有名なピアニストでいえば、チェコ生まれのアルフレート・ブレンデル、ルドルフ・ゼルキン、ルーマニアのクララ・ハスキル、ディヌ・リパッティ、ラドゥー・ルプー、旧ユーゴのイーヴォ・ポゴレリチ、ケマル・ゲキチ、ブルガリアのアレクシス・ワイセンベルク、といったところである。
『ピアニストの系譜』
(真嶋 雄大 著、音楽之友社 2011/10/5)
読書メモ6:東欧(チェコ等)
本の紹介・目次は→《本「ピアニストの系譜」》
ハンガリーとポーランドを除く東欧の各国のピアニストの系譜を見ていく。
チェコ
チェコでは18世紀の後半に何人かの大ピアニストが登場するが、なぜか19世紀には目立ったピアニストは出ていない。(作曲家のスメタナは19世紀の人、一応ピアニストでもあった)しかし、20世紀に入ると活況を呈したようだ。
しかし、残念ながらほとんど聞いたことのない名前なので、少しとばして割と新しい世代のピアニストを上げてみることにする。
一番重要なのは、アルフレート・ブレンデル(1931-)だろう。2008年に惜しまれながら引退したが、間違いなく20世紀を代表するピアニストの一人である。Wikipediaでは「チェコ出身でクロアチアで育ったオーストリアのピアニスト」となっている。
これまでにも優秀な弟子を育てている。アンヌ・ケフェレック(1948-)、ティル・フェルナー(1972-)、クララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールで優勝したマルティン・ヘルムヘン(1982-)、エリザベート・ヴェステンホルツなど。また、来日中のキット・アームストロング(1992.3.5-)もブレンデルの秘蔵っ子である。
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ブレンデルの兄弟弟子には、マルク=アンドレ・アムラン(1961-、フランス系カナダ人)を育てたラッセル・シャーマンという人がいる。
そのほか、ルドルフ・ゼルキンも、活躍したのはウィーンが中心であるが、生まれはチェコである。また、フリードリッヒ・グルダ、マルタ・アルゲリッチ、ネルソン・フレイレなどを育てたブルーノ・ザイドルホーファーという人もいるようだ。
ちなみに、ザイドルホーファーを調べて(検索して)いたら、ちょっと面白いブログを見つけた。「アルゲリッチを育てた」は少し怪しいかもしれない…。
↓
✏️ザイドルホーファー|妹尾哲巳
スロヴァキア
ほとんど知っている名前がない。期待される若手を上げておく。
2004年〈プラハの春〉国際音楽コンクールで第3位に入賞したマティ・アレンダーリク(1982-)のほか、マグダレーナ・バユショヴァー(1976-)、ラディスラフ・ファンゾヴィツ(1980-)、ヤクブ・チジマロヴィチ(1985-)がいる。
ルーマニア
ルーマニアにはピアニストよりも声楽家が多いそうだ。
代表的なピアニストは、クララ・ハスキル(1895-1960)、ディヌ・リパッティ(1917-50)、ラドゥー・ルプー(1945-)がいる。
若手では、クララ・ハスキル国際ピアノコンクールで16歳の若さで優勝したミハエラ・ウルスレアサ(1979-)、ロン・ティボー国際音楽コンクールで5位に入賞したダン・アタナシウ(1955-)も活躍している。
旧ユーゴ
有名なのは、ちょっと風変わりなイーヴォ・ポゴレリチ(1958-)、何度か来日しているケマル・ゲキチ(1962-)。二人ともショパン・コンクールでの事件を起こしている。
ブルガリア
ルーマニアと同じく、声楽家が多いお国柄らしい。
唯一、名前を知っていたのだがアレクシス・ワイセンベルク(1929-)ぐらい。若手もいないようだ。一番若い?人が「日本でも公開講座でお馴染み」というアントン・ディコフ(1938-)である。