『ショパンのピアニスム』という本を読んだ。元旦の記事(↓)で頑張って読むぞ、と書いた本である。四苦八苦しながらも何とか読み終えた。
かなり濃い内容で、分かる部分はとても興味深いのだが、全体的にはやはり難しい内容であった。なので、読書メモは近いうちにボチボチ書いてみようと思っている。ここでは、ひとつだけ意外な発見をご紹介する。
ピアノ一筋だと(勝手に)思っていたショパンであるが、実は大のオペラ・ファンだったそうだ。ショパンの手紙には次のような内容もあるとのこと。(ワルシャワで初めてオペラを観たころの手紙)
「《セビリアの理髪師》が日曜日、劇場で上演された。…ぼくはこの歌劇が大好きだ」
「ぼくも《理髪師》の主題によるポロネーズを作曲した」
それだけではなく、ショパンはオペラの「ベル・カント唱法」をピアノで表現(再現・模倣)しようとしたようなのである。その結果、ショパン独特のメロディ・ラインや装飾音符・装飾句ができたということらしい。
つまり彼は、ピアノの特性(打鍵音+減衰)というか制限のなかで、歌のような滑らかさ、ポルタメント、こぶし、さらには音の途中からのクレッシェンドさえ表現しようとした。さらに(模倣するだけではなく)、それをピアノらしい音楽や奏法にまで高めた、それが素晴らしいと思う。
これを読んで、少しだけショパンの音楽が分かったような気がした。
ショパンを弾くときも基本は「歌うように」ということである。簡単なワルツのメロディさえ「歌うように」どころか、ぎこちなくしか弾けていない私には耳の痛い話である。
ちなみにもうひとつ、最近、ネイガウス先生の口癖だったらしい次の言葉も肝に銘じながら練習している。
「速く、大きな音でピアノを叩くということは、立派に弾くことをまったく意味しない」
美しいワルツが弾けるようになるのはいつのことだろう…。
【関連記事】
《「ショパンのピアニスム」:第1章 ピアノ技法の原理(その1)》
《「ショパンのピアニスム」:第1章 ピアノ技法の原理(その2)》
《「ショパンのピアニスム」:第1章 ピアノ技法の原理(その3)》
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