の終わりにいつのまにか復帰していたという…。その真相は未だに謎…(^^;)?
国際ピアノコンクール
去年の「ピアノコンクールの当たり年」で、コンクール(をネット配信で聴くこと)の面白さを知った。その勢いで、今年もいくつかのコンクールを聴いてみたが…。
●エリザベート王妃国際音楽コンクール
5月に行われたこのコンクールが、日本人2人(今田 篤、岡田 奏)がファイナルに残ったこともあり、一番聴いたかも知れない。が、終わってみると、残念ながらあまり印象に残るピアニストはいなかった。
●仙台国際ピアノコンクール
6月に行われたこのコンクールも、私の中ではほとんど盛り上がらなかった…。
●シドニー国際ピアノコンクール
7月に行われた、このコンクールは「物珍しさ」的な意味で興味深かった。オーストラリアでこんな規模のピアノコンクールがあるんだ!とかオーストラリアの作曲家・ピアニストってけっこういるんだ!とか…。
特徴の一つは、コンテスタントたちは4種類のピアノ(YAMAHA、FAZIOLI、Steinway、KAWAI)を弾かなくてはならないというもの。これはなかなか面白いと思った。
それなりに楽しめたが、ここでもお気に入りのピアニストは見つからず…。
ピアノコンクールの改革
何かと議論される「ピアノコンクール」であるが、2015年・2016年と聴いてきて、やはりチャイコフスキー・コンクールとショパン・コンクールが飛び抜けていて(2015年はとくにチャイコン!)、その他は今ひとつ…というのが正直な感想である。
で、当事者(主催者とか審査員とか…)たちも何とかしたいと思っているらしく、いくつかの動きが見られる。
●シドニー国際:ピアーズ・レイン改革
上の項目で取り上げたシドニー・コンクールであるが、こういう規模・やり方になったのは実は今年からだったらしい。ネットのストリーミング配信も初めてだし、入賞者に対する手厚い支援も今年からだそうだ。
で、その「改革」を推し進めたのがピアーズ・レイン(Piers Lane)というオーストラリアのピアニストである。その内容に関する記事(英文)があったので、ブログで取り上げた(↓)。
●リーズ国際:ポール・ルイス改革
そして、惨憺たる結果?に終わった2015年のリーズ国際コンクール。コンクール後の記事には「記憶にある限り最も低調なコンクール」とまで言われてしまっている(↓)。
そのリーズも、昨年新しい芸術監督にポール・ルイス(Paul Lewis)と、アダム・ゲートハウス(Adam Gatehouse)の二人が決まり、「改革」を推進することになった(↓)。
そして、今年の秋に新しい「ヴィジョン」が発表された。
内容は、入賞者への手厚い支援(マネジメント会社との契約、ポール・ルイス等によるメンタリング、コンサートや録音の機会等)や Medici.tv によるストリーミング配信など、よくある内容だが、フェスティバルなどの関連イベントにも力を入れることになっている。
まぁ、実際には2018年の次回コンクールを見てみないと何とも言えないが、期待はしたいと思う。
ちなみに、同じく去年低調だったロンティボー国際コンクールも、今年1月に「1年の休止」=「1年かけてコンクールのあり方自体を見直し再構成する("a time to redesign contest" )」を発表している。
来年は5月末からのヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールくらいかな…(^^)♪
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