一番気になったのは、日本のコンサートにおける現代音楽作品(contemporary works)の演奏機会の低さだ。「後進性」という言葉さえ浮かんでくる…。
✏️The Eroica year: the Bachtrack Classical Music Statistics for 2019
上のチャートは "contemporary works" を含むコンサートの割合を国別に示したものである。キャプションに次のように(↓)書いてあるので、存命中の作曲家の作品を対象にしているようだ。それが、アメリカの 24%に対して、日本は 9%しかないということ…。
"Over 24% of concerts in USA now contain pieces by living composers versus 9% in Austria and Japan."
では、日本で演奏されるのはどんな作品が多いのか? 時代区分で分けたグラフ(↓)が載っている。日本はバロック以前と現代音楽(コンテンポラリー)が極端に少なく、ロマン派時代の作品に偏っている。20世紀音楽は比較的演奏されているようだ。
国民性、国民の好み(嗜好)が出ている…という説明も可能だとは思うが、日本のクラシック音楽界が「古典芸能」や「固定観念」に縛られている、という気がしないでもない。
「ピアノ曲といえばショパン」的な安易なステレオタイプからなかなか脱却できない古い体質を感じてしまうのだが…(^^;)? 学校教育の問題もあるのかも…。
参考《2018年来日ピアニストの演奏曲目を見て思ったこと…》
さて、一番興味のあるピアノ音楽については「忙しかった演奏家ランキング」の中に、演奏回数の多かったピアニストのリストが載っているだけ…。
ピアニストだけ見てみると…。ユジャ・ワンがトップになっている。ヤン・リシエツキも2位と頑張っている。7位のデーネシュ・ヴァーリョン(Dénes Várjon) は知らない名前。
- Yuja Wang
- Jan Lisiecki
- Emanuel Ax
- Daniil Trifonov
- Rudolf Buchbinder
- Sir András Schiff
- Dénes Várjon
- Yefim Bronfman
- Leif Ove Andsnes
- Kirill Gerstein
- Igor Levit
- Jean-Yves Thibaudet
…で、ちょっと気になったので調べたら、1年前にも同じような記事(2018年の Bachtrack の統計に関する)を書いていた。
《2018年、一番忙しかったピアニストは?》
- Yefim Bronfman (78)
- Daniil Trifonov (67)
- Jean-Yves Thibaudet (66)
- Yuja Wang (58)
- Dénes Várjon (57)
- Sir András Schiff (54)
- Kirill Gerstein (53)
- Igor Levit (52)
- Pierre-Laurent Aimard (51)
- Jan Lisiecki (51)
その記事の中に「知らないピアニスト」などとして、Jean-Yves Thibaudet と Dénes Várjon と Jan Lisiecki をあげている。「あとで調べてみよう」と書いているが Dénes Várjon については調べなかったらしい…(^^;)。
よく演奏される作曲家や作品については次(↓)のような感じ。
作曲家では、昨年は「生誕100年のバーンスタイン」が3位だったが、今回は「常連」に戻った感じ。ただ、作品の方では、ベートーヴェンの「エロイカ」交響曲がいつもの「運命」にとって替わったようだ。
その他、女性指揮者や演奏される女性作曲家の作品が増えてきたことも載っている。…が、以前に比較して…という話であり、クラシック音楽界はまだまだ男性優位だ。
昨年12月に発表された「ジェンダー・ギャップ指数」(男女格差指数)で、153カ国中121位という日本では推して知るべし…だと思われる。
Bachtrack の統計では、2013年に100人中たった1人だった女性指揮者は、2019年には8人にまで増えている。それでも8%に過ぎない。
作品の演奏頻度が高い 50人の作曲家の中で、女性作曲家は 2016年には7人、2019年には 13人に増えている。
詳しくは下記の資料をどうぞ。
✏️Classical Music in 2019(PDF)
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