6. 牛田智大(1999 - )
牛田智大くんも頑張ってほしいと思っている若手ピアニストの一人。今年のリーズ国際ピアノコンクールでは、これまで以上に成長した姿を見せてくれたと(少なくとも私は…)思っている。セミファイナルのシューベルト(ソナタ第21番)はとくに素晴らしかった ♪
審査員の判断は残念なものだったが、コンクールの審査というのはそういうもの(私の好みとはズレることが多いという意味で…(^^;)…)だと思っているので、まぁ、仕方ない。
牛田くん本人も、この曲はコンクール向きではないと思っていたようだし、それでも今弾きたい曲だから選んだというようなことを語っていた。
一番弾きたい曲を、自分の思うように弾けた(たぶん…)ことで本人は満足していると信じたい。これは、彼の将来の成長にとって大きな糧になるのではと思う。
7. ファジル・サイ(Fazıl Say、トルコ、1970 - )
ファジル・サイは、演奏家としても作曲家としても目を離せない存在だ。
ピアニストとしては、ベートーヴェンのソナタやバッハの「ゴルトベルク」でワクワクするような新しくて刺激的(inspiring)な演奏を聴かせてくれた。
今年なかなか気に入ったのは、作曲家として 3作目のピアノソナタ"New Life" Op.99 。
「パンデミックとそこからの復活への期待」をテーマとしていて、とても美しい作品だ。「現代音楽」にありがちな「難解さ」のようなものがなく、心地よく聴ける ♪
8. ダニール・トリフォノフ(Daniil Trifonov、露、1991 - )
トリフォノフの弾くピアノ曲(プログラム)もけっこう意外性に富んでいて面白い ♪
私が J.S.バッハの「フーガの技法」の素晴らしさを認識したのは、実はトリフォノフの演奏を聴いてからだ…。
そして、今年リリースされた新譜 "My American Story: North/ Daniil Trifonov" もいい ♪
ガーシュウィンの「協奏曲へ調」とトリフォノフのためにメイソン・ベイツが作曲した「ピアノ協奏曲」を軸に、ジャズ、モダニズム、ミニマリズム、ポピュラー・サウンドトラックなど、アメリカのピアノ作品を通して、トリフォノフの「アメリカン・ストーリー」を辿るアルバムとなっている。
ある意味、トリフォノフの「ロシア人からアメリカ人になった」宣言みたいな…(^^;)?
9. アレクサンドル・カントロフ(Alexandre Kantorow、仏、1997 - )
アレクサンドル・カントロフは、私の印象は「未完の大器」という感じに近い。チャイコンで優勝したときは、「ピアノの演奏の完成度としては少し物足りないところはあるが、音楽を表現する意志の強さは感じる」などと生意気な感想を書いている…(^^;)。
成熟を期待しているピアニストの一人であるが、今のところ曲(その時々?)により印象がかなり変わる。凄くいい ♪…と思うことがある一方でやや不満を感じることも。まぁ、期待の大きさの裏返しなのだろうが…。
で、今年の新譜 "Alexandre Kantorow Plays Brahms & Schubert" はブラームス(ソナタ第1番)とシューベルト(さすらい人幻想曲)をメインにしたものだった。
「さすらい人幻想曲」には期待したのだが、ちょっと細かいところで私の感覚とはズレを感じた。大きな差ではないが、音楽も「細部に宿る」ものがとても重要になるので…。
10. ツォトネ・ゼジニゼ(Tsotne Zedginidze、ジョージア、2009 - )
彼は作曲家でもあるので、自作のピアノ曲とシューベルト(4つの即興曲 Op.90)とラヴェル(夜のガスパール)というプログラムだった。
✏️【御礼】ツォトネ・ゼジニゼの来日公演について、多数メディアで掲載いただきました(ConcertDoors)
ツォトネ・ゼジニゼ君については、彼が 9歳の頃から注目している。現代ピアノ曲を弾きこなし、現代音楽作曲家でもある。
エリソ・ヴィルサラーゼの従姉妹であるイリアウニ・ニノ・マムラツェ教授のお孫さんで、このお祖母さんがツォトネ君のピアノの先生。
今後の成長に期待したい。"composer pianist" として大成してほしいと思う ♪
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