2020年8月28日金曜日

BTHVN op.91:「ウェリントンの勝利」音楽鑑賞には不向き…?

「ベートーヴェンの全作品を聴く」プロジェクト《All BTHVN 🎧》、今日はなぜかいきなり Op.91「ウェリントンの勝利またはビトリアの戦い」 (1813: 43歳)。「戦争交響曲」と呼ばれることもあるが、描写的な作りは「交響詩」の先駆的作品と言える。

管弦楽曲だが、銃や大砲や進軍ラッパなどが登場する妙な作品である。


Op.91

🎼 List of works by Ludwig van Beethoven


なぜ銃などが登場するのか? Wikipedia で見てみると、この曲は…

「1813年6月21日、スペインにおけるビトリアの戦いで初代ウェリントン侯爵アーサー・ウェルズリー率いるイギリス軍がフランス軍に勝利したことを受けて、ウェリントン侯を讃える曲としてベートーヴェンが作曲したもの」

…だそうだ。で、戦いの状況を再現するために銃や大砲が使われ、

「…左右からそれぞれの行進ドラムと進軍ラッパに続いてイギリス軍を表す『ルール・ブリタニア』とフランス軍を表すフランス民謡『マールボロ行進曲』が現れ、激しくぶつかり合い、やがてフランス軍が撤退していく」

…ということになったらしい…。


当時の社会情勢もあって大人気となり、同じコンサートで演奏された「交響曲第7番」よりも評判がよかったというから、今考えると不思議だが、まぁそんなものなのだろう。

現在では、この作品に対する評価は思わしくなく、「駄作」「"迷"作」とまで言われている(↓)。実際に演奏を聴いてみると、確かにもう一度聴こうとは思わない…(^^;)。

✏️ベートーヴェンとチャイコフスキーの“迷”曲…演奏で本物の大砲を使用し他国を攻撃(篠崎靖男「世界を渡り歩いた指揮者の目」)

✏️昔大ヒット、今駄作~ウェリントンの勝利(プレリュード)


ちなみに、なぜこの曲を聴いてみようと思い立ったか?というと、実は、イギリスのプロムス(BBC Proms)でちょっとした騒ぎがあって…。

プロムスの最終日には "Rule, Britannia!" という曲が演奏されて盛り上がる!というのが定番となっているらしいのだ。…が、この曲が人種差別的だなどという批判が出て、賛否両論あったのだが、結局は「歌詞なし」での演奏ということになり…。

まぁ、それはいいのだが、その "Rule, Britannia!" を編曲したものが、この「ウェリントンの勝利」にとり入れられている…というので、少し気になって聴いてみたという次第…。


なお、プロムスでの色んな経緯を詳しく知りたい方は、ノーマン・レブレヒト氏がいくつもの記事を書いているので、どうぞ…(^^;)。

✏️Timid Bbc Retreats From Rule Britannia(Slipped Disc)


さて、演奏の方であるが…。

YouTube では、カラヤンがベルリンフィルを指揮した演奏があったので聴いてみた。全体的にうるさい!…ので、静かに音楽鑑賞するには向いてない作品である…😓。

♪ Beethoven Welilngton's Victory Berlin Philharmonic Orchestra Herbert von Karajan


ベートーヴェンがこの曲を作った理由は、当時の時代状況とか社会の雰囲気とか…本人が置かれていた状況を理解しないと、本当のところは分からないのだろう。

まぁ、音楽的にみると、音楽で情景描写をしながら物語を語っていくという「交響詩」のようなジャンルに先鞭をつけた…という意味はあるのかも…。



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