2020年8月8日土曜日

BTHVN op.46: 歌曲 Adelaide 当時のヒット曲聴き比べ!♪

「ベートーヴェンの全作品を聴く」プロジェクト《All BTHVN 🎧》、今日は op.46、歌曲の "Adelaide"(アデライーデ)である。作曲されたのは 1794-95年(24-25歳)。

ドイツの詩人フリードリヒ・フォン・マッティソン(Friedrich von Matthisson、1761-1831)による、憧れの女性アデライーデを美しい自然に重ね合わせた詩に曲をつけた、ベートーヴェンのヒット曲。何となく聴き覚えがある。


Op.46

🎼 List of works by Ludwig van Beethoven


この曲が作られた時期は、ベートーヴェンが 1792年にウィーンに出てきて、ハイドンに師事していたころと重なる。

"Adelaide" は、同じ時期にハイドンが作曲した "O Tuneful Voice"(Hob. XXVIa:42, c. 1795)に強く影響を受けたという説もある。愛の歌であり、中庸のテンポ、三連符による伴奏、そして中間部での移調など…似ている点が多い。

ハイドンの曲(↓)を聴いてみると、確かに雰囲気が似ている…(^^)♪

♪ Christoph Genz; "O Tuneful Voice"; Joseph Haydn


出典✏️Adelaide (Beethoven)(英語Wikipedia)


"Adelaide" は出版されると同時に大変な人気となり、第2版ではイタリア語の訳詞がつけられ、第3版ではフランス語の訳詞がつけられ…と当時のヒットソングになったようだ ♪

詩の内容は下記などで見ることができる。

✏️Adelaide Op.46(詩と音楽)

音楽的には、「…描写的表現法が取り入れられ、音楽と詩の内容も深く結びついた自由な表現…18世紀末にはなかった新しい歌曲表現の可能性を切り開いている」とのこと。


出典✏️「アデライーデ」――新しい表現法で人気を博したヒット曲(ONTOMO)


現在でも多くの歌手が歌っている。YouTube から気の向くままに聴き比べ…(^^)♪


一番気に入ったのが、初めて聞く名前だが、クリスティアン・ゲルハーヘル(Christian Gerhaher, 1969-)というドイツのバリトン(↓)。とても優しい歌になっている ♪

ピアノは Gerold Huber(ゲロルト・フーバー)というドイツのピアニスト。

♪ Christian Gerhaher; "Adelaide"; Ludwig van Beethoven


有名人も何人かいる。ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(1925-2012)も優しい感じで歌っていて好印象。ピアノはイェルク・デームス ♪

♪ Dietrich Fischer-Dieskau: Adelaide, song for voice & piano, Op. 46 (Beethoven)


ペーター・シュライアー(1935-2019/12/25)はさすがにうまいのだが、この歌の内容からするとちょっと張り切り過ぎているような…(^^;)。

♪ Beethoven - Adelaide, Op. 46 (Peter Schreier, Norman Shetler)

ピアノの Norman Shetler という名前に見覚えがあると思ったら、イェルク・デームスとデュオで《BTHVN op.45:「4手のための3つの行進曲」》を弾いていた人だった。


《BTHVN op.32/94: 歌曲 An die Hoffnung を最高のバリトンで…》のときに知った「現代最高のバリトン」マティアス・ゲルネの歌も聴いてみた。

これもなかなかいいのだが、私の好みとしては最初に挙げたクリスティアン・ゲルハーヘルの方が好きかも…。ただ、ピアノのヤン・リシエツキ(Jan Lisiecki)がとてもいい ♪

♪ Beethoven: Adelaide, Op. 46


女声(メゾソプラノ)の歌も聴いてみたのだが、今一つピンとこなかった。アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(Anne Sofie von Otter, 1955- ) というスウェーデンの歌手。

♪ Ann Sofie Von Otter: Adelaide (Beethoven op. 46)


ちなみに、リストがピアノソロ曲に編曲したもの(↓)がある。Garrick Ohlsson の演奏。

♪ Adelaide, S. 466


悪くはないのだが、とくに後半はリストらしく大袈裟な感じになっていて、6分程度の優しい歌が 10分の壮大な?ピアノ曲に変わってしまっている。個人的には好みではない…。


参考:
クリスティアン・ゲルハーヘル(Christian Gerhaher)の "Adelaide" の元の音源はこの CD(↓)のようだ。

CD タイトルの "Ferne Geliebte"(遥かなる恋人)は、ベートーヴェンの op.98 の歌曲 "An die ferne Geliebte"《遥かなる恋人に》からとられている。CD の1曲目に入っている。

FERNE GELIEBTE




参考:
マティアス・ゲルネの元の音源は《BTHVN op.32/94: 歌曲 An die Hoffnung を最高のバリトンで…》で紹介したものと同じ(↓)。

ベートーヴェン:歌曲集(2020年3月リリース)




✏️現代最高のバリトン、ゲルネのDG移籍第1弾!新鋭リシエツキとのベートーヴェン/歌曲集(Tower Records)



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《BTHVN op.32/94: 歌曲 An die Hoffnung を最高のバリトンで…》

《All BTHVN 🎧》


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