第4曲のコラールは、バッハ自身がのちにオルガン独奏曲(BWV645)に編曲しており有名な曲である。ブゾーニやケンプによるピアノ編曲版もある。
BWV140 🎼バッハの作品一覧/Wikipedia
日本語タイトルを「目覚めよと、われらに呼ばわる物見らの声」としているものもあるが、ドイツ語原題 "Wachet auf, ruft uns die Stimme" からすると、「目覚めよと呼ぶ声が聞こえ」「目覚めよと呼ぶ声あり」あたりが妥当なところだろう。
英語で "Sleepers Awake" と表記したものがあったが、簡潔でいい…(^^;)。
このカンタータは教会暦でいうと「三位一体節後第27日曜日」のためのものらしいが、これは毎年ある訳ではなく、復活節が 3月22日から26日の間に(例年より早く)あった年だけに存在する祭日だそうだ。
バッハがトーマス教会のカントルであった期間(1723〜1750)にも 2回しかなく、その最初の機会に(1731年11月25日、46歳)作られたのがこの BWV140 という訳だ。
バッハが精力的にカンタータを作曲したのは 1723年〜1726年の間なので、カンタータとしてはそのあとの作品となる。作曲家として「脂の乗った」時期にこの祭日が来て、この傑作が誕生したことは幸運だったかも知れない…(^^)♪
また、この曲は結婚式の定番曲でもあるそうで、それは聖書(マタイ福音書)にある「10人の乙女が夜中に花婿を迎えに行く」という話に由来している。
夜なので乙女たちは「ともし火」を持っていく訳だが、10人のうち 5人だけが予備の「油」を用意していた。途中経過は下記記事を参照していただくとして…結果的に、油を用意していた 5人だけが無事花婿を迎え入れることができた…という話。
キリスト教では、キリストを花婿に、信者を花嫁にたとえることがあるらしく、「その時」はいつ来るか分からなので常々用意を怠るな…という戒めの話だとのこと。
✏️待ち人来る!バッハ『目覚めよと呼ぶ声が聞こえ』~古楽器で聴く結婚式の定番曲(4)(孤独のクラシック ~私のおすすめ~)
曲の構成は次のようになっている。
花婿の到着が遅れたために眠ってしまった乙女たちを起こす声から始まる。二重唱はキリストである花婿(バス)と花嫁の心(ソプラノ)の間で交わされる。5曲目ではキリスト(バス)が花嫁に対し「永遠の契り」を宣告する。
- コラール:目覚めよと、われらに呼ばわる物見らの声
- レチタティーヴォ:彼は来る、まことに来る
- 二重唱:いつ来ますや、わが救いのきみ?
- コラール:シオンは物見らの歌うの聞けり
- レチタティーヴォ:さらばわがもとへ入れ
- 二重唱 わが愛するものはわが属となれり
- コラール:グローリアの頌め歌、汝に上がれ
以上、主な出典(参考記事)は下記。
✏️楽曲解説「カンタータ140番」(Ensemble Bach)
✏️曲目解説・たまには有名曲も~「目を覚ませと呼ぶ声が聞こえる」BWV140【三位一体節後第27日曜日】(♪バッハ・カンタータ日記 ~カンタータのある生活~)
聴いたのはオランダバッハ協会の演奏(↓)。有名なコラール前奏曲の部分を期待して聴き始めたのだが、第1曲からとても素晴らしい曲で、すぐに気に入ってしまった…(^^)♪
指揮は前回の BWV106 と同じ Jos van Veldhoven(ヨス・ファン=フェルトホーフェン)。35年間芸術監督を務めてオランダバッハ協会を育て上げた人物。
その後を継いだ佐藤俊介は、最近「一人二役」で 2つのヴァイオリンのためのカノンを録画していたりする(↓)♪
以下、ご参考の YouTube 音源。
BWV645 のオルガン演奏。オルガニストは Wolfgang Zerer(ドイツ、1961〜)。
ブゾーニによるピアノ編曲版。若き(15歳)ヤン・リシエツキの演奏 ♪
ヴィルヘルム・ケンプ(Wilhelm Kempff、1895〜1991)によるピアノ編曲・演奏。
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