3月に出した新譜「ドビュッシー-ラモー」がポップス、クラシックの両方でヒットチャートの上位に入ったり、TVやラジオで番組を持ったり…♪
「ドビュッシー-ラモー」は、これまでに 1,700万ストリーム以上のアクセスを達成したそうだ。最近の CD の売れ行きは枚数ではなく「ストリーム」で数えるんだ…🤔。
この CD(↓)はポップチャートでは、ドイツ、アイスランド、スイスでトップ 40 に入り、クラシック音楽のチャートでは、英国、ドイツ、フランス、ベルギーで 1位、米国で 2位となっている。
ドビュッシー-ラモー
また、BBC Radio 4 では "Front Row" という番組の "Artist-in-Residence" となっており、3ヶ月間にわたって、無観客の Harpa Concert Hall(レイキャビク)からライヴ演奏を届けたようだ。下記 "Front Row" サイトからアーカイヴの音声を聴くことができる。
✏️Víkingur Ólafsson: Front Row’s Lockdown Artist in Residence
アイスランドの TV局 RÚV では自身のクラシック音楽番組を立ち上げており、ノルウェーの Bergen Philharmonic とともにヴァーチャルのコンサートを行なっているとのこと。
以上、出典は下記記事。
✏️Pianist Víkingur Ólafsson reaches new heights with recent successes(Pianist)
この CD ではドビュッシーとラモー、フランスの近代とバロックという 200年ほどの 時代を隔てた作曲家の作品がとり上げられている。
ただ、ドビュッシーの作品を並べて、次にラモーを…という形ではなく、二人の作曲家の様々な曲を、オラフソンの感性に基づいて一つの物語のように構成している。
その意図は、本人の言葉(↓)を聞いた方がいいだろう。
「アルバムではどれが印象派でどれがバロックか、わからなくなるようにしたかった。…交互に、両者が対話しているように並べました」
「選曲には1年以上を費やし、曲順を決めるのにさらに何週間も迷いました。全体を一つの作品のようにしたかったからです。それは劇場のようなものです」
「ドビュッシーのカンタータ“選ばれし乙女”の前奏曲で…幕があき、次にラモーの“鳥のさえずり”。ここからさまざまな場面が、たくさんの物語が続いていきます。……聴く人の心のなかに、ファンタジーに満ちたイメージがわきあがるように、心がけました」
以上、出典は下記記事。
✏️ヴィキングル・オラフソン(Vikingur Olafsson)『ドビュッシー&ラモー』アイスランドの天才的ピアニストが語る、ドビュッシーとラモーの共通点(Mikiki)
ちなみに、収録曲は下記のようになっている。聴き慣れているはずのドビュッシーの、例えば「亜麻色の髪の乙女」がちょっと違って聴こえたりするのは、この構成(曲順)のせいなのか?オラフソンの解釈(弾き方)のせいなのか?
- ドビュッシー:『選ばれし乙女』から前奏曲
- ラモー:鳥のさえずり
- ラモー:リゴードン1,2&ドゥーブル
- ラモー:ロンドー形式のミュゼット
- ラモー:タンブーラン
- ラモー:村娘
- ラモー:ロンドー形式のジグ1,2
- ドビュッシー:『版画』から『雨の庭』
- ドビュッシー:『子供の領分』から『人形へのセレナード』
- ドビュッシー:『子供の領分』から『雪は踊っている』
- ラモー:優しい嘆き
- ラモー:つむじ風
- ラモー:ミューズたちの語らい
- ドビュッシー:前奏曲集 第1巻から『雪の上の足跡』
- ラモー:喜び
- ラモー:一つ目の巨人
- ラモー/オラフソン:芸術と時間
- ドビュッシー:前奏曲集 第1巻から『亜麻色の髪の乙女』
- ドビュッシー:前奏曲集 第2巻から『水の精』
- ラモー:第5コンセールから『キュピ』
- ラモー:第4コンセールから『軽はずみなおしゃべり』
- ラモー:第4コンセールから『ラモー』
- ラモー:めんどり
- ラモー:エンハーモニック
- ラモー:メヌエット1,2
- ラモー:未開人たち
- ラモー:ジプシーの女
- ドビュッシー:映像 第1集から『ラモーを讃えて』
そういえば、これまでに DG(ドイツ・グラモフォン)からリリースされた CD も同じようなコンセプトで作られている。フィリップ・グラスの「ピアノ・ワークス」も J.S.バッハの「カレイドスコープ」も…。
こういうアプローチには賛否両論がありそうだが、個人的にはこういうスタイルがあってもいいのではないかと思う。オラフソンにしか作れないスタイルが…。
作曲家と作品と時代を尊重した解釈(演奏)というのも必要だと思うが、画一的な伝統や原典を重視するだけではなく、古典に新しい角度から光を当てる、あるいは現代人の感性による新しい解釈を試みることは、音楽の発展のためにも必要なことだと思う。
曲を組み合わせることも、ライヴのリサイタルなどでは当然のように行われていて、その構成にはアーティストの意思のようなものが表現されていると思う。CD においても、同様のことはもっと行われていいのではないかと思う。
CD はライブラリ(資料)ではなく、そのプログラム構成自体もアート(表現)だと考えた方が楽しいと思う…(^^)♪
ただ、オラフソンの演奏は、そしてその CD は、ともするとイージーリスニングというか、癒し系の BGM のように聴こえないこともない。
それが、ポップチャートでも上位にランキングされることにつながっているのかもしれない。現代の若者の感性に合っているのかもしれない。
一方で、オラフソンが、ある意味伝統的な(本格的な?)アプローチで取り組んだ J.S.バッハの「パルティータ」や「ゴルトベルク」を聴いてみたいとも思う…(^^)♪
念のために言っておくと、今のオラフソンの演奏も嫌いではない。とくに、フィリップ・グラスのエチュードとか、バッハのいくつかの曲は…。
いずれにしても、この先も期待したいピアニストの一人ではある。
《ヴィキングル・オラフソン Víkingur Ólafsson 期待できそう ♪》
《ヴィキングル・オラフソン:音楽を語るインタビュー♪》
参考。
フィリップ・グラス:ピアノ・ワークス
バッハ・カレイドスコープ
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