✏️ヴィキングル・オラフソン インタヴュー
(世界を切り拓く新世代ピアニスト、10月には来日公演も!)
少し面白いと思ったことをいくつか…。
「あなたは『アイスランドのグレン・グールド』(NYタイムズ紙)と評されることもありますが…」という問いかけに…。
「私は多数の異なるスタイルのピアニストから影響を受けています。グールドはその1人に過ぎず、マルタ・アルゲリッチ、エミール・ギレリス、セルゲイ・ラフマニノフ、ヨゼフ・レヴィーン、また内田光子のモーツァルトにも多大な影響を受けています」
ピアニストとしてラフマニノフの名前があがっているのも面白いし、内田光子さんの名前があるのも嬉しい…(^^)♪
18歳からジュリアード音楽院で学んでいるが、
「…学校の名前につられたのではなく、ジェローム・ローエンサールとロバート・マクドナルド、2人の教師に習うために行きました」
というのがいい。音楽の世界では普通なのかな…?
ちなみに、ロバート・マクドナルドというピアニストはカーティスでも教えていて、ケイト・リウも生徒の一人らしい。また、五嶋みどりともよく共演しているとのこと。その師匠はルドルフ・ゼルキンで非常にドイツ的だそうだ。
メインの話は、9月リリース予定の CD 『バッハ・カレイドスコープ』に関して。
「あなたのバッハの演奏には、各声部に優れて多様な表現、表情、テクスチャーを感じます」というコメントに対して…。
「ピアノ演奏では、たくさんの表情を作ることができます。演奏の内部にて、あたかも違う惑星にいるかのような距離感を作ることも可能です。バッハのポリフォニーには様々な要素があります。それをうまく表現したいためにモダンピアノで弾きたいのです」
『バッハ・カレイドスコープ』という CD は、その選曲と曲順が、平均律、インヴェンション、コラール前奏曲(ブゾーニ編等)、「いざ、罪に抗すべし」BWV54(オラフソン編)、イタリア風アリアと変奏 BWV989 などの組み合わせで出来ていて、とても個性的なのだが…
「…選曲によって曲の個性をうまく引き出し、そこにある“詩”を強調したいのです。曲順は、調性の近さ…短い曲、長い曲、…オリジナル曲、あるいは多様な編曲の組み合わせなど…。それは何ヶ月もかけて行った大変な仕事で、作曲に近いとも言えるでしょう」
…と、プログラム作り・構成について相当なこだわりがあるようだ。
「ポリフォニックな音楽を演奏するときの繊細さ」については…。
「…一番興味あることは、テクスチャーの透明性で、多様な音量で声部を重ねることにあります。指がそれぞれ違う楽器を弾いているように意識しています。そこを意識するかによって、ピアノは最高の楽器にも最低の楽器にもなり得ると思います」
「どのような作曲家の作品でも、バッハと同じレベルで細部を弾き分けた後で、ペダルを使います。ペダルは本当に必要な時だけ使用します。…ピアノの鍵盤からは、このほんの数センチのわずかな長さの中で、無数と言えるほどの様々な音が出せます。それこそがピアノの魔術だと思いますね」
「ピアノの魔術」というのは面白い表現だ。ピアノの音色や響きに対する繊細な感性を持っているのだろうと思われる。
ただ、今回の CD では「8本のマイクを使用し… ポップスのレコードのように、ミキシングを毎曲変え… 録音の様々な方法にも挑戦」したらしいのだが、それについては議論がありそうな内容だと思う。まぁ、実際に聴いてみないと何とも言えないが…。
ドイツ・グラモフォンから最初に出た『フィリップ・グラス:ピアノ作品集』についても面白い話が出ている。
実は、オラフソンの録音(ゴルドベルク変奏曲)を聴いたグラスの方からの提案で、この CD が出来ることになったらしいのだ。なので、作曲家「お墨付き」の演奏…(^^)?
このインタビュー記事を読んでいて、10月のリサイタルを聴きに行きたくなった…(^^)♪
曲目は 『バッハ・カレイドスコープ』からの抜粋「J.S.バッハ・セレクション」と、ベートーヴェンのソナタ第1番と第32番。最初と最後という組み合わせも面白い。
おまけ1。記事で紹介されているプロフィールがよく出来ているので引用させて戴く。
ヴィキングル・オラフソン (Víkingur Ólafsson)
1984年アイスランド生まれ。2008年ジュリアード音楽院卒業。2012年にはレイキャヴィク・ミッドサマー音楽祭を創設して芸術監督を務める。また、2015年からはスウェーデンのヴィンターフェスト音楽祭の芸術監督に就任した。2016年にドイツ・グラモフォンと専属契約を結びデビュー・アルバムとなるアルバム『フィリップ・グラス:ピアノ・ワークス』(2017年)をリリースし、国際的な脚光を浴びる。庄司紗矢香やビョークらとも共演し、アイスランドに新風を吹き込む若き音楽家。
おまけ2。6月に初来日してアシュケナージ指揮 N響で、庄司紗矢香と共演したメンデルスゾーンの《ヴァイオリンとピアノのための協奏曲ニ短調》をTV録画で聴いた。
初めて聴く曲だったが、なかなか面白かったし、演奏も、二人ともとてもよかった♪ あえて言えば、庄司さんの方がちょっとだけリードしていたかも…(^^;)。
それよりも感じたのは、ヴィキングル・オラフソン、なかなかの好青年じゃないか!ということ。写真では、ちょっと暗そうで神経質にも見えるが、実際はそんなことはまったくなさそうで好感度が上がった…(^^)♪
それに長身! 庄司さんもアシュケナージも小さいので、余計に目立ったのかも知れないが、ピアノも小さく見えたし、膝がつっかえそうにも見えた…。
ルカくん(リュカ・ドゥバルグ)のコンサートに行ったときも、同じことを感じた。彼も、(オタクっぽい?)写真とは違って、とてもいい感じの青年なのだ!
どうも、ピアニストの写真というのは、あるイメージを出そうとしすぎて、ある意味「歪んで」いるのかも知れない。女性ピアニストの場合は、良家のお嬢さん風な写真が多いし…。あ!それは日本だけか…(^^;)…な?
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