今年の "My Piano Life" の振り返りを一通り終えたのだが、何となく物足りなさ?を感じている。目標の達成度も少しはあるが、「振り返り不足」というか、この一年、もっと色々あったような気がしたのだ。
そこで、補遺的な番外編?みたいなものを少し書いてみようと思っている。まずは、今年新たに発見したピアニストたちをランキング形式であげてみたいと思う。
順位付けは、個人的な思い入れや好みによるもの。今後ともお気に入り(候補)であり続けるかどうかも分からないが、少なくとも印象に残ったピアニストたちである。
1. ルカ・ドゥバルグ
ルカくんについては何度も書いているので、詳しくは以下の記事を見ていただきたいが、今年出会った中で一番ワクワク感を感じたピアニストである。チャイコフスキーコンクールで4位入賞、モスクワ音楽批評家協会賞も受賞した。まだ発展途上だが、新しい音楽を聴かせてくれそうな予感がする。
ただ、周り(音楽ビジネス業界など)が騒ぎすぎて、才能を潰してしまわないかという不安も少しある。
ソニーから来春、デビューCD(Domenico Scarlatti; Chopin’s Ballade No 4; Liszt’s Mephisto Waltz; and Ravel’s Gaspard de la nuit, ...)が出るようだが、その記事には「CAMI(大手音楽代理店)とソニーの餌食になる未完成のタレント」みたいなコメントもついている。
2. キット・アームストロング
キットくんも、将来有望系のピアニストである。演奏家としてだけではなく作曲家としても期待しているし、いずれは本物の「音楽家」として新しい音楽を創り出してくれそうな気がしている。
3. ケイト・リュウ
今年のショパンコンクールで3位となったケイト・リュウだが、私の中では間違いなく1位である。何と言っても音色が素晴らしい。もちろん、演奏の完成度という点ではチョ・ソンジンやシャルル・リシャール・アムランには及ばないものの、これからの「伸びしろ」を一番感じさせた。もう一回り大きく成長したケイトくんの演奏をぜひ聴きたいものだ。
4. ルーカス・ゲニューシャス
今年のチャイコフスキーコンクールはとてもレベルが高くて、ファイナリストは誰が優勝してもおかしくないくらいの賑わいだった。そのなかで1番のお気に入りは最初に書いたルカくんだが、その次にいいなぁと思ったのが2位になったルーカスくんだ。
すでにピアニストとして活躍していて、2010年のショパンコンクールでも2位入賞を果たしている。私好みの「面白み」には欠けるが、本格派ピアニストとして大成しそうな風格を持っている。
5. アンドレイ・コロベイニコフ
コロベイニコフについては、チャイコフスキーコンクールでのベートーヴェンのピアノ・ソナタ第32番、その演奏だけでお気に入り候補となっている。他の演奏はあまり聴いていないのだが、とても強い印象を残した演奏だった。
5月のラフォルジュルネでは、ピアノ四重奏のピアニストとして初めて名前を知った。それまではまったく知らなかった人だ。
6. シャルル・リシャール・アムラン
ショパンコンクールで2位入賞となったアムランくんだが、本当は1位でもおかしくないほどの実力者。
7. ダニール・ハリトーノフ
今年のチャイコフスキーコンクールの最年少入賞者。お手本のようなテクニックは申し分なく、このまますくすくと成長してほしい。
将来は「巨匠」の域に達して欲しい、と思えるような逸材だと思う。現時点では、私好みの面白みはそんなにないが、それなりの年齢に達したときの演奏が楽しみである。
8. マルク=アンドレ・アムラン
お気に入りピアニストを探して、どんなピアニストがいるのか勉強を兼ねて50人の海外ピアニストを聴いた。そのときの一番のお気に入り候補がこのマルク=アンドレ・アムラン。同じアムランだが、シャルル・リシャール・アムランとは関係なさそうだ。
ベルクやカプースチンなどの現代曲も見事にこなし、自分で作曲もしているようだ。私の好きなラヴェルやドビュッシーなどもなかなかいい演奏を聴かせてくれる。54歳のベテランである。
9. オリ・ムストネン
マルク=アンドレ・アムランと同じく、50人のピアニストを聴いたときに印象に残ったピアニストの一人。YouTube の演奏を聴いたときの評価は「A-」(最高レベルの A より少し下)だったのだが、改めて一覧表を眺めてみると、印象に残っている一人がムストネンであった。
一つには、作曲も手がけていて、その演奏が気に入ったからだと思う。
10. 松田華音
日本人が一人もいないのも寂しいので、何人かの候補の中から、将来性を期待!という意味で松田華音を10位とした。
ちなみに、日本人ピアニストも海外の50人と同様に、37人を YouTube で聴いてみた。そして、一応4人(↓)をお気に入り候補に選んだ。
こうして眺めてみると、今年はピアノコンクールを5つも聴いたので、そこで出会ったピアニストが多い。必然的に若者が多くなって、将来性を買う選択となっている。その中でも個性的というか、私にとっての面白み(魅力)を感じさせてくれる、新しいものを聴かせてくれそうなピアニストを選んでいる。
もう一つは、作曲も手がけるような「音楽家」に対する好みが表れている。キット・アームストロング、マルク=アンドレ・アムラン、オリ・ムストネンなど。
今年もたくさんのピアニストとの出会い(ほとんどがネットであるが…)があって、楽しませてもらった。彼らが、特に若手が、来年以降もワクワクするような演奏を聴かせてくれることを期待している。
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