それは、ピアノよりも弦楽器の方が、その演奏が私の好みに合う・合わないがはっきりしていて、好きな演奏はそれほど多くないということである。これはなぜなんだろう?
もともと、「いい音楽」「いい演奏」とは何か?ということにとても興味があって、折に触れてこのブログにも関連する記事を書いてきた(文末参照)。
ただ、その対象はピアノであった。いいピアノ音楽、いいピアノ演奏ということだ。
今年になって、ピアノ以外の音楽を聴く機会が増えて、その多くが弦楽器を含んでいて、その中で「お気に入り」の演奏を探しているときに改めて思ったのは、「いい演奏」の「いい」は「私の好みに合う」「私の好きな」ということなのだな…ということ。まぁ、当たり前のことかも知れない…(^^;)。
もとより、客観的な、誰が聴いてもいい演奏とか絶対的に優れているいい音楽を見つけたい訳ではないし、そんなものは幻想かも知れないとさえ思っている。
もちろん、一人一人が聴いて「いい」と思う演奏があって、そう思う人たちの人数が多いもの…というものは存在する。でも、大多数が「いい」と感じても、「いい」と思わない人はいる訳で、「誰が聴いても」にはならない筈だ。
なので、「名盤」とか「定番の名演奏」とかには興味がない…。
ちょっと理屈っぽくなってきたので…(^^;)…元に戻ると…。
弦楽器の演奏、ベートーヴェンの場合、例えば Op.29 の弦楽五重奏曲や Op.24のヴァイオリンソナタ5番 などを聴いて思ったのは、曲の冒頭を少し聴いただけで、好みの演奏かどうかが、かなりはっきり分かれるということ。
ピアノの演奏でもそういうことはもちろんあるのだが、弦楽器の場合もっとはっきりしているのだ。そして、曲の最後まで聴いてもその印象はほぼ変わらない。
念のために言っておくと、私が出だしを聴いて「いい」と思わなかった演奏も、有名なヴァイオリニストのおそらく定評のある演奏だったりする。
で、ぼんやりと考えていて思ったのは、この聴き方というのはポピュラー音楽の歌(ヴォーカル)を聴くときの感覚に近いのでは?ということ。
つまり、歌の場合はその好き嫌いは割とはっきりしていて、歌い方の技術とかよりも、まずはその声が好きかどうかとか、歌い方がいい感じだとか、逆にわざとらしくてイヤだとか…、要するに感覚的に好みが分かれてしまう気がするのだ。
聴いて心地良い歌声というのがあると思う。私の好みで言うと、例えばソプラノのキンキンした声は好きではない。コブシを利かせすぎるのも嫌いだ。
例えば、ヴァイオリンでいうと、柔らかくて艶のある音色が好きで、キーキー感のある弦の音は好みではない。音の立ち上がりが強すぎて雑音を感じるような弾き方もイヤな感じがしてしまう。まぁ、もちろん表現としてその方が相応しい場面はあるとしても…。
音楽的に豊かさや美しさを感じさせるフレージングとか、表情の付け方とか、いろんな要素はもちろんあると思うのだが、クラシック音楽でもやはり第一印象はとても重要だと思う。なので、ピアノも弦楽器も音色やその響かせ方が大事なのだと思う。
今のところ、弦楽器の演奏を聴くことに関しては、超初心者の私としては、この聴き方でいいのではないかと思っている。
これまでに聴いて気に入った弦楽器奏者としては、例えば、James Ehnes のヴァイオリンと Andrew Armstrong のピアノのデュオはとてもいいと思う ♪
《BTHVN op.24: ヴァイオリンソナタ5番、心洗われる「春」 ♪》
あと、今思うと、昨年の夏に聴いたモーツァルトのディヴェルティメントの弦楽三重奏曲(↓)は、弦の響きの美しさを再認識するきっかけになったかも知れない。
《モーツァルト:ディヴェルティメントK.563 弦の響きの美しさ ♪》
以下、ご参考。これまでに書いた「いい音楽」「いい演奏」に関するブログ記事。
《いいピアノ演奏とは?のまとめ+『蜜蜂と遠雷』の「いい演奏」》2019/10/13
《いいピアノ演奏を支える5つの技術 ♪?》2019/9/14
《『蜜蜂と遠雷』風変わりな感想文?》2017/10/13
《つまらない演奏は…?:「心で弾くピアノ」読書感想文その1》2016/10/27
《いいピアノ演奏の条件?「音楽」を奏でるために…》2015/11/28
《こんなピアノ演奏が聴きたい!(「いい演奏」再考)》2015/7/31
《ショパン・コンクールの事前審査を聴いて:いい演奏とは》2015/5/14
《左手の表現力?:ショパン・コンクールを聴いて》2015/5/13
《「いい音楽・演奏とは?」を考えてみる…》2015/1/18
《いい演奏とは…内田光子さんのドビュッシーを聴いて》2014/2/25
《「いい音楽」とは》2013/5/18
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