2024年3月29日金曜日

Bach.KB. W.F.Bach音楽帳(1):ハ長調の小フーガ BWV952 はグールドが弾いていた ♪

「J.S.バッハの全鍵盤作品を聴く」プロジェクト、今日からは『バッハの鍵盤音楽』の第10章「『ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハの音楽帳』と関連作品」。




『ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハの音楽帳』(以下「WFB音楽帳」)は、1720年1月22日、J.S.バッハの長男、ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハ(当時 9歳 2カ月)の教育のために書き始められたもの。

J.S.バッハが作曲した小曲やテレマンなどの作品(の一部)などが教材として書かれており、W.F.バッハが作曲の勉強のために作ったと思われる曲も含まれている。

バッハの作品としてまとまったものとしては、平均律曲集第1巻の前奏曲の初期稿 11曲、インヴェンション 15曲、シンフォニア 15曲が入っている。


「WFB音楽帳」の内容はおおよそ次の通り。

  1. 音名の一覧表、装飾音の記号と説明など
  2. 一群の単純な曲:前奏曲、コラール2曲を含む
  3. 前奏曲11曲(平均律第1巻に収録された)
  4. インヴェンション(プレアンブルム)15曲
  5. シンフォニア(ファンタジア)15曲


『バッハの鍵盤音楽』の第10章「『ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハの音楽帳』と関連作品」に含まれる作品は多岐にわたるので、以下の順番で見ていく。なお、平均律第1巻に収録された前奏曲11曲(初期稿)については平均律の章でとり上げる。

  1. 一群の単純な曲から(1)
    1. BWV994 運指練習曲(アプリカツィオ)
    2. BWV691、BWV753 コラール前奏曲
    3. BWV841〜843 メヌエット
    4. BWV953, 952 フーガ ハ長調
  2. 一群の単純な曲から(2):小前奏曲
    1. 「12の小前奏曲」BWV924, 939 等
    2. 「6つの小前奏曲」BWV933〜938
    3. その他
  3. 関連作品(「WFB音楽帳」には含まれない)
    1. BWV919 前奏曲 [幻想曲] ハ短調
    2. BWV961 フーガ(フゲッタ)ハ短調
    3. BWV918 ロンドーによる幻想曲
    4. BWV899〜902 前奏曲とフーガ/フゲッタ
    5. BWV895 前奏曲とフーガ イ短調
    6. BWV923 前奏曲 ロ短調
    7. BWV590 パストレッラ
    8. BWV991 アリアと変奏 ハ短調
  4. BWV772〜786 インヴェンション
  5. BWV787〜801 シンフォニア


「一群の単純な曲」や「関連楽曲」については教育用の小曲がほとんどなので、音楽鑑賞として気に入った演奏を探すというよりは、どんな曲か知るための音源を聴いていく。

気に入った作品や演奏があれば、それは個別に取り上げるかも知れない。


最初に「WFB音楽帳」全体(全曲とは限らない)を対象としたアルバムと YouTube で聴ける音源を挙げておく。


(ピアノ:Wolfgang Rubsam)



(クラヴィコード:Yuan Sheng)


なお、楽譜もベーレンライター社などから出ている。



今日は「一群の単純な曲から(1)」の 8曲ほどを聴いてみる。

まずは BWV994 運指練習曲(アプリカツィオ)。バッハが指使いを記入している。「3434」「1212」など当時の指使いがちょっと面白い ♪





次はコラール前奏曲の BWV691 と BWV753(断片)。

このピアノ演奏(↓)はちょっといい ♪ 他のコラール前奏曲も 2つ弾いている。


オランダ・バッハ協会にはオルガン(Dorien Schouten)の音源がある。



BWV753 のピアノ演奏。断片なので最後は唐突に終わる。



メヌエット 3曲 BWV841〜843 は上にあげたリュプザムのアルバムに入っている。

(BWV841〜843:トラックNo. 3〜5)


ハ長調のフーガ 2つ。BWV953 は「WFB音楽帳」に入っているが、BWV952 はそれと似たフーガとして紹介されている。 

BWV953 のピアノ演奏。


チェンバロでは有名なピエール・アンタイ(Pierre Hantaï、仏、1964  - )が弾いたものがオランダ・バッハ協会の音源にある。



BWV952 は何とグレン・グールドが弾いていた ♪


小前奏曲なども一緒に録音しているアルバム(↓)があるので、ちょっと楽しみ…(^^)♪



あと、Varvara Miagkova(露、1980 - )という女性ピアニストの素晴らしい演奏も見つけた。この人は、ロシアの児童合唱団の指揮者兼ピアニストらしいのだが、いくつかバッハの小曲を演奏していたりする。



…というので、気になる曲ということで楽譜(冒頭)を載せておく。




出典:

📘『バッハの鍵盤音楽』(小学館、2001年、デイヴィッド・シューレンバーグ 著)

✏️《ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハの音楽帖》全体構成(PTNA)



  にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ 

0 件のコメント: