昨日、ひさしぶりにピアノ・リサイタルに行った。
ピアニストは児玉桃さん。初めて聴く人である。ラフォルジュルネのプログラムでたまたま名前を知って、街でたまたまポスターを見かけて、曲目も興味があったので行ってみた。バッハのイタリア風協奏曲、細川俊夫さんのエチュード、ドビュッシーのエチュードである。
会場はこじんまりとしていて、客は100人ほど。部屋のコーナーにピアノがあって、それを囲むように椅子が配置されている。こういう小さい会場で聴くリサイタルも初体験。
すらっとした児玉桃さんが登場。いきなり、バッハのイタリア風協奏曲が始まった。ややロマン派風の出だし。どうなるかと思っていたら、第3楽章が実に活き活きとして、躍動感があり、どんどん進む感じで楽しめた。
2つめは細川俊夫さんのエチュード「ピアノのための」。日本人の現代曲ということで期待がふくらむ。しかも、6曲のうち新しい4曲は児玉さんが初演しているとのこと。
最初に児玉さんから曲の解説があった。6曲のエチュードは、「2つの線」「点と線」「書(カリグラフィー)、俳句、1つの線」「あやとり、2つの手による魔法(呪術)、3つの線」「怒り」「歌、リート」という副題がついており、それが音楽的にどう表現されているかという説明。
演奏がおもむろに始まる。静と動、大音響の余韻と軽やかな旋律、なかなか面白い。響きが直接届いてくる感じ。これはやはり生演奏、しかも目の前にピアノという、ピアニストの息遣いさえ聴こえる環境でないと味わえない感覚だと思う。ピアノからこんな音も出るのか、という驚きを改めて感じた。
20分間の休憩のあと、最後はドビュッシーのエチュード。途中ほんの少しの休みを入れて全12曲。これは、少し予習をしていたので、各曲それぞれに楽しめた。目の前の鍵盤の上で指が鮮やかに軽やかに踊り、難しい曲がボリューム感のある音に紡ぎだされるのを見る(聴く)のは、実に楽しい時間・空間であった。
そして、アンコールはドビュッシーの「月の光」。ダイナミックな曲が続いていたので、静かな旋律が実に美しく感じられた。
全体として、満足度の高いリサイタルであった。なにより、日本人作曲家(細川俊夫氏)のピアノ曲を日本人ピアニストによるいい演奏で聴けたのが一番嬉しかった。小規模のリサイタルで、ピアノの音響をまぢかで体験できたこともよかった。こういうリサイタルにときどき行ければと思う。
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