2018年6月11日月曜日

クルターグのJátékok(ヤーテーコック)面白い♪:ピアノ曲探索

《リーズコンクールの課題曲》の現代作曲家 7人を手始めに「ピアノ曲探索」を進めているが、またしても間が空いてしまった。前回は5月23日の《トーマス・ラルヒャー》

今回の作曲家はハンガリーのジェルジュ・クルターグ(György Kurtág)。実は 2年ほど前に一度チェックしている。割と好きな現代作曲家だ。今年で92歳。マールタ夫人とともにピアニストとしても活躍中。

下の写真は、昨年ジェルジュ・クルターグ(右)とマールタ夫人が "BBT賞"(Borletti-Buitoni Trust award)を受賞して、内田光子さんがその報せを伝えたときのもの。
《おめでとう♪クルターグ夫妻:BBT受賞@91歳の誕生日&結婚70周年!》



で、クルターグについては 2年前に書いた記事がよくできている…(^^;)♪…ので、こちらのブログにもコピー(↓)を作った。これを参照して戴きたい。"Játékok" の興味深い(面白い)楽譜も一部載せてある。

《クルターグ・ジェルジュ:ピアノ音楽の玉手箱♪》

超簡単な紹介:1926年生まれ、ハンガリーの作曲家・ピアニスト。ウェーベルンの後継者と言われ、ジェルジュ・リゲティとは生涯の親友。リスト音楽院の教授時代の教え子にはアンドラーシュ・シフ、ゾルターン・コチシュがいる。

…ということで、今日はリーズ国際ピアノコンクールの課題曲にもなっているピアノ小曲集 "Játékok"(ヤーテーコック)を中心に書いてみようと思っている。


"Játékok" は、英語では "Games"、ドイツ語では "Spiele"、日本語では「(ピアノのための)遊び」と訳される。

バルトークの「ミクロコスモス」を思わせるような、とても短い曲からなる小曲集であるが、子供向けの教育的な作品ではない。クルターグ本人が書いた「前書き」には、

子どもがピアノに触れた瞬間から、自由に全鍵盤に上を自由に走り回れたらという考えが、この作品集を生んだ

…とある。子どもとおとな、初心者と専門家を区別していない。「自由に」ピアノの可能性を引き出すとこんな風にも弾ける、こんな音も出る、といったサンプル集にも見える。


1973年の第1巻から2017年の第9巻まで出版されている。第4巻は "2 pianos"、第8巻は "Piano 4 hands [2 pianos 4 hands]" となっている。他はピアノソロ。

第1巻と第2巻にはたくさんの図形楽譜も含まれている。第5巻からは、手紙や日記のような作品が収められている。


多彩で面白い曲も多いのだが、リーズ国際ピアノコンクールの課題曲としては、この中から 10分程度になる組み合わせを選曲することになっている。→ "Selection of Játékok (up to approx. 10’)"

これはとても面白い。ピアニストの選曲とプログラム構成能力のようなものも試されることになる。とても短い曲が山ほどある小曲集からどうやって選ぶのだろう。

ちなみに、全9巻のうち、2台ピアノ用の第4巻と第8巻とを除くと、ソロ曲は全部で7巻。例えば第1巻には 45曲入っているので、単純に45曲×7巻としても 300曲以上ありそうだ。


コチシュなどが演奏している組み合わせが参考になるかもしれない。YouTube で聴けるものをあげてみると…。

 Zoltán Kocsis' Recital at La Roque d'Anthéron (Part 4/7; Kurtág)

コチシュは16曲で13分48秒。この中の私の好みで言うと、次の2曲、とくにグリッサンドだけで構成されている "Perpetuum mobile" は面白いと思う。

2:08〜 Waltz(Hommage à Shostakovich)
2:33〜 Perpetuum mobile(Object trouvé)

ところで、今回気が付いたのだが、ピアノの音に混じって椅子のきしみ音?みたいなものが聴こえる。コチシュが体を横に重心移動するときの音かも…(^^;)?


 Kurtag - Jatekok, selections - Einav Yarden (part I)

 Kurtag - Jatekok, selections - Einav Yarden (part II)

Einav Yarden というピアニストは 11曲で10分6秒。最初の曲はグリッサンドの "Perpetuum mobile"。part II の3曲目 "Hommage a Farkas Ferenc (evocation of Petrushka)" も面白い。


 György Kurtág Játékok (selection)

Christos Sakellaridis というピアニストの演奏で、11曲で14分05秒。


ところで、全曲録音の CD とかあるのだろうか?と思って調べてみたが、検索で見つかったのは第1巻〜第4巻までの「初めての完全録音」と題したもの(↓)だけ。収録時間は2時間38分ほど。そのあとの第5巻以降は見つからなかった。

ピアニストは Valeria Szervánszky と Ronald Cavaye のデュオのようだ。



レーベル: Valeria Szervánszky & Ronald Cavaye (1993/1/1)


ちなみに、クルターグ夫妻による録音もあるが、全曲ではないようだ。

Kurtag: Jatekok/Marta and Gyorgy Kurtag


レーベル: Ecm Records (2000/3/7)


Kurtág: Játékok, Selections from Volumes 1-4


レーベル: SWR Classic Archive (2014/4/25)


※なお、ハンガリー人の姓名の表記については、本来「姓・名」つまり「クルターグ・ジェルジュ」という説もあるが、ここではリーズ国際ピアノコンクールの表記に合わせて「ジェルジュ・クルターグ」としてある。「アンドラーシュ・シフ」等も同様。


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