Op.73
🎼 List of works by Ludwig van Beethoven
聴いた演奏は、昨年11月東京オペラシティで、シフがカペラ・アンドレア・バルカを弾き振りしたベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲演奏の一つ。
この記事に載せるために、YouTube で他のピアニストの動画を探そうとしたら、なんとそのシフの(たぶん放送の)動画があがっているではないか…(^^)!
この演奏がとても気に入ったので、今回は他の演奏を探す手間が省けた。今もその演奏を聴きながらこの記事を書いているところ。この演奏好きだ!♪
András Schiff plays Beethoven's Piano Concerto No.1&No.5
シフのことなので?ときどき指がもつれたり、テンポが揺れたり、ちょっと変わった弾き方をしたりする。…のだが、全体としてとても音楽的な調べが醸し出されている。自由に楽しんで音楽をしているシフがいて、結果として出てくる音がとても気持ち良い…そんな感じ…。
でも、この演奏のいい感じの半分(以上?)はオーケストラの音と演奏の素晴らしさだと思う。弦も管もティンパニーも実に活き活きとした美しい音を出すし、テンポの確かさとリズム感がシフの自由な演奏を支えている感じ…。
ピアノ協奏曲第1番の記事にも書いたが、「大きめの室内楽のような趣」があって、この感じはとても好きだ…(^^)♪ 第2楽章の響きの美しいこと!
「大オーケストラ v.s. ヴィルトゥオーゾ・ピアニスト」という構図ではなく、一つの楽団の中の一つの楽器としてピアノがあって、一つの音楽を一緒に作り上げているという一体感を感じるのだ ♪
もう一つ、ベーゼンドルファー(インペリアル)の貢献度も高いかも知れない。シフのこの演奏(解釈)にとてもマッチしている感じがする。
弾むような低音の響きや中音域の和音の美しさ、高音部のちょっとキラキラした感じ…、それをうまく引き出すシフの多彩なタッチ…。その全体が、オーケストラの演奏とうまく組み合わさって、一つの世界観を構成してくれている…♪
この演奏を聴いて、ベートーヴェンに対する見方が少し変わったかも知れない。
どうも、ベートーヴェンというと、小学校の音楽室にあったような厳つい肖像画とか、交響曲《運命》とか、苦悩に満ちた伝記とか、どちらかというと近寄りがたい偏屈な人物…みたいなイメージになりがちだ。そういう風に誘導?している人たちがいるのかも…。
でも、この音楽から感じる人物像は、音楽に対する誠実さはもとより、優しさとか愛嬌とか、ちょっとお茶目なところもある印象なのだ。
また、このコンチェルトも《皇帝》という名前から「ヒロイック」な印象を持ちがちだが、第2楽章の優しさや第3楽章の舞踊的な軽やかなリズムからは、少し違ったものが感じられる。
そのあたりを、これも(たぶん)お茶目な要素を持っておられるサー・アンドラーシュ・シフがうまく引き出している…というのがこの演奏なのかも知れない。
シフに対する親近感が増したかも…。バッハ以外の演奏はあまり好みではなかったのだが、一度ちゃんと聴いてみたいと思えてきた。
それに、これだけの素晴らしい室内オーケストラのメンバーを集めることができる力量というか「人望」というものにも興味が湧いてきた ♪
おまけ。このあとのアンコールで、シフは何と!ピアノソナタ第24番《テレーゼ》を弾いているのだが、これまた素晴らしい演奏だった。
…のだが、その演奏についてはまた後日、記事に書きたいと思う。
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