2014年6月13日金曜日

ピアノの「脱力」奏法についての大きな勘違い!?

ドビュッシーの「アラベスク第1番」を練習していて気がついたことがある。左手のアルペジオがとてもぎこちないことである。柔らかく滑らかに弾こうとしているのだが、うまくいかない。

そして、その原因が「脱力」についての大きな勘違い、というか見過ごしだったかも知れないのだ。たとえば、次のような箇所の左手。




もともとアルペジオは得意分野ではない。でも、何とかなるだろうと思っていた。《ドビュッシー「アラベスク第1番」の目標管理シート》を設定したときに、「左手のアルペジオは弾けて当然(本当は大変なんだけど…)」として、目標から外したのは間違いだったかも…。

で、うまくいかない左手をじっと観察してみた結果、次のようなことが分かってきた。
  1. ①アルペジオを弾いたあと、指が開いたまま固まっている。
  2. ②最後の音(1指)から、次のアルペジオの最初の音(5指)に飛ぶのが苦手。


もう少しくわしく見てみると、①はまるで和音を弾くときのように押さえる形を保持しようとして、指に広げる力が入っている。その影響で手首も固まっている。

②は最後の音を音符の長さ分押えようとして力が必要以上に入っている。なので次の動作が遅くなる。さらに①の広げた指のまま次の5指に移動しようとしている。

つまり、指と手首の「脱力」がまったくできていなかったのだ。


「脱力」というと、「弾いている指を支えるだけしか力を入れない」とか「力を抜いて、手や腕の重みを鍵盤にかけ、その重みを移動するように弾く」とか「肩と腕を緊張させない」とか「手首を緩めて弾く」とか、実にたくさんの説明がされている。で、「弾く」ときの脱力は少しはできつつあるかと思っていた。

ところが、大きな落とし穴があった(あくまで私の場合です…)。つまり、弾いていないとき、あるいは「弾く」と「弾く」のあいだで力を抜くことである。もっというと、ポジション移動のときの脱力。

これは、たぶん子どものころからレッスンを受けてきた人は、基礎練習のなかで当たり前のように身につけているのだと思う。大人の場合も、先生についていればすぐに指摘・修正されるのだろう。


ということで、元音大生のカミさんにちょっとだけ相談してみた。そうしたら「大きな落とし穴」どころか、「脱力の基本」と笑われてしまった…。

手首に糸がついて上に引っ張られるように「ふわっと」力を抜く。これを「ゆうれい(おばけ)の手」と言って子どもには教えるのだそうだ。例えば一つのフレーズを弾き終わったら「ふわっと」「ゆうれいの手」で鍵盤から手を浮かす。この繰り返しである。


で、大人としてはなぜそれができていなかったか、少し原因分析をしてみた。

上の①は、アルペジオへの苦手意識から、和音を弾くように指の位置をできるだけ弾く音の近くに置こうとする気持ちからきていると思われる。そういえば、弾き始める前から指を広げてやや力んでいるかもしれない。

②は、次にまた同じ音型のアルペジオを弾くので、指の形を壊したくないという気持ちから来ているのだろう。

そして、①と②に共通するのは、「ふわっと」「ゆうれいの手」で浮かした状態から、次の弾くべき音(鍵盤)に指が着地できるかという不安があるような気がする。


したがって練習方法は、
  1. 弾き終わった指は脱力し、指を広げた形を保持しない(ゆるめる)
  2. 一つのアルペジオの終わりで「ふわっと」「ゆうれいの手」を作る

だけではなく、
  1. 「ふわっと」「ゆうれいの手」から次の音を確実に押さえる練習をする

ことも必要となる。


3.はポジションの移動と、単音だけでなく和音も含まれる。これができるようになれば、フレーズとフレーズのつなぎとか、大きなポジション移動とかにも効果があるのではないだろうか。

まあ、とりあえずはアラベスクのアルペジオを確実に弾けるように練習しなくては…。



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