ピアノはソロが好きなので、もともと室内楽はあまり聴かないし、そのせいかよく分かっていない。今年5月のラフォルジュルネで聴いたピアノ四重奏が、おそらく生まれて初めて聴く生演奏だったと思う。
今回も何人か聴いて、やっぱりよく分からないなぁ…と思っていたのだが…。最後のアレクシーア・ムーサさんの演奏を聴いて仰天した!♪ ピアノ四重奏ってこんなにも活き活きとして、音楽があふれるように流れ出て…。いやぁ〜思わず聴き入ってしまったのだ!
それにしても、ムーサさん、室内楽は手慣れているという印象を受けた。ソロの時のダイナミックさとは打って変わって、四重奏団の一員として自然に溶け込んでいて、しかもいとも簡単に弾いている印象だ。それなのに音が生きていて実に艶やかで美しい。
聴きながら、何が他のピアニストと違うのか考えていた。音色で言えば、ダニエル・シューくんもきれいだった。弦楽器との一体感という点ではアレクセイ・メリニコフもいい感じだった(やや遠慮しすぎていたかもしれない)。ん〜?
聴き終わって、他の演奏も思い出しながら、何となく分かってきたこと。まとめて言うと、弦楽器と一体化した一つのユニットとして音楽を紡ぎながらも、それぞれの楽器が主張すべきは主張し、脇役もちゃんとこなし、お互いのコミュニケーションが音楽的にきちんと成り立っている…みたいな感じ?
…と書いてみても自分でもよく分からないのだが…。ムーサさんのピアノについて感じたことを書いてみると…。
・ピアノの音色が弦と調和していた
・でも、ピアノパートの音色も際立って美しかった
・音量のバランスが気持ち良かった
・とくにアンサンブルの中での低音部を受け持つ感じの低音がよかった
・テンポ・リズム感の一体化が感じられた
・掛け合いとかユニゾンがしっくりしていた
・ピアノがリードしながら一つの音楽が流れていく感じ
などと説明したくなるのは私の悪いクセのようだが、とにかく心に届いたピアノ四重奏を一日の終わりに聴けたのは、本当に幸せだった。
おまけ。一応、ソロのショパン(24の前奏曲)についても一言。
といっても、24曲もあるとなかなか一言では言えないのだが、全体としてはなかなかいい演奏だったと思う。ただ、曲によっては、私の好みとは少しずれる部分もあった。やはり、この人の個性だと思うが、アルペジオ的な音の多い起伏に富んだ曲はなかなか聴きごたえがあっていい。
もう一つおまけ。昨日はわりと時間があったので6人中4人(シェン・ルゥと三浦謙司くん以外)をライブで聴いたので、簡単に感想をメモっておく。
アレクセイ・メリニコフ
室内楽はいい感じだとは思ったが、魅力的というほどではない。やや遠慮気味のピアノ? シューベルトはおとなしすぎてちょっと物足りない印象。プロコフィエフは頑張ったと思うが、そもそもこの曲自体そんなに好きじゃないのでよく分からない。
ダニエル・シュー
室内楽は、弦との掛け合いもいい感じで、ピアノの音色が美しくていい。シューベルトはちょっと甘すぎる(ペダルが多すぎ?)かもしれないが、わりと好みの演奏。「展覧会の絵」はまずまず。やや歯切れが悪い印象。(そういえばシューベルトも同じような感じ?)
「展覧会の絵」は好きな曲なので、実態以上によく聴こえる、ということもあるかもしれない。メリニコフのプロコも演奏水準としては、シューくんのムソルグスキーと同じレベルのような気もしてきた。
アレクサンデル・ガジェヴ
室内楽ではややピアノが目立ちすぎで、音も硬くて弦と調和していない印象を受けた。ベートーヴェンはちょっと軽すぎかも。別の曲を聴いているのかと思った。次のシューマンもなんだか、ベートーヴェンと同じようなタッチで面白くない。最後のストラヴィンスキー、これが一番合っている感じなのだが…。終わってみると、全部の曲が同じタッチだったのでは? 音のパレットが少ないのか、彼の解釈(好み)なのか…。
最後に、三浦くんだけ録画をちょっとだけ聴いてみた。…あまりいただけない感じかなぁ。1次予選で受けた印象に戻った感じ。ファイナルは厳しいかも(「日本人枠」みたいなのがないとすれば…)。
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