2018年8月19日日曜日

リーズ課題曲の現代作曲家9人を聴いて思ったこと

リーズ国際ピアノコンクールのセミファイナルでの課題曲に「現代曲」があって、その候補曲 9曲の作曲家を少しずつ聴いてきた。1月から7月末までかかった…(^^;)。

《リーズコンクールの課題曲:ピアノ曲探索はここから ♪》

で、一通り聴いたあとの感想を書いてみようと思った。少しは「違いがわかる」ようになってきた気はするのだが、オススメの曲とかピアニストを言えるほどじゃなさそう…。




一応、作曲者と課題曲の一覧表を再掲しておく。

Pierre Boulez 1st Sonata (10’)
Luciano Berio Sequenza (11’)
Brett Dean Hommage a Brahms (3 pieces – 8’)
György Ligeti Selection of Etudes (up to approx. 10’)
György Kurtág Selection of Játékok (up to approx. 10’)
Thomas Larcher Noodivihik (10’)
Thomas Ades Traced Overhead (11’)
George Benjamin Meditation and Relativity Rag (7’)
Helmut Lachenmann Schubert Variations (7’)


それぞれの作曲家とそのピアノ作品については、各記事(文末【関連記事】)を見ていただくとして、全体の感想を書いてみたい。

現代作曲家といっても、それは一つの「流派」ではないので、それぞれに個性があるのは当然である。とは言っても、やはりどこかに(私の感じる)「現代音楽らしさ」というものがあって、その度合いの濃淡みたいなものが感じられる。

私の好みとしては、その程度が薄い(あまり「現代音楽」らしくない)方が好きだということが、何となく分かってきた。

もちろん、同じ作曲家でも作品によってその傾向は異なるので、一概には言えないのだろうが、あえてその「現代音楽らしさ」の強い作曲家から順に並べてみたいと思う。


一番「現代音楽」を感じたのは、トーマス・ラルヒャー とルチアーノ・ベリオ。で、私個人の好みとしては、あまりにも「現代音楽」的な感じがするので好みではない。

その次に「現代音楽」的だと感じたのは、ピエール・ブーレーズとジョージ・ベンジャミン。ただ、この二人の音楽からは、ある意味「音楽的」なものが感じられて、よく分からないが嫌いではない。もっと聴いてもいいかな?と思った。


現代的だが、ちょっと面白いのがジェルジュ・クルターグとヘルムート・ラッヘンマン。

クルターグについては前からわりと好きでその遊び心にちょっと惹かれていたりする。ピアニストとしてのクルターグ(夫妻)への好感も影響しているかもしれない。

ラッヘンマンについては、お孫さんとピアノで遊んでいる動画に影響されているかもしれないが、作品としても、キーの前面を指の先でグリッサンドしたりしていて面白い。


トーマス・アデスとブレット・ディーンは、あまり「現代音楽」の嫌味(私の嫌いな部分)を感じずに聴くことができる。とくに、トーマス・アデスの場合は、本人がピアニストでもあるせいか、ピアノの音(響き)が魅力的である。


で、今回聴いた中で一番気に入ったのがジェルジュ・リゲティ。リゲティのエチュードはとても「音楽的」な印象。同時に、ピアノ作品としても本格的で「正統派」なのではないかと思った。

このエチュードは、コンロン・ナンカロウが作曲した、人間では演奏不可能な「自動ピアノ作品」に触発されて作られたとのこと。なので、技術的にはかなり難しいのだと想像できる。が、それ以上に「音楽」としての存在感が強い。

いろんなピアニストが(現代曲の専門家でなくても)、リサイタルなどで普通にとり上げるようになってもいいのではないかと思う。


十分に聴いたという訳でもないので、自分でもどこまで「分かった」のか?あまり自信はないが、少なくとも 9月のリーズ国際ピアノコンクールを楽しむ準備にはなったのかなと思う。それぞれのピアニストがどの作品を選ぶのか、そしてそれをどう弾きこなすのか? 少し興味のレベルが上がったような…(^^)♪


おまけ。9人の現代作曲家を聴いていく中で、名前を初めて聞くピアニストが何人かいた。

未知の来日ピアニストも一通り聞き終わった(↓)ことだし、そのうち「ピアニスト探索」の対象として聴いてみようかと思っている。

《2018年来日ピアニストのチェック結果→お気に入り7人 ♪》


一番面白そうなピアニストは、スウェーデンの精神科医のフレドリク・ウレーン(Fredrik Ullén、1968〜)という人。リゲティのエチュードで出会った人だが、ソラブジ、シュニトケ、ペルト、アイヴズのピアノ曲全曲演奏を企てているらしい。

そのほか、フィンランドのパーヴァリ・ユンパネン(Paavali Jumppanen)、イスラエルのオリ・シャハム、台湾の Yin Chiang というピアニスト。



【関連記事】
《ピエール・ブーレーズ Pierre Boulez やはり偉大 ♪?》

0 件のコメント: