で、「オーストラリアの作曲家」と言われても誰も思いつかないので、まずはPTNAのピアノ曲事典を見てみた。
オーストラリアのところには、12人の名前が並んでいる(↓)が知っている名前はない。
ヴァイン, カール/Vine, Carl 1954 -
ウィッフィン/Whiffin, lawrence 1930 - 2012
ウィリアムソン/Williamson, Malcolm 1931 - 2003
エドワーズ/Edwards, Ross 1943 -
カッツ=チェルニン/Kats-Chernin, Elena 1957 -
グーセンス/Goossens, Eugene 1893 - 1962
グレインジャー(グレンジャー)/Grainger, Percy Aldridge 1882 - 1961
スィッツキー/Sitsky, Larry 1934 -
スカルソープ/Schulthorpe, Peter 1929 - 2014
セイビン/Sabin, Nigel 1959 -
ハイド/Hyde, Miriam 1913 - 2005
ベンジャミン アーサー/Benjamin, Arthur 1893 - 1960
代表的な作曲家・ピアノ曲でも聴いてみようと思ったが、「代表」が誰か、どの曲かまったく見当もつかない。
コンクール側もそのあたりの状況は認識しているらしく、 "Australian Works" という紹介ページが用意されている。
そこに、コンクール側がこれまでに作品を委嘱した13人の名前があるのだが、上記PTNAと共通するのは、Peter Sculthorpe、Larry Sitsky、Elena Kats-Chernin、Carl Vine の4人だけ。
また、"Australian Music Centre" というサイトがあり、ここでもオーストラリアの作曲家や作品(ピアノ曲以外も)を探すことができる。何人かのピアニストのお薦めも載っている。…が、これも読むのが大変そうだ…。
…と、ここでひらめいた…(^o^)♪!
今回の出場者32人が何を弾くのかを見てみればいい!
…ということで、一人一人の演奏曲目を見て、それらしい作曲家と曲名をリストアップしてみた。(→文末参照)
すると、人気作曲家が見えてきた。ベスト3は…。
13人が選んだ Carl Vine(カール・ヴァイン)
4人が選んだ Peter Sculthorpe(ピーター・スカルソープ)
3人が選んだ Percy Grainger(パーシー・グレインジャー)
カール・ヴァインという人がダントツである。しかも、 "Toccatissimo"(6人)と "Five Bagatelles"(5人)というのが人気曲らしい。さっそく、YouTube で聴いてみることにした。
まず、"Toccatissimo"(→♪YouTube)。なかなか難しそう(技術的にも音楽表現的にも)で、コンクール向きかもしれない。曲としても悪くない。
"Five Bagatelles"(→♪YouTube)は、5曲のバガテルで、まずまず。
私が一番気に入ったのが、「ピアノソナタ 第1番」(→♪YouTube)。ピアニストは、この曲が献呈された Michael Kieran Harvey(オーストラリア、1961- )という人。
いい曲だ。現代的なのだが、美しい。静かなところもダイナミックなところも、電子音楽的な箇所も、実にピアニスティックである。現代音楽の嫌味(驚かす、怖がらす、気取る、…)がまったく感じられない。
プロフィールを見て、納得した。6つの交響曲や協奏曲を作り、音楽監督も務めるような本格的な作曲家らしいのだが、「数十年にわたりフリーランスのピアニストとして活躍」した人でもある。
ピーター・スカルソープの曲で見つけたのは "Djilile" (→♪YouTube)という曲。弾いているのは Tamara-Anna Cislowska という、オーストラリアの女性ピアニスト。
素朴でちょっと民族的な香りのする、ミニマルな感じもするきれいな曲だ。アボリジニーの歌にインスパイアされた、というような記事もあったが、そうかもしれない。
パーシー・グレインジャーの "Country Gardens"(→♪YouTube)は楽しい曲。まあ普通かな…。
R.シュトラウス「ばらの騎士」からの "Ramble on Love"(→♪YouTube)という曲は、ロマン派的なきれいな曲だが…。まぁ、あまり私の好みではなさそうだ。
…ということで、とりあえずベスト3の作曲家の曲をつまみ食い的に聴いてみたが、 Carl Vine(カール・ヴァイン)が一番の「収穫」だったかな…。
で、今日は初日ということで、審査員らによる "Gala Concert" がライブ・ストリーミングされる。"7:28 PM AEST" スタートとあるので、日本時間だと「6:28 PM」開始になる。小川典子さん(審査員)の武満作品も聴ける。
おまけ。
ところで、そういえばオーストラリアのピアニストって誰だろう? YouTube で聴いた2人は初めて聞く名前だし…。
と思って調べたら、最近、ねもねも舎のブログでみたスティーヴン・ハフ(Stephen Hough、1961- )という人が、イギリス出身だがオーストラリアの市民権ももっているらしい。
それと、映画「シャイン」のピアニスト、デイヴィッド・ヘルフゴット(David Helfgott、1947- )はオーストラリア人だそうだ。
32人の出場者が選んだオーストラリアの作曲家・曲
Carl Vine: 13人
Toccatissimo (2011):6人
Five Bagatelles (1994):5人
Piano Sonata No.1 (1990):2人
Peter Sculthorpe:4人
Djilile (1986)
Evocation (1946)
Harbour Dreaming (2000)
Nocturne No.1 (1945)
Percy Grainger: 3人
Ramble on Love after Richard Strauss' ‘Der Rosenkavalier’ (1927):2人
Country Gardens (1918)
Arthur Benjamin: Études Improvisées
Arthur Benjamin: Scherzino (1936)
Graham Hair: Under Aldebaran (1984):2人
Michael Kieran Harvey: 48 Fugues for Frank Zappa No.6: G-Spot Tornado (2009)
Michael Kieran Harvey: Toccata DNA (1993)
Roger Smalley: Morceau de concours (2007)
Roger Smalley: Variations on a Theme of Chopin (1989)
Brett Dean: Equality (2004)
Chris Dench:Tiento de medio registro alto (1978 rev. 2003)
Elena Kats-Chernin: Page Turn (2000)
Larry Sitsky: Arch (Fantasia No.4) (1980)
Richard Meale: Coruscations (1971)
Roy Agnew: Poem No.1 (1922)
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