2016年12月23日金曜日

2016年:今年出会ったピアニスト

「今年出会ったピアニスト」というタイトルにしたのだが、振り返ってみると、新しく出会ったお気に入りのピアニストはそれほどいない…。

一応 [ピアニスト探索 2016] という一覧表を作って「探索」しようとは思っていたのだが、なかなかいいピアニストに遭遇しないうちに、自分の中でピアニスト探しも下火になっていったようだ。

去年はコンクールもあって、沢山いた(↓)のに…。



…ということで、ベスト10などは無理そうなので、思いつくままに書いてみようと思う。

高齢者ピアニストの輝き


今年はなぜか、ご高齢のピアニストとの出会いが多かった。単に、私が昔の有名なピアニストを知らなかっただけ…(^^;)?


●クルターグ・ジェルジュ:90歳

ピアニストというより作曲家として有名なのかも知れない。「ウェーベルンの後継者、コチシュ・ゾルターンの師匠」だそうだ。1926年2月19日、ルーマニア生まれ。

ご夫妻で訥々とピアノを弾く姿が、いや演奏も、なかなか味があっていいと思う。





●フレデリック・ジェフスキー:78歳

この人も基本的には作曲家。イゴール・レヴィットの3大変奏曲のCDで、「不屈の民変奏曲」の作曲家として遭遇した。1938年4月13日 アメリカ生まれ。


でも、本人の演奏(↓)もなかなか良かったのだ。

♪ FREDERIC RZEWSKI The People United Will Never Be Defeated! Pt.1/5 / Pt.2/5 / Pt.3/5 / Pt.4/5 / Pt.5/5
※追記@2023/05/30:再生不可


●エリソ・ヴィルサラーゼ:74歳

「何を今さら…」という感じの有名人だと思う。名前は知っていたが、ちゃんと聴くのは(YouTube で…)今年の3月が初めてであった。

『ピアニストの系譜』によれば、「ゲンリヒ・ネイガウス→リヒテル→ヴィルサラーゼ」という師弟関係である。1942年9月14日ジョージア生まれ。

ヴィルサラーゼの弟子には、ベレゾフスキーやヴォロディンがいる。まさに女流の巨匠ピアニストだ。

でも、その演奏は溌剌としていたり、新鮮な印象さえ与えるような、年齢を感じさせないもので好感が持てた。



●エリザーベト・レオンスカヤ:71歳

この人も「何を今さら…」のピアニストである。1979年のザルツブルク音楽祭で、リヒテルとのデュオでデビューし、一大センセーションを巻き起こしたことで有名らしい。

何度か名前を聞いたような気はするが、その演奏に接したのはつい最近の12月18日放送のNHKクラシック音楽館の、ベートーヴェンの3番のコンチェルトとショパンのノクターン第8番が初めてであった。→第1846回 定期公演 Bプログラム

その放送での、インタビューの笑顔が実にチャーミングで、その言葉にも説得力があった。レオンスカヤもジョージアの人で1945年11月23日生まれ。

演奏もなかなかいい。男性のような大きな手で、しっかりとしたロシア奏法。でも重くはない。多彩な音色が実に魅力的であった。もう少しいろんな演奏を聴いてみたいと思ったピアニストだ。


現代作曲家の優れたインタープリター


●ローラ・ミッコラ(→ラウタヴァーラ)

ローラ(ラウラ)・ミッコラ(Laura Mikkola)は、1974年2月3日ヘルシンキ生まれ42歳のフィンランドのピアニスト。

この人に遭遇したのは、ピアニストを探索している時ではなく、ラウタヴァーラのピアノ曲を片っぱし聴いていたとき。なぜか、ピアニストにこの人の名前がたくさん出てくるのだ。

『ラウタヴァーラ:ピアノ作品集』など、たくさんのラウタヴァーラ作品を録音しているようだ。



●ロジェ・ムラロ(→メシアン)

このピアニストはNHKのクラシック倶楽部で初めて聴いた。そのときはラヴェルのリサイタルだった。


このときのラヴェルはまずまずの印象。悪くはないが、私の好みとは少し違うかも知れない。

ただ、ロジェ・ムラロはメシアン本人からお墨付きをもらったという「メシアン作品演奏の第一人者」ということになっている。一度メシアンを聴いてみなくてはと思いつつ、まだ果たせてない…。

ちなみに、メシアンといえば、今年のラフォルジュルネで聴いたエマールさんの「鳥のカタログ」がよかった。エマールとムラロを比較してみるのもいいかも知れない…。



●トーマス・ヘル(→リゲティ)

YouTube でチェックしてちょっと気になったピアニストである。一応「お気に入り」候補。

あとで調べると、「ダルムシュタットで行ったリゲティのエチュード全曲ライヴ演奏は、私が近年聴いた比較的若い世代のピアニストのなかで、もっとも感銘を与えた演奏の一つでした。彼の演奏は、まさに知性とヴィルトゥオージティの両面を兼ね備えていました。」という高い評価をブレンデルからもらっている。



輝け!若手ピアニスト


若手が誰もいないのは寂しいので、一人あげるとすればこの人(↓)だろう。


●イゴール・レヴィット:29歳

「3大変奏曲」(ゴールドベルク、ディアベリ、不屈の民)のCDレビューで名前を知ったピアニスト。1987年ロシア生まれ。

そのときにいくつかの音源を聴いた感想は「基本的に好きなタイプ(粒立ち・メリハリ)だが、もう少し熟成を待ちたい」といった感じであった。


ただ「3大変奏曲」のCD『変奏曲の世界(バッハ、ベートーヴェン、ジェフスキ)』が、グラモフォンの "Instrumental Award & Recording of the Year (2016)" というのを受賞するなど、評価は高いようだ。今後の活躍に期待したい。



殿堂入り(私のお気に入り)


●グリゴリー・ソコロフ

最後に今年出会ったという訳ではないが、何となくこの一年で、私の中でその存在がどんどん大きくなって「神」領域に近づきつつあるのがグリゴリー・ソコロフ。1950年4月18日、ロシア生まれ。

「幻のピアニスト」と言われることもあるそうで、ヨーロッパ以外で演奏しない、スタジオ録音しない、インタビューもほとんど受けない、という人らしい。

1968年初来日から何度か来たらしいが、最近ではソコロフを聴くならヨーロッパに行くしかない、と言われているようだ。

で、去年あたりから昔のライブ録音がCD化されていて、NAXOSで聴けるのが嬉しい。これ(↓)など…。一度、生で聴いてみたいな〜(^^)♪





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