ゴルトベルクの新しい解釈というのか、これまでにない演奏がこの曲の素晴らしいところを余すところなく引き出している…という印象の活き活きとした魅力あふれる一枚だ ♪
一昨日、ファジル・サイが新しく(初めて?)録音した J.S.バッハの「ゴルトベルク変奏曲」のプレイリストを YouTube で見つけて、興味半分で聴いてみた。
ファジル・サイは元々お気に入りピアニストの一人で、あのファジル・サイが弾くゴルトベルクってどんな感じなのだろう?…という気持ちで…。
最初は、やっぱり普通には弾いてないなぁ…、面白いなぁ…というくらいの印象だった。
ところが、変奏曲が進むにつれてどんどん惹き込まれ、最後まで聴いてしまった。結局、二日間で 3回聴いて、今 4回目を聴きながらこの記事を書いている…(^^;)。
何と言っても、音楽が「活き活きとしている」。現代ピアノならではのダイナミズム、アーティキュレーション(アクセント、スタッカート)、そして生命感あふれるリズムとスピード感。これはまさに「新解釈」といっていい名演だと思う…(^^)♪
全体的にテンポは速くリズミカル…なのだが、一方でロマン派のように美しく歌う変奏曲もあり、ずっと聴いていても飽きることがない。
ただ、気を衒ったようなことをやっている訳ではなく、ある意味とても「正統派」のような気もする。各声部の弾き分け、低音部・内声部の強調なども新しさを感じさせながら、少しも不自然なところがない。
久しぶりに、「音楽に浸る喜び」を感じさせてくれた ♪
…と、感想を書き並べてもこの「ゴルトベルク」の良さは伝わらないので、YouTube のプレイリストを載せておく。よかったらどうぞ…(^^)♪
♪ Fazil Say(Goldberg Variations)
元の CD はコレ(↓)。
解説(紹介)記事もいくつかあって、共感できる部分があったので少し引用…。
✏️ファジル・サイがまったく新しい視点で見た『J.S.バッハ: ゴルトベルク変奏曲』(Tower Records)
「『アリアの低音パートに基づいた変奏曲』という点…ファジル・サイは、この重要な低音パートに目を向けています。バスや内声の大胆な強調、バロック的アゴーギク、ときにはリズムのほんの少しのずらしを加え、メリハリをつけ、右手と左手で強弱の対比を生み出していきます」
「ファジル・サイの洞察に満ちた見事なバッハの頂点のひとつと言えます」
✏️時間をかけて研究し、深く内面化された《ゴルトベルク変奏曲》(ONTOMO)
「はちきれんばかりの生命力にあふれたリズム感。誇張や企みを感じさせない自然な音楽の流れ。そして細部の表情が明晰な、何と生き生きとした《ゴルトベルク変奏曲》だろう」
「CD冊子には、何十本もの色鉛筆と定規を使って、各変奏の織りなす数学的な構造を図に還元しながら思考をめぐらせた形跡がうかがえる」
上記の「何十本もの色鉛筆と定規を使って…」というところが気になって、見たいと思ってネットを探したらありました(↓)♪(こんなの載せていいの?…と思いながら…(^^;)…)
これも凄い! これ、たぶん全曲やったんだろうね…。
ちなみに、昨日はファジル・サイを聴くつもりはなく、もともと好きだったゴルトベルクの演奏を確認したくて、シフやコロリオフなどを聴き始めたのだが…。
それぞれにいいなぁ…と思いながら途中までは聴いたのだが…、何か物足りなさを感じて…🙇♂️…比較のためにもう一度ファジル・サイを聴き始めたら、そのまま最後まで…(^^;)。
あと、久しぶりに聴いたジャン・ロンドーのチェンバロでの演奏はなぜか「物足りなさ」を感じなかったので、いずれ全曲通して聴きたいと思っている。
もう一つちなみに、今ファジル・サイは来日していて、今日の午後すみだトリフォニーホールでゴルトベルクとシューベルトのソナタ第19番を弾くことになっている。ナマで聴きたかったなぁ…(^^;)。
【関連記事】
《LFJ2015:ゴルトベルク変奏曲の楽しみ方(講演会)》
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2 件のコメント:
ぴあさん、お久しぶりです。ぴあさんはいつもリサーチが奥深くて、感心します。Fazilのゴルトベルク、演奏にオリジナリティーが豊富に溢れていておもしろいですね。後でゆっくり聞かせてもらいます。色鉛筆の写真を見て、私がぬり絵の趣味で愛用しているFaber Castell社の色鉛筆に違いない!と嬉しくなりました。音楽のアナリシスにこんな本格的な色鉛筆を使っているとは、さすが芸術家は違いますね。それともFazilは絵画やぬり絵の趣味があったりして?
Gari さん、おはようございます ♪
この色鉛筆って、たしか 2段式の箱に入っているヤツですよね。昔、画材屋さんで見てとても欲しくなった記憶があります。色のグラデーションがとても綺麗で…。でも、絵を描く訳でもないので見ただけです…(^^;)。私も楽譜に色鉛筆で色分けしたことはありますが、3〜4色で十分でしたね ♪
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