自分で色々試した結果、現在でもやっているのは、手をほぐすストレッチ的なものと、風呂に入っているときに行う指の体操の2つだけである。「筋トレ」系はやっていない。
今日は、最近あらためて効果を実感した「お風呂で指体操」をご紹介したい。
その前に、「筋トレ」をやめた理由と、「指体操」の効能について説明しておく。
「筋トレ」系には、例えば机の上でピアノを弾く手の形を作り、手首から重みをかけて、その重みを第3関節で支えるような方法がある。
こういう「筋トレ」にまったく効果がないとは断言できないが、余計な筋肉がついたり、筋肉が硬くなることで動きが悪くなるようなことも考えておかなくてはならない。
私が「筋トレ」をやめた理由は2つ。正しい姿勢や弾き方でピアノを練習することで、必要な筋肉は自然に鍛えられるだろうということ。そして、そもそもピアノを弾くのに大きな筋肉は必要ではないということ。
この辺りのことを「目からウロコ」的に教えてくれたのが『シャンドール ピアノ教本』である。関連する内容を要点(結論)だけご紹介しておくと…。
- 指を鍛えるのではなく、ピアノを弾くのに必要な全身の筋肉を「コーディネート」することが重要である
- ピアノは「脱力+重量」ではなく「最小の筋力+スピード」で弾くものである
以下、参考記事。
《間違いだらけのピアノ練習法?》
《シャンドール ピアノ教本:ピアノ練習方法の革新?》
次に「指体操」の効能、効果を信じる理由であるが、一つには私自身の実体験によるものだ。これまでに何度か効果を実感することができているが、主なものを紹介すると…。
- 4と5の指のトリルができるようになった
- 難しい運指を含む難所を克服することができた
- 左手の速いテンポの伴奏が何とかなりそうだ(現在進行形)
そして、その信念?を支えている理論的な背景は『ピアニストの脳を科学する』(古屋晋一 著、春秋社)という本にある。この本にはこんなこと(↓要約)が書いてある。
ピアニストの脳は指を動かすための神経細胞が増大していて、普通の人に比べると5%ほど多い。この神経細胞は練習によって増えるのだが、その増加率が大きいのは11歳までである。ただ、成人してからでも練習すれば増加はする。
参考《読書メモ:ピアニストの脳を科学する》
つまり、ピアノの上達というのは、指の筋肉よりも脳の神経細胞の増大によるところが大きくて、その神経細胞は練習によって(大人になっても)増大する…という訳だ。
もちろん、「練習」はピアノに向かっての「正しい姿勢や正しい弾き方」での練習なのだろうが、神経細胞の発達(と、おそらくは神経回路の形成)のためには、必ずしも鍵盤の上でなくてもいいのではないだろうかと考えている。
それは、体操による効果は以下のようなところにあって、ピアノを弾くときには、これに「正しい音(鍵盤)を押さえる」ことが加わるだけだから…と勝手に考えている…(^^;)。
- 指の動きをよくする
- 運指:指を動かす順番を覚える
- 速く動かすコツみたいなものを獲得する
で、いよいよ「お風呂で指体操」のやり方のご紹介であるが、実は…
「湯船につかっている間に、底を鍵盤に見立てて『運指』通りに指を動かす」
だけ…のことである…(^^;)。
例えば4と5のトリルができるようになりたければ、「4と5のトリル」をひたすら繰り返す。難しい運指の難所を克服したければ、その運指通りにひたすら湯船の底を叩く。
ポイントは、同じ動作をできるだけスムースに(滑らかに)、脱力して、できるだけ沢山の回数を引っかからずに繰り返す、ということ。スピードは次第に上げていく。
左手が課題のときは(右利きの人の場合)、右手でも同じ動きを「左右対称」でやるとよい。これは「対称練習法」という、れっきとしたピアノ練習方法の一つで、器用な右手の動きにつられて左手が動きやすくなるというものだ。
参考《ピアノ「対称練習法」で左手を強化する♪》
「お風呂で指体操」をやって分かったのは、少しでも力みがあると(うまく脱力できてないと)手首や指が途中で固まってきて?回数がこなせないこと。
例えば、昔やった「4と5のトリル」では、最初のうちは10回も繰り返せなかったのが、練習するうちに100回を超えても大丈夫になったりしたものだ ♪
手首や指がこわばってきたら、一旦リラックスさせてから、もう一度繰り返すとよい。
…ということで、ベートーヴェンのピアノソナタの第3楽章「フーガ2」にある沢山の「難所」を克服するために、久しぶりに「お風呂で指体操」が活躍しそうだ…(^^)♪
《▼ベートーヴェン:ソナタ31番のための指の体操?》
以下、ご参考。
『シャンドール ピアノ教本―身体・音・表現』
『ピアニストの脳を科学する: 超絶技巧のメカニズム』(古屋晋一著 春秋社)
『からだで変わるピアノ』
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《練習方法:筋トレ》
《お薦め♪風呂での練習》
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