2020年10月27日火曜日

BTHVN op.85: オラトリオ「オリーヴ山上のキリスト」初めて聴いた ♪

「ベートーヴェンの全作品を聴く」プロジェクト《All BTHVN 🎧》、今日は Op.85 のオラトリオ「オリーヴ山上のキリスト」(1803-04: 33-34歳)。

Op.84 の「エグモント」は序曲だけは知っていたが、このオラトリオは存在自体もほとんど認識していなかった…(^^;)。名前だけはうっすらと知っていたかもしれない?


Op.85

🎼 List of works by Ludwig van Beethoven


ただ、聞き覚えのあるタイトルは「かんらん山上のキリスト」だったと思う。とはいえ、音楽を聴くのはたぶん今回が初めて。

ちなみに、「かんらん(橄欖)」というのは、オリーブと似た別の植物らしい…。


この作品で描かれているのは「オリーヴ山上でのキリストのエホバへの祈りとその受難」だそうだが、それだけではよく分からないので、あらすじをまとめてみた(↓)。


  1. 死を予感しているイエスが、自分の苦しみを天上の神に訴えるように切々と歌う
  2. セラフィム(天使)が現れ、イエスの苦しみを慰めるように、彼の死が人類への愛の救済となると説き、天使たちがそれに同意する合唱を歌う
  3. イエスが死の恐れを乗り越えて神の意志に沿うことを誓い、セラフィムとともに二重唱を歌う→「愛でもって私の心は世界を抱擁する」
  4. イエスを捕らえようとする兵士たちが行進曲風のリズムに乗って近づいて来る
  5. 兵士に気づいたイエスが神に祈りを捧げ、使徒たちは近づいて来る兵士に動揺する
  6. ペテロが剣を抜く、イエスがそれを止める、しばし押し問答、ペテロもイエスとセラフィムに説得される→イエス「私の苦しみはやがて消え救済はかなう」
  7. 終曲:天使たちが「世界は歌う、感謝と栄光を」と唱和する壮大なコーダ


この作品のためのテキストは、聖書そのものではなく、当時ウィーンで有名だったオペラ台本作家・詩人のフランツ・クサヴァー・フーバー(Franz Xaver Huber)のオリジナル。

ベートーヴェンは、この台本作家に色々と具体的な注文をつけたようで、このテキストは共同作業のような形で書かれたものだと言われている。

「ハイリゲンシュタットの遺書」を書いた翌年ということを考えると、この「死の恐怖に苦しみつつもそれを克服するキリスト」の姿は、当時のベートーヴェンの心情の投影と考えるのが自然かも知れない。

音楽を聴いてみると、何となくベートーヴェンの決意のようなもの、あるいは未来を見ている目のようなものを感じる ♪ 「耳の病を克服するベートーヴェン」…。


YouTube にはいくつかの演奏があるが、ケント・ナガノ指揮ベルリン・ドイツ交響楽団の演奏を聴いてみた。キリストを演じるテノールは、私でも名前だけは知っているプラシド・ドミンゴ(Plácido Domingo)。

セラフィム役のソプラノ Luba Orgonasova とペテロ役のバス Andreas Schmidt は初めて聞く名前。もともとオペラなどは聴かないので、まぁ当然だが…。



聴いてみると、なかなか聴き応えのある作品である。朗々と歌うテノールのキリストには、最初ちょっと違和感があったが…(^^;)。


ちなみに、初演は 1803年 4月 5日、アン・デア・ウィーン劇場で行われているが、この作品以外に、交響曲第2番とピアノ協奏曲第3番の初演、さらに交響曲第1番も演奏されている。

しかも、ベートーヴェン自身の指揮で…。何という豪華なコンサート! でも、ちょっと疲れそう…。たぶん、3時間くらい…(^^;)?

このとき、一番評判が良かったのがこのオラトリオだったとのこと。その後も高い評価を受け、生前にはヨーロッパ各地で 80回以上も演奏されたそうだ。


ベートーヴェンの曲はある程度知っているつもりであったが、今回この《All BTHVN 🎧》プロジェクトをやってみて感じたのは、知らない曲が本当に沢山あること。

特に声楽や合唱を含む曲は、ほとんど「第九」しか知らなかったと言ってもいいくらいだ。一つ前の「エグモント」やオペラ「フィデリオ」、そして今回のオラトリオ…。歌曲の数も思ったより多い。

意外に?、ベートーヴェンは歌(人間の声)が好きだったのでは?と思い始めた…(^^)♪



【関連記事】


0 件のコメント: