『現代のピアニスト30』人から、今日はティル・フェルナーという人。個人的には、バッハはアンドラーシュ・シフで決まりと思っていたが、もう一人素晴らしいバッハ奏者を見つけたかもしれない。
■ ティル・フェルナーのプロフィール
KAJIMOTO(招聘会社)サイトのプロフィール・ページより一部編集して引用する。
ティル・フェルナー(Till Fellner、1972年~)
ウィーン生まれ。ヘレーネ・セド=シュタトラーのもとで学び、その後アルフレッド・ブレンデル、マイラ・ファルカス、オレグ・マイセンベルク、クラウス=クリスティアン・シュスターに師事。
1993年に権威あるクララ・ハスキル国際コンクールにオーストリア人としての初優勝以来、世界中の著名オーケストラと共演を重ねているほか、ヨーロッパ、アメリカ、日本などの主要コンサートホールで演奏しており、各地の音楽祭にもたびたび招かれている。
2010年秋、ニューヨーク、ワシントン、東京、ロンドン、パリ、ウィーンで同時進行していたベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲演奏会が、2シーズンの時を経て完結。日本でも大きな評判を呼んだ。今後は、ハイドン、シューマン、リスト、キット・アームストロングの作品の初演などに取り組む予定である。
室内楽も引き続き積極的に取り組んでおり、リサ・バティアシュヴィリとエイドリアン・ブレンデルとのトリオではヨーロッパ・ツアーを行うほか、ハリソン・バートウィッスルの世界初演を予定。またた、マーク・パドモアとのシューベルト三大歌曲集のリート・リサイタルも世界各地で予定している。
これまでに多数のCDを録音、最近では「ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番&第5番/ケント・ナガノ指揮モントリオール響」「トーマス・ラルヒャー:遊離基(フリー・ラジカル) /デニス・ラッセル・デイヴィス指揮ミュンヘン室内管」がECMよりリリースされている。
■ ティル・フェルナーのYouTube音源
※追記@2022/04/05:バッハの演奏で気に入ったティル・フェルナーさんなのだが、残念ながら下記の YouTube 音源はすべて聴けなくなっている(Premium会員は聴けるようだ)。
仕方ないので Spotify で下記 CD のいくつかの演奏を聴いた。やはりいい…(^^)♪
♪ Bach Präludium und Fugue Fis-Dur
最初の音が鳴ってすぐに、その美しさにひき込まれた。曲はバッハの平均律第1巻の第13番 嬰ヘ長調(BWV858)。途中で聴きあきるかな?と思いながら、けっきょく最後まで聴いてしまった。
♪ Johann Sebastian Bach : French Suite No.5 In G Major, BWV 816 (1)
このフランス組曲もすばらしい。バッハ、とくにフランス組曲とイギリス組曲はシフで決まり、と思っていたのだが…。
♪ Johann Sebastian Bach : 15 Two-Part Inventions, BWV 772/786 (1)
♪ Johann Sebastian Bach : 15 Two-Part Inventions, BWV 772/786 (2)
子供が練習曲としてよく弾く曲であるが、ティル・フェルナーの弾く「インヴェンション」は別格の音楽作品になっている。
作曲家も曲も知らなかったが、なかなかいい曲・演奏である。
ユリウス・ロイプケ(Julius Reubke, 1834年~ 1858年)という人はリストの愛弟子で、このソナタもリストに捧げられている。残念なことに24歳の若さで亡くなっている。
それでも、このソナタはいまでもときおり演奏会で演奏されるようだ。代表作は19世紀のオルガン作品の最高傑作の一つとされる『詩篇94番によるオルガンソナタ』(1857年)とのこと。
■ 感想・お気に入り度
バッハが実に美しい。音色が素晴らしいし、ロマン派的な響きを見せながらも、最後まで端正なバッハを聞かせてくれる。アンドラーシュ・シフとはまた違った魅力を持っている。
ベートーヴェンも聴いてみたいと思ったが、残念ながらYouTubeでは協奏曲のサワリだけしか見つけられなかった。
ソナタの全曲演奏をしたときの録音は残ってないのだろうか?と思って探したら、下記で「ハイレゾ音源」が配信されているようだ。40秒ほどの「試聴」を一通り聴いてみたかぎりでは、いい感じの演奏もいくつかあったが、私のイメージと違うものもあり、これだけでは正直よく分からない。
これまで知らなかったピアニストを順番に聞き始めてから、初の「お気に入りピアニスト」入りである。少なくともバッハについては、今のところ文句なしだ。
他の作曲家の曲も聴いてみたいと思っている。とくに「キット・アームストロングの作品の初演などに取り組む」と紹介されているあたりが気になる。現在活躍している「同時代の作曲家」の作品を弾くピアニストにとても興味があるので…。
□ (参考)ティル・フェルナーのCD音源
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