「記憶にある限り最も低調なコンクール」とまで言われた前回(2015年)のコンクールからの「復活」はなるのか?
リーズ公式サイトのニュースリリースやガーディアンの記事などから、概要を見てみたい。
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まず、第1ラウンドは、ベルリン、ニューヨーク、シンガポールの3カ所で行われることになる。そこから20〜25人が選ばれて、半年後の第2ラウンドに招待される。
参加しやすくすることと、聴衆を増やすことが目的と言っているが、そこに行けない私としては Medici.tv(チャイコンと同じ…)でのストリーミング配信されることの方が嬉しい。(BBCのラジオ・テレビも継続:セミファイナル〜)
聴衆向けには、コンクール中にいろんなイベントをやるようだ。マスタークラス、トーク、ディスカッション、映画、そしてセミファイナルでの室内楽(new chamber music element)の導入?。
マスタークラスなどもストリーミングしてくれるといいのだが…。
さらに、リーズとロンドンにおいて「リーズ・ピアノ・フェスティバル」というのを新しく始めるとのこと。第1回目は2018年の5月。9月のコンクールに先駆けてということになるらしい。
で、もっとも重視しているのが、入賞者たちへのフォローアップの充実。ポール・ルイス自身もメンターとして名乗りをあげるほどの力の入れ方だ。
Askonas Holt という、有名な(らしい…)クラシック・アーティストのマネジメント会社による「長期の」サポートをはじめ、BBCによるコンサートや録音機会の提供、ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団との2018/19年シーズンのコンチェルト(ソリスト)契約などが含まれる。
面白いのは、Askonas Holt との契約は必ずしも優勝者ではなく1位〜3位の中から選ばれるとのこと。マネジメント会社側の「選ぶ権利」もあるよ、ということらしい。
これはある意味正しいと思う。ピアニストとしての力量と「売れる」かどうかは必ずしも一致しないだろうから…。
ちなみに Askonas Holt 社の契約ピアニストには、ピョートル・アンデルジェフスキ、ダニエル・バレンボイム、ボリス・ベレゾフスキー、エフゲニー・キーシン、マレイ・ペライア、アンドラーシュ・シフなどすごいピアニストが名を連ねている。
課題曲は、できるだけ制限をなくしたいと言っている。が、あまり自由にすると、逆にありきたりの曲ばかりになる危険性もあると思うのだが…。
セミファイナルでは、2つのリサイタルプログラムになりそうだが、500語の作文「私はなぜこのプログラムを選んだか」?も課されるらしい。これは公開されるのだろうか?審査対象となるのだろうか?
セミファイナルでは室内楽もやるようだし、ファイナルでは2つのコンチェルト(古典派とロマン派以降?)が課されるようだ。コンペティターは大変そうだ…。
ポール・ルイス自身はコンクールが嫌いだったそうで、「神経をすり減らす競争ではなく、参加者が音楽家として演奏を聴いてもらえる音楽祭のような環境を作りたい」と言っているのだが、果たして…?
審査員は、学校の先生よりも現役のピアニストが中心となるらしい。
ポール・ルイス(委員長)以外に名前の上がっているのは、ラルス・フォークト(Lars Vogt)とイモージェン・クーパー(Imogen Cooper)という人。
まぁ、実際にどうなるかは2018年のコンクールのフタを開けてみないと分からない。計画通りに実現できるかどうかということもあるし…。
個人的には、高品質の Medici.tv でのストリーミング配信があるだけで大進歩だと思う。やっと、時代に追いついたというだけのことだろうが…。
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