2021年5月14日金曜日

エリザベート王妃コンクール/Semifinal前半はマルセル田所かな ♪

昨日、エリザベート王妃コンクール(ピアノ部門)のセミファイナルの演奏をざっと聴いてみた。前半の 6人を聴き終えたことになる。

応援しているピアニストのうち 2人が登場するので、少し期待しながら聴いたが、良かったのは Marcel Tadokoro。もう一人の Zang Xiaolu はやや期待はずれの感があった。




最初にリサイタルを聴いたのだが、課題曲の "Nocturne" が意外と?良かった ♪ 二日ほど前に最初のコンペチタの演奏を聴いて、「この曲は好きじゃない!」と書いてしまったが、演奏によってかなり印象が変わるようだ(後述)。

曲目は下記。クープランは雰囲気があってとてもいい感じで、ベートーヴェンのヴァリエーションも気持ちよく聴けた ♪ ただ、ストラヴィンスキーの「ペトルーシュカからの3楽章」はもう少しダイナミックさがあっても良かったのでは?…と思った。

PIERRE JODLOWSKI Nocturne
FRANÇOIS COUPERIN La Visionnaire
LUDWIG VAN BEETHOVEN 6 Variations in F major op. 34
IGOR STRAVINSKY Three movements from Petrushka


モーツァルトのコンチェルト(n. 17 in G major KV 453)も、粒立ちのよい音で心地よく聴かせてくれる。

…のだが、全曲を聴いてみると、やや音色の幅が狭い感じがするのと、もう少し派手さやメリハリがあってもいいかも…という感じがしないでもない。

でも、ファイナルに進んで欲しいピアニストであることに変わりはない。


ところで、名前からして日系フランス人なのかな?…くらいにしか思っていなかったが、少なくとも高校生くらいまでは日本で活躍していた人のようだ(↓)。

1993年日本で生まれ、8歳でピアノを始めた。第29回ピティナピアノコンペティション全国大会C級銀賞(2005年)、名古屋市菊里高校音楽科在学時に全日本学生音楽コンクール名古屋大会で、高校生の部第1位、同全国大会第3位。

第84回日本音楽コンクール(2015)では、少なくとも 3次予選までは進んでいるようだ。このときは「田所光之マルセル」という表記になっている。


私が「マルセル田所」という名前を認識したのは、たぶん 2018年の浜松国際ピアノコンクールのときで、フランスのピアニストとして登場している。

このときは、コンクールが始まる前に 89人のコンペチタをざっと聴いて 16人のお気に入り候補を選んでいるが、その中にマルセル田所の名前がある。よく見ると、Zang Xiaolu(ザン・シャオルー)の名前も…。


結果は、マルセル田所が 2次予選まで、ザン・シャオルーが 3次予選まで進んでいて、務川慧悟くんが 5位入賞を果たしている。



プロフィールを見ていて一つ驚いたことがある。

マルセル田所がパリ・エコールノルマル音楽院で師事しているのは Rena Shereshevskaya(レナ・シェレシェフスカヤ)。リュカ・ドゥバルグやアレクサンドル・ カントロフを育てた、あのレナ先生なのだ…(^^)!

ラ・ロック・ダンテロンのレナ先生のマスタークラスで、生徒にマルセル田所の名前があったこと(↓)も頷ける ♪


ちなみに、面白い記事も見つけた。ルカくん(リュカ・ドゥバルグ)が 2019年に来日したときのインタビュー記事(音楽の友)の中にこんな発言(↓)がある。ちょっと嬉しい ♪

日本の若いピアニスト、例えば藤田真央や田所マルセルを聴くと、指だけではない、知性によって作曲家のメッセージを弾き示すという、規則やシリアスな学びができている。これには敬意を覚えます


ついでの情報だが、マルセル田所と韓国の Su Yeon Kim は、現在開催中のモントリオール国際ピアノコンクールのファイナリストにもなっている。モントリオールがビデオ審査になったので、こういうことが可能になったわけだ…(^^;)。

8人によるファイナルの結果は、現地時間 5月14日 10:00am に発表される予定。日本時間では今日の 23:00 ということになる。


また、今年に延期された第18回ショパン国際ピアノコンクールにも出場する予定になっている(↓)。ちょっと注目していようと思う…(^^)♪



で、エリザベート王妃コンクールのセミファイナルは残りあと 6人(↓)。現時点(13:15)では務川慧悟くんの音源だけがアップされているようだ。

5/13
16.00 - Mr. Keigo Mukawa★
20.00 - Mr. Sergei Redkin

5/14
16.00 - Mr. Aidan Mikdad★
20.00 - Mr. Dmitry Sin

5/15
16.00 - Mr. Jonathan Fournel
20.00 - Mr. Yuki Yoshimi


おまけ。Pierre Jodlowski 作曲の委嘱作品 "Nocturne" だが、マルセル田所の演奏でやっとどんな音楽か分かった。というか、やっと音楽を感じられる演奏に出会った。

この曲を最初に聴いたときには「少しも音楽性が感じられず、美しくなく、『現代音楽』的な『嫌味』(私の嫌いなところ)が沢山あって…」と酷評したが、それは撤回しようと思う。失礼しました…(^^;)。

マルセル田所の演奏を聴くと、弱音のところもクッキリと音が聴こえて、強い打撃音も雑音にはならずちゃんとした「楽音」として聴こえてきて、全体としても曲の構成がよく聴き取れるようなしっかりした「解釈」だったと思う。

他に何人かの演奏を聴いたが、弱音部分はボソボソして何を言っているかよく分からず、強い音は乱暴で耳を塞ぎたくなるような音が多く、とても聴いていられない…申し訳ないけれども…それが正直な感想だった。

でも、ピアノ作品として好きかどうか?というと、まぁ、あまり好きじゃない…(^^;)。



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