2015年12月29日火曜日

クラシックピアノ2015年の10大ニュース(1)

この時期恒例の「10大ニュース」であるが、クラシックピアノに関してはあまりお目にかからない。なので、自分で作ってみることにした。

去年は自分自身の「ピアノの趣味活動」10大ニュース(↓)を書いたのだが、今年はクラシックピアノ界のニュースに挑戦!



ぴあ(ブログ管理人)が選ぶ、2015年のクラシックピアノ界10大ニュース! まずは1位から5位。さて、10個も見つかるのか…?


1位:チャイコフスキー国際コンクール



今年は何と言っても「ピアノコンクールの当たり年」であった。中でも一番盛り上がったのが(私見ですが…)チャイコフスキーコンクール。

ロシアの国威発揚が発祥のコンクールなので、出場者61人中29人がロシア人だったし、表彰式にはプーチン(審査員のデニス・マツーエフはプーチンのお友達)が登場。ファイナルステージは「モスクワ音楽院の校内コンクールみたい」と陰口を叩かれたりもした。

…が、中身はとても充実したものだったし、ロシアピアニズムの底力を改めて印象づけたコンクールだったと思う。結果は次のとおりだが、どのファイナリストも魅力にあふれた演奏を聴かせてくれた。

 1位:ドミトリ・マスリエフ 27歳 ロシア
 2位:ルーカス・ゲニューシャス 24歳 ロシア
    ジョージ・リー 19歳 USA
 3位:セルゲイ・レドキン 23歳 ロシア
    ダニール・ハリトーノフ 16歳 ロシア
 4位:ルカ・ドゥバルグ 24歳 フランス

個人的には、ルカ・ドゥバルグ、ルーカス・ゲニューシャス、ダニール・ハリトーノフあたりが強い印象を残した。



2位:ルカ君ブレイク!?



そのチャイコフスキーコンクールの中で特筆すべきピアニストは、まちがいなく4位のルカ・ドゥバルグ(24歳、フランス)だと思う。その演奏(とくにソロ)は際立って個性的で魅力的なものだった。

ファイナルの評価でも「真の1位はルカ・ドゥバルグ」という意見もあったようだし、聴衆の人気も高く、「モスクワ音楽批評家協会賞」を受賞した。

ピアノを習い始めたのが11歳からで、独学ベース、大学の3年間は練習しなかった、ジャズピアノが好き、等々の「物語性」がその人気を強く後押ししている面もあるが、音楽的な個性の強さでは群を抜いていると思う。

その後の経緯は、大手音楽代理店(CAMI)と契約したり、ソニーから来春のCDデビューが決まったりと、順調なように見える。心配は、音楽ビジネス界がせっかくの才能を潰してしまわないか、ということだ…。

まわりの「金儲け優先のお祭り騒ぎ」に負けずに、大きく成長してくれることを期待している。






3位:ショパン国際ピアノコンクール




世間的にはチャイコフスキーコンクールより注目の大きいショパンコンクールであったが、ライブ配信を聴くかぎりでは、少なくとも途中まではあまり面白くなかった。

もちろん、優勝したチョ・ソンジンをはじめ、多くのハイレベルのピアニストが参加していたし、日本人参加者も12人いて、小林愛実は久々の日本人ファイナリストとなった。

面白くなったのは、後半にケイト・リュウとシャルル・リシャール・アムランを見つけてから。ケイト・リュウの独特な弾き方から発せられる美しいピアノの音色には、正直まいってしまった。今後も注目したいピアニストの一人となった。

結果は次の通りだが、公表された採点表はなかなか興味深いものであった。

 1位:チョ・ソンジン 韓国:143点
 2位:シャルル・リシャール・アムラン カナダ:138点
 3位:ケイト・リュウ 米国:128点
 4位:エリック・ルー 米国:109点
 5位:トニー・ヤン カナダ: 77点
 6位:ドゥミートリ・シシキン ロシア: 75点

審査員のなかには、ソンジンとアムランを同率1位に、という意見もあったようだ。個人的な好みから言えば、ケイト・リュウ、アムラン、ソンジンの順番なのだが…。




4位:内田光子さん「高松宮殿下記念 世界文化賞」受賞



日本の誇る世界的ピアニスト内田光子さんが、「芸術のノーベル賞」ともいわれる「高松宮殿下記念 世界文化賞」を受賞した。

1988年に創設された「高松宮殿下記念 世界文化賞」は、絵画、彫刻、建築、演劇・映像、そして音楽の五部門を対象とした顕彰制度。「芸術のノーベル賞」とも評される権威ある賞である。

内田光子さんは、ピアニストとしてはマルタ・アルゲリッチ(2005年)、アルフレート・ブレンデル(2009年)、マウリツィオ・ポリーニ(2010年)らに続くもの、そして日本からは2011年の小澤征爾以来の受賞となる。

その内田光子さんのリサイタルを生で聴いたのは、私のピアノライフの中でも大きなトピックの一つであった。



5位:バレンボイム、ブルックナー交響曲全曲演奏に挑む!

演奏会自体は来年の初め(1月末〜2月末)であるが、バレンボイム率いるシュターツカペレ・ベルリンが来日し、1カ月近くにわたってブルックナー交響曲の全曲演奏を行う、という発表はクラシック音楽界で大きな話題を呼んだ。


どちらかというと「指揮者」バレンボイムという扱いであるが、ピアノファンとしては、弾き振りによるモーツァルトのピアノ協奏曲(第20/22/23/24/26/27番)も見逃せない。


…ということで、たぶん明日になる「6位〜10位」の発表をお楽しみに ♪



【関連記事】
《クラシックピアノ2015年の10大ニュース(2)》


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