「フランス組曲」の第1〜4番と第5番の断片は、1722年の「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳(第1集)」に含まれている。今日知られている 6曲の曲集としてまとめられたのは 1725年頃と考えられている。
参考《バッハ「フランス組曲」の基礎知識と各曲難易度》
ネット(YouTube、Spotify など)での音楽鑑賞の楽しみの一つは思わぬピアニストや名演奏に出会えることだと思う。当たり前のようだが、私の学生時代にはこんなことはとても考えられなかった。
当時は、FMラジオで聴いたり音楽雑誌などを読んで欲しいと思った LPレコード(アナログのビニール音盤)を、なけなしの小遣いで思い切って購入し、何度も何度もステレオで聴く…というのが普通の音楽鑑賞スタイルだったので…(^^;)。
演奏の聴き比べとか、ましてや日本で知られてないピアニストの演奏を聴くことなどほとんどあり得なかった。
今回はネット音楽鑑賞ならではの「出会い」を紹介したい。
一人目はミェチスワフ・ホルショフスキ(Mieczysław Horszowski、ポーランド、1892 - 1993)。名前は何となく知っていて、往年の大ピアニストの一人…くらいの認識しかなかった。
ソロよりもチェロの巨匠カザルスの伴奏者として有名だったようだが、90歳を超えてからブレイク?して、95歳(1987年)のときには初来日もしている。下記の録音はその頃のもの。とても 90歳代とは思えない瑞々しく軽やかな演奏だ ♪
ちなみに、ペライアを教えたこともあるそうだ。
(BWV817:トラックNo. 1〜8)
二人目は私のお気に入りピアニストの一人、ファジル・サイ(Fazıl Say、トルコ、1970 - )だが、フランス組曲(第6番だけ?)を録音しているのは初めて知った(聴いた)。
ファジル・サイならではのメリハリの聴いた演奏は素晴らしい。思わぬところで低音声部を聴かせたりしてくれるので面白い ♪ ただ、最初のアルマンドの録音が途中から始まる感じになっていて、プレイリストの作りも変なのが残念…。1998年の録音のようだ。
フランス組曲も最後の曲なので、正統派の演奏を一つ挙げておこうと思って何人か聴いたのだが、意外と選ぶのに苦労した。ここは大御所に敬意を表して?サー・アンドラーシュ・シフ(Sir András Schiff、ハンガリー、1953 - )ということにしておこう。
…で、最後になって大きなポカを発見した!下記「全曲録音」のピアニストにシフ等が入っていない。最初にこのリストを作ったときに「グールド、タチアナ・ニコラーエワ、シフ」以外に…と前置きしていたので、この 3人が抜けていた…(^^;)。
ので、遅まきながら 3人を追加しておく。
参考:フランス組曲を全曲録音をしているピアニスト
- グレン・グールド:1971-73
- イングリット・ヘブラー:1980
- タチアナ・ニコラーエワ:1984
- アンドラーシュ・シフ:1991, 2010 等
- アンドレイ・ガヴリーロフ:1993
- アンジェラ・ヒューイット:1995
- ウラジーミル・フェルツマン:2005
- エフゲニー・コロリオフ 2006
- セルゲイ・シェプキン:2011
- アンドレア・バッケッティ:2012
- コルネリア・ヘルマン:2012/2014
- マレイ・ペライア:2013
- エカテリーナ・デルジャヴィナ:2014
- シュ・シャオメイ:2016
- ウラディーミル・アシュケナージ:2017
- イリーナ・メジューエワ:2021
その他、ピリスの 2番、リヒテルの 2番、4番、6番、アンデルシェフスキ、ケンプ、シモーヌ・ディナースタインの 5番などもある。
『バッハの鍵盤音楽』 第14章「《フランス組曲》」BWV812〜817 と関連組曲 BWV818、BWV819。
- BWV818 組曲 イ短調
- BWV819 組曲 変ホ長調
- BWV812 フランス組曲第1番 ニ短調
- BWV813 フランス組曲第2番 ハ短調
- BWV814 フランス組曲第3番 ロ短調
- BWV815 フランス組曲第4番 変ホ長調
- BWV816 フランス組曲第5番 ト長調
- BWV817 フランス組曲第6番 ホ長調
📘『バッハの鍵盤音楽』(小学館、2001年、デイヴィッド・シューレンバーグ 著)
✏️フランス組曲 (バッハ)(Wikipedia)
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《Bach.KB.BWV812 フランス組曲第1番:デルジャヴィナもいいけど、やはりシフ?》
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