この作品が出版されたのは 1810年だが、ベートーヴェンは 20代の頃からゲーテなどの詩をもとにした歌を構想しており、散発的に作られた 6つの曲がまとめられたもの。
Op.75
🎼 List of works by Ludwig van Beethoven
6曲のタイトルはこうなっている(↓)。
- Mignon. Ziemlich langsam
- Neue Liebe, neues Leben. Lebhaft doch nicht zu sehr
- Aus Goethes Faust. Poco allegretto
- Gretels Warnung. Etwas lebhaft mit liedehschaftlicher Empfindung, doch nicht zu geschwind
- An den fernen Geliebten. Larghetto
- Der Zufriedene. Froh und heiter, etwas lebhaft
日本語では下記。
- ミニヨン
- 新しい恋、新しい人生
- ゲーテのファウストより(ノミの歌)
- グレーテルの警告
- 遥かなる恋人に寄す
- 満ち足りたもの
で、その内容(歌詞)が面白い。ちょっとモーツァルト的…?
例えば、第3曲の「ノミ(蚤)の歌」はゲーテの「ファウスト」の中でメフィストフェレスが歌う歌だが、
「ある王様が大きなノミを飼っていて、立派な服を着せて大事にしていたため、お妃や侍女たちは刺されるやらかじられるやら大変な目にあう…」
…みたいな内容だそうだ…(^^)♪
第4曲の「グレーテルの警告」の歌詞はこんな感じ(↓)。
「色目と戯れと歌で、誘ってきたの、若く美男子のクリステルが。私は彼にのぼせて、彼は私のすべてを奪ったの、でも、もうそれからは私を喜ばせてくれない。不実な男があなたにぞっこんになっても、信じちゃだめ、男の言うことなんか」
以上、出典は下記。
✏️ゲーテの詩の音楽化構想はボン時代から――6つの歌(ゲザング)第3曲:蚤の歌(ONTOMO)
✏️グレーテルの失恋から学ぶ教訓? 6つの歌(ゲザング)第4曲「グレーテルの警告」(ONTOMO)
ちなみに、ドイツ語の歌は「リート」だと思っていたのだが、「リート」(Lied)は有節歌曲で、「ゲザング」(Gesänge)は通作歌曲だそうだ。
有節歌曲というのは、同じ旋律に 1番の歌詞、2番の歌詞…とつけるお馴染みの形式。通作歌曲は、曲を通して歌詞が進むにつれて違う旋律がつけられていく。
ただ、それほど厳密な区別はないのかも知れない。「ノミの歌」は前奏・間奏があるものの、基本的には「3節の有節歌曲」になっているようだ。
ペーター・シュライアー(Peter Schreier、テノール)とナタリー・ペリッツ(Natalie Pérez、メゾソプラノ)の歌で聴いてみた。1・4・5番が女声、2・3・6番が男声となっている。歌詞の内容に合わせているのか…な?
ドイツ語が聞き取れるともっと楽しめるだろうが…(^^;)。
【関連記事】
0 件のコメント:
コメントを投稿