この「音楽帳」の概要についてはこの記事(↓)を参照のこと。
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出典:
📘『バッハの鍵盤音楽』(小学館、2001年、デイヴィッド・シューレンバーグ 著)
✏️《ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハの音楽帖》全体構成(PTNA)
【関連記事】
《J.S.Bach の鍵盤音楽》
《Bach.KB. W.F.Bach音楽帳(3):関連作品、BWV899/ 902/ 923/ 590 気に入った ♪》
『ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハの音楽帳』には、「インヴェンション」と「シンフォニア」の初期稿が(たぶん難易度の低い順)に 1723年頃に書き込まれた。この時点では「プレアンブルム(Praeambulm)」「ファンタジア(Fantasia)」と呼ばれていた。
バッハは数カ月後に 30曲すべてを浄書しており、その際、楽曲そのものを若干改訂し、配列を音階順に改め、2声を「インヴェンション」、3声を「シンフォニア」と名づけた。
その曲集の扉には次のように書かれている。
「正しい手引き、これによってクラヴィーア愛好者、とくに学習に意欲を燃やす人々が、(1) 2声部をきれいに弾きこなすだけでなく、さらに上達した段階で、(2) 3声部のオブリガート・パートを正しく手際よく処理し、あわせて同時に良い着想を案出するのみでなく、それをたくみに展開すること、そして何よりもカンタービレの奏法を身に付けること、それに加えて作曲への強い興味と愛好を呼び覚ますものである。アンハルト=ケーテン侯宮廷楽長ヨハン・ゼバスティアン・バッハ これを完成す。1723年」
ピアノ学習者にとっては「教材」というイメージが強いが、プロのピアニストたちは鑑賞すべき芸術音楽として(学習のお手本としてではなく)多くの名演奏を残している。
今回は、YouTube で聴ける名演奏をいくつか取り上げたが、下記記事によると 2011年 2月時点で少なくとも 24人のピアニストがアルバムをリリースしているようだ。
今回聴いた以外で興味があるのは、アルド・チッコリーニ、タチアナ・ニコラーエワ、ピーター・ゼルキン、ティル・フェルナー、アンドレア・バッケッティ、ジョアン・カルロス・マルティンスくらいかな?
✏️インヴェンションとシンフォニアの録音(ピアノ弾き&講師のふたりごと)2011.2.8
今回は本当にビックリした名演奏がある。「『インヴェンションとシンフォニア』に新たな命を吹き込む」という宣伝文句?は決して大袈裟ではない。
それは、シュ・シャオメイ(Zhu Xiao-Mei、朱曉玫)が 2016年にリリースしたアルバム「💿 J.S.Bach: Inventions & Sinfonias」。シュ・シャオメイのコメントがいい(↓)。
「芸術的に平均律クラヴィーア曲集やゴルトベルク変奏曲、そしてフーガの技法の影に隠れがちで、それらよりも劣っていると捉えられますが、それは大きな間違いです。シンプルな中にも高密度な音楽表現がなされており、それを表現するのは並々ならぬ音楽性が必要です」
本人の言葉通り「高密度な音楽表現」が聴ける音源がコレ(↓)。とくに奇を衒(てら)ったような弾き方はしておらず、ピアノならではのアーティキュレーションやデュナーミクで音楽性豊かな表現を紡ぎ出している。それが本当に素晴らしい ♪
♪ Bach: Inventions & Sinfonias:アルバム
そして、グレン・グールド(Glenn Gould、カナダ、1932 - 1982)も素晴らしい演奏を残している。色んなことをやっていて、とても練習のお手本にはならないが…(^^;)。
曲順が普通じゃない…。2声と 3声をセット?にして「C → Cm → E♭ → B♭ → Gm → G → Bm → Em → E → Am → A → D → Dm → F → Fm」(曲番号では「1 → 2 → 5 → 14 → 11 → 10 → 15 → 7 → 6 → 13 → 12 → 3 → 4 → 8 → 9」)という順番…。
グールドなりの考えがあるのだろうが、よく分からない。ただ、聴いていてまったく違和感はない。弾き方も含めて新鮮…(^^;)!?
素晴らしい演奏で、しかも練習のお手本にもなるかも知れないと思ったのは、エフゲニー・コロリオフ(Evgeni Koroliov、露、1949 - )の演奏。
元の CD はコレ。
アンドラーシュ・シフ(András Schiff、ハンガリー、1953 - )の演奏も定評があるようだが、装飾音符の付け方などはちょっと難しいかも…。
チェンバロではヘルムート・ヴァルヒャ(Helmut Walcha、ドイツ、1907 - 1991)が良かった ♪
オランダ・バッハ協会の「インヴェンション」の音源は 8人の子供たちがチェンバロを弾いていて、その "short documentary" もあり、ちょっと楽しい ♪
『バッハの鍵盤音楽』の第10章「『ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハの音楽帳』と関連作品」で扱われている主な作品は下記。
- 一群の単純な曲から(1)
- BWV994 運指練習曲(アプリカツィオ)
- BWV691、BWV753 コラール前奏曲
- BWV841〜843 メヌエット
- BWV953, 952 フーガ ハ長調
- 一群の単純な曲から(2):小前奏曲
- 「12の小前奏曲」BWV924, 939 等
- 「6つの小前奏曲」BWV933〜938
- その他
- 関連作品(「WFB音楽帳」には含まれない)
- BWV919 前奏曲 [幻想曲] ハ短調
- BWV961 フーガ(フゲッタ)ハ短調
- BWV918 ロンドーによる幻想曲
- BWV899〜902 前奏曲とフーガ/フゲッタ
- BWV895 前奏曲とフーガ イ短調
- BWV923 前奏曲 ロ短調
- BWV590 パストレッラ
- BWV991 アリアと変奏 ハ短調
- BWV772〜786 インヴェンション
- BWV787〜801 シンフォニア
📘『バッハの鍵盤音楽』(小学館、2001年、デイヴィッド・シューレンバーグ 著)
✏️《ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハの音楽帖》全体構成(PTNA)
✏️インヴェンションとシンフォニア(Wikipedia)
✏️バッハ :インヴェンション BWV 772-786(PTNAピアノ曲事典)
✏️バッハ :シンフォニア BWV 787-801(PTNAピアノ曲事典)
【関連記事】
《J.S.Bach の鍵盤音楽》
《Bach.KB. W.F.Bach音楽帳(3):関連作品、BWV899/ 902/ 923/ 590 気に入った ♪》
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