アルゲリッチが優勝した第7回ショパンコンクール(1965年)で4位入賞し、日本を代表するピアニストとして長年活躍されたのは周知の事実である。
また、チャイコフスキーコンクールやショパンコンクールをはじめとする国際コンクールの審査員や、浜松国際ピアノコンクールの審査委員長を歴任されている。最近では、浜松国際ピアノアカデミーなどで、後進の育成に励まれていた。
昨年春に復帰されて、これからというときに、この知らせが届いてきたのはとても残念である。
私自身は、残念ながら中村紘子さんの全盛期の演奏は聴いたことがない。いや、どこかで(レコードか何かで…)聴いているはずだが、思い出せない。
最近の(たぶん復帰後の)演奏をTVで少しだけ聴いたことがあるが、やはり衰えは隠せないという感じであった。
個人的には、演奏家としてよりも、これからの日本のピアノ界に活を入れ、引っ張って行ってくれそうな存在として期待していただけに、そちらの方が残念である。
今年の「音楽の友」2月号で、日本のピアノ界に対する辛口の論評をされていたのが記憶に新しい。
いくつか再掲してみると、
「日本のピアノ界にも彼(羽生結弦)のようなスーパースターが出ないものかしら。…(でも)あたりを見渡しても、どうやらそんな若者のいる気配はない」
「ここ数年、我が国のクラシック界は総体的に、この社会の変化のなかで、段々と影が薄くなってきているような不安を感じて仕方がない」
(日本の若手ピアニストに対して)
「国際的な競争に勝てるような資質をもった男子はほとんどゼロ、女子は精神的に幼く『成熟』よりも『カワイイ』を目指すようになってしまった…」
…といった感じ。日本のピアノ界を何とかしたい、という思いが伝わって来る。
いまの、日本の音楽状況をみると、中村紘子さんのような、実績もあり、世界に多くのネットワークを持っておられる人が、こういう歯に絹きせぬ客観的な視点で現状を捉えて、ぐいぐい引っ張っていくというようなことが必須だと思われる。
その大きな「存在感」に期待していただけに、今回の訃報は本当に残念である。心からご冥福をお祈りする。
なお、8月1日(次の月曜日)の「クラシック倶楽部」(NHK BSプレミアム 5:00〜5:55AM)で「中村紘子 ピアノ・リサイタル」が放映されることになっている。
2013年10月20日のサントリーホールでのリサイタルから、バッハのパルティータ2番とショパンのプログラムである。
早速、録画予約をした(朝早いので…)。
それと、恥ずかしながら、有名な著書(「ピアニストという蛮族…」等)を読んでいなかったので、とりあえず図書館にあった3冊(↓)の貸し出し予約をした。
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