2014年6月6日金曜日

ポリリズムを克服する10の方法

ドビュッシーのアラベスク第1番、楽しみながら譜読み中であるが、「2:3」のポリリズムがなかなか慣れない、というかうまくいかない。楽譜でいうと6~9小節目(下記はその後半部分)である。




ということで、練習方法をいろいろと考えた。これまでに取り組んできたことと、これから試してみようと思うことを整理してみた。

問題は、たぶん「感覚的な慣れ」「身体的な慣れ」「音楽的な慣れ」という3つの「慣れ」だと思う。最終的には二つの音楽の流れを同時に意識してコントロールすることであろう。2声のフーガと同じような感覚だと思われる。

ピアノの前に座って曲を使って練習する方法と、慣れるためにピアノを使わないリズム練習のようなものの両方を組み合わせている。大まかに言うと3通りの方法がある。

  1. リズム練習(ピアノを使わない練習)
  2. 片手練習での準備
  3. 両手練習での段階的アプローチ

以下、それぞれの具体的なやり方を説明する。


1. リズム練習(ピアノを使わない練習)


「2:3」のリズムに慣れる練習である。

①「タンタカタン」で2:3のリズムを刻む

これはよく知られた方法である。「タンタカタン」のかわりに「ポンポコリン」でもよい…(^^;)。

1拍を6分割すると、2連符(8分音符2つ)は「123・456」、3連符は「12・34・56」となる。「タンタカタン」は6つからなるので、下記のように、例えば左手で2連符、右手で3連符を刻む(ひざを手のひらで打つなど)練習である。ある程度の時間(数分~)続けて、手と耳を馴らすことが重要である。

2連符→ ンタタン :赤いタとカで刻む

3連符→  :青いタ3つで刻む


②歩きながら、3連符を歌う

歩行は「2連符」が自動化されている。これを利用して、歩きながら3連符を声で(頭の中で)刻む、または3連符のメロディーを歌う方法である。

最初は、2連符の最初の拍(例えば左足)だけを意識して「1:3」のつもりで歌うとうまくいく。歌いながら、もう一方の足も意識すると「2:3」の完成である。

これもある程度の時間続けて慣れることが大事である。が、もっと大事なのは安全な場所(道)で、周りを見ながらやることだ。


③風呂の中でのリズム練習

これは風呂で湯船につかりながら、湯船の底を鍵盤に見立ててやる指の練習である。トリルや難しい指使いの練習で、数々の効果を上げてきた方法だ(私の場合ですが…)。

たとえば、左2連符を「32・32」の指で繰り返しながら、右手の「432・432」の指で繰り返す。最初はうまくいかないので、左は「3-・3-」の1拍だけにする。途中から何気なく左手を「3-」から「32」に変えるのだが、コツは2の指をとても「軽く」打つことである。

《お薦め♪風呂での練習》


2. 片手練習での準備


さて、ピアノに向かって、まずは片手ずつの練習をするのだが、この段階で少し準備をしたい。


④片手練習:拍を意識して

右手だけ、左手だけの練習をするときも「拍」をより意識しながら行う。このとき、ポリリズムとは直接関係ないのだが、(ドビュッシーなので)「ペダル」を楽譜どおりにつけて練習するとよい。


⑤左手を弾きながらメロディを歌う

つぎに、左手の練習のときに、右手の3連符のメロディーを歌いながら弾いてみる。右手で弾くより楽に3連符で歌えるはずだ。ここで「音楽的」なポリリズムを体感して、慣れておくとよいと思う。


⑥頭で拍子をとりながら右手メロディを弾く

頭を上下させてリズムをとることは、一般的にはあまり推奨されないようだ。が、練習方法と割り切ってやってみよう。頭を上下させるのは②の「歩行」と同じく、ある程度「自動化」できると思われる。最初は、首のダウン(「1ト2ト」の1や2)だけを意識して、途中からアップ(「1ト2ト」のト)を意識する。


3. 両手練習での段階的アプローチ


いよいよ両手練習だが、すぐにうまくいかない場合の、段階的な練習方法をご紹介する。


⑦左手を1拍だけにする(1:3)

これは予備的な練習。アラベスク第1番のこのフレーズでは、左手を、例えば低音の"E"(ミ)の音を4分音符で連打すればよいだろう。これは簡単にできるはずだ。


⑧左を2拍だけどワンパターン

⑦から進んで、左手を"E"→"e"(8分音符でオクターブ)の繰り返しとする。「2:3」ではあるが、左手がほぼ意識せずに弾けることで、右手の3連符に集中できる。(で、次は楽譜どおりしかない。)


⑨超部分練習(少しずつ)

それでもうまくいかない場合、1拍ずつに分けて練習する。1拍分の「2連符:3連符」ごとに練習するのだが、大事なのはそれに続く1/3拍までをまとめて弾くこと。図で示すと、下の楽譜の赤や青の枠で囲んだ部分になる。これをだんだんつなげて練習すれば、さいごは完璧になる(はずである)。



⑩左手ウラ拍は軽く添える程度に

もう一つ、補足的なコツを紹介する。左手の2連符の「ウラ拍」(「1ト2ト」のト)を限りなく軽く弾くことである。逆に言うと「オモテ拍」を強く弾いて「1:3」の感覚で弾くのである。練習では、少し極端に強弱をつけるとよい。実際の演奏でも「ウラ拍」はやや軽くなるはずだが、やりすぎるとよくない。


以上、自分自身が不得意なので考えられるかぎりの練習方法をまとめてみた。

現在、②③は日常的にやっていて、ピアノの練習では④~⑦あたりを試している。そろそろ⑧⑨に移ろうかと思っているところである。

ちなみにもう一つ、アラベスク第1番では部分的にポリリズムが出てくる場所がある。たとえば10小節目の(4拍子の)1拍目だけ、13小節目の4拍目だけが「2:3」になっている。これも慣れるために先に練習している。「タンタカタン」を心の中で唱えながら。



【関連記事】
《本 「ピアノ演奏芸術」:第2章(2/2) いくつか、リズムについて》


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