各ラウンドの内容と課題曲を見てみると…。
5/2〜5/7:1次ラウンド(84→24人)
●20分程度のプログラム
・バッハの平均律から1つ
・古典ソナタの第1楽章1つ
・1つ以上のエチュード
※平均律は指定された24曲の中から1つ。ソナタは "Haydn, Mozart, Beethoven, Schubert" の中から。エチュードは、候補者が準備した4曲(Chopin, Liszt, Debussy からそれぞれ1曲、Bartók, Dusapin, Ligeti, Messiaen, Ohana, Prokofiev, Rachmaninov, Rautavaara, Skryabin, Stravinsky から1曲)のうち、1曲以上が本番1時間前に審査員から指定される。
5/9〜5/14:セミファイナル(24→12人)
●30〜35分程度のリサイタル
・課題曲(5分程度の新作楽曲)
・候補者が準備したプログラム(のどちらか)
※課題曲は、このコンクールのために Fiorini Fabian という人が作曲した "Tears of Lights" という曲。候補者は2つのプログラム(そのうち15分以内は同じ曲でも可)を準備しておき、本番の29時間前にどちらかを指示される。
●コンチェルト
・モーツァルトの "K. 466 (No. 20 in D minor), K. 467 (No. 21 in C major), K. 503 (No. 25 in C major), and K. 537 (No. 26 in D major)" のどれか1曲。
※リサイタルとコンチェルトは別々の日。
5/23〜5/28:ファイナル
●コンチェルト
・課題曲(10分程度の新作楽曲)
・候補者が準備した協奏曲
※課題曲は、このコンクールのために作曲されたもので、楽譜はファイナリストに決まった後に、1週間の「缶詰」期間の初めに渡される。したがって、準備期間は1週間だけ!
ファイナリストになると、本番の出場順に毎日2人ずつ "the Queen Elisabeth College of Music" という場所に移動させられる。
そこで、課題曲の楽譜を渡されて、外界からほぼ遮断された1週間を過ごす。もちろん、その間にオーケストラとのリハーサルなどもあるが、"press"(報道)対応にも2時間ほど取られるようだ。
新作が、ソロと協奏曲と2曲、しかも協奏曲の方は楽譜を初めて見てから1週間で仕上げなくてはならない。(暗譜だろうか…?)
それに、実際の本番で演奏する以上の曲を準備しておかなくてはならない。どれを弾くことになるかは、直前まで分からない。なんか、精神的な強さ、プレッシャーやフラストレーションに対する忍耐力のようなものも試されているような気もする。
さて、過去のコンクールで、そんな過酷な競争に打ち勝ったピアニストたち。知っている人だけ並べてみると…。
1938年
第1位 エミール・ギレリス(ソ連)
第7位 アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(イタリア)
1952年
第1位 レオン・フライシャー(アメリカ)
第10位 フィリップ・アントルモン(フランス)
1956年
第1位 ウラディーミル・アシュケナージ(ソ連)
第5位 ラザール・ベルマン(ソ連)
1968年
第10位 内田光子(日本)
1972年
第1位 ワレリー・アファナシエフ(ソ連)
第6位 神谷郁代(日本)
第7位 エマニュエル・アックス(アメリカ)
第9位 シプリアン・カツァリス(フランス)
1975年
第9位 花房晴美(日本)
1978年
第1位 アブデル・ラーマン・エル=バシャ(レバノン)
1987年
第2位 若林顕(日本)
第5位 仲道郁代(日本)
2003年
第5位 松本和将(日本)
2007年
第1位 アンナ・ヴィニツカヤ [Russian Federation]
第4位 イリヤ・ラシュコフスキー [Russian Federation]
2013年
第1位 ボリス・ギルトブルグ(イスラエル)
第2位 レミ・ジェニエ (フランス)
かなりのピアニストが並んでいる。ちなみに、ヴァイオリン部門では、1980年優勝の堀米ゆず子さんが有名だ。
余談だが、現代作曲家は本当に知らない名前が多い。エチュードのところにある Dusapin、Ohana、Rautavaara という3人と課題曲の Fiorini Fabian という作曲家はまったく知らない。勉強しなくっちゃ…。
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