「フランス組曲」の第1〜4番と第5番の断片は、1722年の「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳(第1集)」に含まれている。今日知られている 6曲の曲集としてまとめられたのは 1725年頃と考えられている。
参考《バッハ「フランス組曲」の基礎知識と各曲難易度》
また、異稿 BWV815a には、プレリュードと第2 のガヴォットが含まれ、メヌエットとジーグは入っていない。新バッハ全集の BWV815a にはメヌエットが入っているようだ。
ピアニスト(リヒテル、ヒューイットなど)によっては、メヌエットもジーグも省かずに「プレリュード、アルマンド、クーラント、サラバンド、ガヴォット Ⅰ 、ガヴォット Ⅱ 、エール、メヌエット、ジーグ」という 9楽章構成で演奏している人もいる。
今回は、これまでに見つけたピアニスト 15人ほどの演奏を、この組曲の中で一番気に入っているアルマンドで聴き比べてみた。
私の好きなアルマンドのイメージはややゆったりしていて、柔らかくふくよかな感じなのだが、意外にもそうでない解釈の方が多かったような気がする。
元気溌剌のテンポの速いアルマンドも悪くはないのだが、よほど説得力がない限り受け入れ難い。聴く側の持つイメージ(先入観?)というのは恐ろしいものだ…(^^;)。
で、結論から言うと、一番私のイメージに近くて気に入ったのはイングリット・ヘブラー、そして近いのがセルゲイ・シェプキン。部分的にはちょっとやり過ぎかも?…とは思いながらも、それなりにいいかな?…と思ったのがエカテリーナ・デルジャヴィナ。
ヘブラーの演奏では、エールとメヌエットの曲順が入れ替わって「…、メヌエット、エール、ジーグ」となっている。
イングリット・ヘブラー(Ingrid Haebler、オーストリア、1929 - 2023)
セルゲイ・シェプキン(Sergey Schepkin、米/露、1962 - )
(BWV815:トラックNo. 21〜27)
エカテリーナ・デルジャヴィナ(Ekaterina Derzhavina、露、1951 - )
(BWV815:トラックNo. 19〜25)
参考:フランス組曲を全曲録音をしているピアニスト
- グレン・グールド:1971-73
- イングリット・ヘブラー:1980
- タチアナ・ニコラーエワ:1984
- アンドラーシュ・シフ:1991, 2010 等
- アンドレイ・ガヴリーロフ:1993
- アンジェラ・ヒューイット:1995
- ウラジーミル・フェルツマン:2005
- エフゲニー・コロリオフ 2006
- セルゲイ・シェプキン:2011
- アンドレア・バッケッティ:2012
- コルネリア・ヘルマン:2012/2014
- マレイ・ペライア:2013
- エカテリーナ・デルジャヴィナ:2014
- シュ・シャオメイ:2016
- ウラディーミル・アシュケナージ:2017
- イリーナ・メジューエワ:2021
その他、ピリスの 2番、リヒテルの 2番、4番、6番、アンデルシェフスキ、ケンプ、シモーヌ・ディナースタインの 5番などもある。
『バッハの鍵盤音楽』 第14章「《フランス組曲》」BWV812〜817 と関連組曲 BWV818、BWV819。
- BWV818 組曲 イ短調
- BWV819 組曲 変ホ長調
- BWV812 フランス組曲第1番 ニ短調
- BWV813 フランス組曲第2番 ハ短調
- BWV814 フランス組曲第3番 ロ短調
- BWV815 フランス組曲第4番 変ホ長調
- BWV816 フランス組曲第5番 ト長調
- BWV817 フランス組曲第6番 ホ長調
📘『バッハの鍵盤音楽』(小学館、2001年、デイヴィッド・シューレンバーグ 著)
✏️フランス組曲 (バッハ)(Wikipedia)
【関連記事】
《J.S.Bach の鍵盤音楽》
《Bach.KB.BWV814 フランス組曲第3番:ヘブラー、フェルツマン、シェプキンなどの名演 ♪》
0 件のコメント:
コメントを投稿