例えば、先週聴いたキット・アームストロングのバッハは、ピアノの先生が弾くバッハとは、技術レベルだけではなく、そもそも「種類?」が違うものだと思う。比較しようとも思わないし…。
一方で、レベルはぐ〜んと下がるのだが、自分が趣味でピアノを練習するときに、「アマチュアの目指すべきいい演奏とは?」ということを考えていたりもする。
→〈My Piano Life 2014 振り返り4:ピアノ・音楽を考える〉
…で、徒然なるままに、「ピアノ演奏の種類」みたいなことを考えてみた。
まずは、最高のAランク。これはピアニストの中でも「巨匠」と言われる人の演奏。音楽・芸術の神様が微笑むレベルの演奏である。キット君(キット・アームストロング)の今回の演奏はこれに入れていいと思う。
私の中では、アルゲリッチ、バレンボイム、シフ、ポリーニ、内田光子などのベストの演奏がこのジャンルに入る。キット君は、個別の演奏はいいとして、ピアニストとしての殿堂(Aランク)入りはもう少し先になるかもしれない。
次がBランク、「プロ」と言えるピアニストの演奏。
コンサートやリサイタルで聴衆を満足させるレベルの演奏である。私のお気に入りピアニストのうち、Aランクに入れなかった人の演奏である。生で聴いたことのある数少ないピアニストでいえば、ティル・フェルナー、アンヌ・ケフェレックなど。
次のCランクもプロであるが、「職業ピアニスト」という言い方のほうがしっくりくる。
聴衆の前でピアノを弾くことを生業としているのだが、まあそこそこの演奏、という感じ。人数としてはかなり多いかもしれない。名前を挙げるのは差し控えたい。
そして、ここからはプロではない人、あるいは、「ピアニスト」までは行けてない人たちの演奏。
Dランクは、演奏活動をメインとしていない「ピアノ弾き」の人たち。
ピアノの先生とか、アマチュア・ピアニストなどの演奏がこのジャンルに入る。ピアノ発表会で聴くと感心するレベルの演奏。模範演奏であったり、すごい素人であったり、という感じ。
アマチュアのコンクールに出るような人もこの範疇に入るだろう。
Eランクは「発展途上」の人たちの演奏。
音大の学生からピアノ教室の生徒まで。その演奏は、あくまで成長の過程の一つの段階(達成レベル)として聴かれるものである。演奏のレベルとしては、親だけが感動する幼児の演奏から、プロ並みの演奏まで幅広いと思われる。
そして最後に、おまけのFランク。
「演奏」とは言い難いかもしれないが、一応「ピアノを弾いている」。趣味でピアノ演奏を楽しむ多くの人たちはこのランク。
もちろん、中にはとても上手な人もいるし、たまに発表会や町内イベントで弾くこともあるだろうが、一番の目的は「自分が楽しむこと」。ピアノの発表会でたまにお目にかかることもある(なぜかオジさんであることが多い?)。
私自身は間違いなくFランクの、その中でもかなり下の方にいるのだが、実はこの「自分の楽しみで弾く」多くの人たちは、ピアノ界・音楽界にとってとても貴重な存在なのではないかと思っている。クラシック(ピアノ)・ファンの中でも、少しでも自分で弾く人というのは「ファン」の中身が濃いような気がするのだ。
自分自身、ピアノを練習し始めてから、鑑賞のレベルがかなり上がったような気がする。
好みの演奏、好みのピアニストがはっきりしてきたし、ピアノ奏法とかピアニストの師弟関係とか作曲家のことを知ることでも、より深く聴けるようになったと思う。
個人的には、日本のピアノ界がもう少し活性化して、世界に通用するAランクの日本人ピアニストが登場することを期待したい。(今年のコンクールで出てくるといいなぁ…)
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