エリザベート王妃コンクール(ピアノ部門)のファイナルが始まっている。6人のファイナリストが、毎日一人ずつ、課題曲と自分で選んだコンチェルト(↓)を弾く。
5/24 Vitaly Starikov:チャイコフスキー1番
5/25 Tomoki Sakata:ブラームス2番
5/26 Keigo Mukawa:プロコフィエフ2番
5/27 Sergei Redkin:ラフマニノフ3番
5/28 Dmitry Sin:ラフマニノフ3番
5/29 Jonathan Fournel:ブラームス2番
課題曲となっている委嘱作品、Bruno Mantovani 作曲の "D’un jardin féérique"(妖精の園より)がどんな作品なのか聴きたくて、公式サイトのアーカイブ音源(↓)を聴いてみた。
5月27日の午前中時点では、ロシアの Vitaly Starikov と阪田知樹くんの音源しかアップされてない。務川慧悟くんも昨日演奏したはずだが、アーカイブはまだ…。
最初に聴いた Vitaly Starikov の演奏は、正直にいうと、あまり面白くなかった…(^^;)。ピアノの音がモヤモヤ?していて、退屈な印象。どちらかというと、オーケストラの多彩な音の方が目立っていた。
曲としては、管楽器や打楽器の使い方が面白くて、出てくる音もなかなか魅力的なのだが、ピアノの存在感(立ち位置?)が今ひとつよく分からない感じ…。
…だったのだが、次に聴いた阪田くんの演奏で、この作品の良さが少し分かった気がした。ピアノはもっとくっきりした音で、この作品の面白い音響を作り出す一員として、しっかり役割を果たさなくてはならなかったのだ ♪
ただ、聴き終わった私の中に、ちょっとだけ「物足りなさ」が残っていた。それはたぶん、私がピアノ協奏曲の主役としてのピアノを期待していたからだろうと思う。
この作品は「ピアノ協奏曲」とは言ってない。「オーケストラとピアノのため」の曲なんだろうと思う。そう思って聴くと少し納得できる。
公式サイトに作曲家本人の言葉がある。
それによると、この作品はラヴェルの "Ma Mère l’Oye"(マ・メール・ロワ)第5曲 "Le jardin féerique"(妖精の園)からヒントを得ているそうだ。
その途中にある「上昇するムーブメントから九の和音(ninth chord)」に至る、時が止まったように感じる部分が特に作曲家のお気に入りで、委嘱作品にこれを使おうと、自らがマ・メール・ロワを指揮しているときに思いついた…と書いてある。
ピアノについては、"the piano part develops into more melodic, then ornamental, and then mechanical playing"(メロディー、装飾的部分、機械的部分が展開される)と…。
この "ornamental" という言葉で、私の感じた「物足りなさ」の理由が少し分かったような気がした。ピアノのフレーズは華やかなのだが、主役というより装飾に感じたのだ。
この短い解説を読んで、務川くんの演奏にちょっと期待が高まった。
フランス物が得意で、パリ国立高等音楽院に在籍し、さらに今回初めて知ったのだが「マ・メール・ロワ」をピアノ独奏版に編曲していたりもするのだ…(^^)♪
✏️ラヴェル/務川慧悟 編曲:「マ・メール・ロワ」(ピアノ独奏)(MUSE PRESS)
課題曲のインスピレーションの元となった「妖精の園」の演奏を YouTube で見つけた ♪
おまけ。務川慧悟くんの公式サイトを見たら、師事した先生の中に、セミファイナルで指揮をしていたフランク・ブラレイの名前があった…(^^;)。
【関連記事】
《エリザベート王妃コンクール》(まとめ)
0 件のコメント:
コメントを投稿