バッハのチェンバロ音楽の中でも並外れて優雅な作品。フランス組曲の中で最も有名であり、とくに「ガヴォット」は単独でもよく演奏される。
「フランス組曲」の第1〜4番と第5番の断片は、1722年の「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳(第1集)」に含まれている。今日知られている 6曲の曲集としてまとめられたのは 1725年頃と考えられている。
参考《バッハ「フランス組曲」の基礎知識と各曲難易度》
ルール(仏:Loure)は「遅いジーグ」(仏:Gigue lente)と呼ばれることもある舞曲。
第5番は有名な曲なので、実に多くのピアニストが取り上げている。フランス組曲の中で第5番だけ弾いている人も多い。
なので今回は、これまで聴いてきた 15人ほどのピアニストに加えて、アンデルシェフスキ、シモーヌ・ディナースタイン、ブルース・リウなども聴いてみた。
あと、内田光子さんの「サラバンド」は聴き逃せない。
どのピアニストもなかなか魅力的な演奏なのだが、私の好みはやはりピョートル・アンデルシェフスキ(Piotr Anderszewski、ポーランド、1969 - )…(^^)♪
一番惹かれるのは、たぶん声部やフレーズの扱い・歌わせ方だと思う。どれ一つおろそかにしない弾き方はもちろん、その中での表情が豊かで、全体としての調和(空間軸+時間軸)も素晴らしいものがある ♪
(BWV816:トラックNo. 1〜7)
シモーヌ・ディナースタイン(Simone Dinnerstein、米、1972 - )はたぶん初めて聴いたと思う(名前は何となく知っていた)。柔らかく躍動する、よく響くピアノの音が魅力。
ジュリアード音楽院でピーター・ゼルキンに学んでいる。若い頃は目立った存在ではなく、2005年(32歳)のカーネギーホールでの「ゴルトベルク変奏曲」、および 2007年発売の同曲のデビューCD(Telarc)で一躍注目されるようになったようだ。
(BWV816:トラックNo. 1〜7)
あと、イングリット・ヘブラー(Ingrid Haebler、オーストリア、1929 - 2023)の演奏はまさに「優雅」でいい感じ ♪ このピアニスト、私の中では、何となくシフに代わって「フランス組曲」の標準になりつつあるのかも知れない…(^^)?
参考:フランス組曲を全曲録音をしているピアニスト
- グレン・グールド:1971-73
- イングリット・ヘブラー:1980
- タチアナ・ニコラーエワ:1984
- アンドラーシュ・シフ:1991, 2010 等
- アンドレイ・ガヴリーロフ:1993
- アンジェラ・ヒューイット:1995
- ウラジーミル・フェルツマン:2005
- エフゲニー・コロリオフ 2006
- セルゲイ・シェプキン:2011
- アンドレア・バッケッティ:2012
- コルネリア・ヘルマン:2012/2014
- マレイ・ペライア:2013
- エカテリーナ・デルジャヴィナ:2014
- シュ・シャオメイ:2016
- ウラディーミル・アシュケナージ:2017
- イリーナ・メジューエワ:2021
その他、ピリスの 2番、リヒテルの 2番、4番、6番、アンデルシェフスキ、ケンプ、シモーヌ・ディナースタインの 5番などもある。
『バッハの鍵盤音楽』 第14章「《フランス組曲》」BWV812〜817 と関連組曲 BWV818、BWV819。
- BWV818 組曲 イ短調
- BWV819 組曲 変ホ長調
- BWV812 フランス組曲第1番 ニ短調
- BWV813 フランス組曲第2番 ハ短調
- BWV814 フランス組曲第3番 ロ短調
- BWV815 フランス組曲第4番 変ホ長調
- BWV816 フランス組曲第5番 ト長調
- BWV817 フランス組曲第6番 ホ長調
📘『バッハの鍵盤音楽』(小学館、2001年、デイヴィッド・シューレンバーグ 著)
✏️フランス組曲 (バッハ)(Wikipedia)
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《Bach.KB.BWV812 フランス組曲第1番:デルジャヴィナもいいけど、やはりシフ?》
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