『現代のピアニスト30』人から、今回はシュ・シャオメイ。2008年と2009年に、ラ・フォル・ジュルネで来日しているそうだ。
CD『J.S.バッハ: ゴルトベルク変奏曲』のジャケット
■ シュ・シャオメイのプロフィール
TOPPAN HALLの アーティストプロフィールからの引用(一部編集)。
シュ・シャオメイ(朱暁玫 Zhu Xiao-mei)
中国の上海に生まれる。幼少の頃より母からピアノの手ほどきを受け、弱冠8歳で北京のラジオおよびテレビで演奏を披露した。10歳で北京音楽院に入学するも在学中に文化革命が起こり、勉学を中断。5年の間、内モンゴルの労働キャンプでの生活を強いられたが、ひそかにピアノの練習を続けた。
その後中国へ戻り、北京音楽院を卒業。1980年にアメリカに渡り、さらにパリ移住した1984年にこの地への定住を決意する。
以降、シュ・シャオメイは、もはや若手ではなくメディアからの支援にも恵まれなかったものの、その演奏家としてのキャリアを瞬く間に花開かせた。これまで、フランスはもとより、ヨーロッパ、北アフリカ、ロシア、南アメリカ、アジア、オーストラリアなど世界各地を旅し、長年あたためてきたJ.S.バッハの『ゴルトベルク変奏曲』などの難曲を演奏し絶賛されている。1990年に録音した『ゴルトベルク変奏曲』は仏「ディアパゾン」誌で5つ星に輝き、名盤として愛聴されている。
2007年10月にフランスのロベール・ラフォン社より、自叙伝『La Rivière et son secret』(ある河とその秘密)を出版。この本は2008年に、フランス語で著された最も優秀な音楽書籍に贈られる「グラン・プリ・デ・ミューズ」(Grand Prix des Muses)を受賞した。
現在は演奏活動のかたわら、パリ国立高等音楽院で後進の指導にも励んでいる。
■ シュ・シャオメイのYouTube音源
♪ Haydn - Sonata in E minor, Hob. XVI:34 (Zhu Xiao-Mei)
※動画は削除されたようだ@2022/06/17
ハイドンのソナタ、たぶん初めて聴く曲である。表情豊かな活き活きとした演奏で、音も高音の転がるような響きがとてもいい。
♪ Schubert - Sonata in B-flat major, D. 960 (Zhu Xiao-Mei)
※動画は削除されたようだ@2022/06/17
シューベルトのソナタである。正直言って、あまり好きな曲ではなかった(シューベルトはちょっとしつこい)のだが、この演奏はいい。ピアノが「歌っている」。40分間、この曲を退屈せずに最後まで聴いたのは初めてかもしれない。
※動画は削除されたようなので入れ替えた@2022/06/17
定評のある「ゴルトベルク変奏曲」を聴いてみた。なんだかとても良い。私の好きなシフの演奏とは違って、やや真面目な感じの弾き方なのだが、何か引き込まれるものを感じる。ときにはとても優しく美しく歌い、ときには力強く音楽をドライヴする。いつの間にか最後まで聴いていた。
※何となく気になって、シフの演奏を聴いてみた。好みから言えばやはりシフであるが、シュ・シャオメイも捨てがたい。さらに何人かのアリアを聴き比べてみた。それぞれに演奏家の「色」のようなものが出ていて面白い。(※コロリオフ以外は再生できなくなっている@2022/06/17)
◆シフ:♪ Bach, Variaciones Goldberg BWV 988. András Schiff, piano
◆グールド:♪ Glenn Gould: Bach Goldberg Variations 1981 Studio Video (complete)
◆ペライア:♪ J.S. Bach - Goldberg Variations, Perahia - BWV 988
「ゴルトベルク」に時間をかけすぎて、以下のスカルラッティのソナタ17曲と、バッハのパルティータ(2番、5番、6番)は、ちょっと聴きかじっただけであるが、どれも魅力的な演奏だ。また日を改めて、ゆっくり聴いて見たい。
※追記@2022/06/17:どの動画も削除された?
♪ Zhu Xiao Mei - (Live 15 novembre Prague, 1994) - Scarlatti 17 sonates
♪ Bach - Partita No. 2 in C minor, BWV 826 (Zhu Xiao-Mei)
♪ Bach - Partita No. 5 in G major, BWV 829 (Zhu Xiao-Mei)
♪ Bach - Partita No. 6 in E minor, BWV 830 (Zhu Xiao-Mei)
■ 感想・お気に入り度
中国人のピアニストというと、ユジャ・ワンとかランランのように少し派手で個性的という印象があるが、シュ・シャオメイはまったく彼らとは異なる音楽をもったピアニストである。
演奏はどこまでも真摯というか、音楽に正面から取り組んでいることが感じられる。といって、面白みがないとか硬いとかいうのではまったくなく、表情も音の響きも多彩で豊かである。フレージングが巧みで「ピアノで歌う」というのはこういうことかと思わせる。多彩な音色と豊かな表現力をもつ正統派、と言っていいだろう。
私の「お気に入りピアニスト」の一人に加えることにした。
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