2014年6月11日水曜日

【ピアニスト】エレーヌ・グリモー:現代曲に期待したい

『現代のピアニスト30』人から、今日はエレーヌ・グリモー。この人、実は「知らないピアニスト」ではなかった。狼と一緒に暮らすピアニストとして、テレビで紹介されたのを観たことがある。演奏も何度か聴いているはずだが、あまり印象に残っていない。

あらためて、いくつかの演奏を聴いてみたが、得意とするドイツ・ロマン派もいいが、現代ピアノ曲があっていると思った。





■ エレーヌ・グリモーのプロフィール

Wikipedia「エレーヌ・グリモー」より一部編集して引用する。

エレーヌ・グリモー(Hélène Grimaud, 1969年11月7日~)

フランスのピアニスト。ユダヤ系の言語学者の家庭に生まれる。9歳でエクサンプロヴァンスの音楽院に入学、J・クルティエに師事。その後、マルセイユでピエール・バルビゼに師事。1982年、13歳でパリ国立高等音楽院に入学。ピアノをジャック・ルヴィエ、室内音楽をジェヌヴィエーブ・ジョワに学ぶ。

1984年録音デビュー。1985年ラフマニノフの《ピアノソナタ第2番》でモントルーのディスク大賞を受賞。同年、パリ音楽院研究科に進みジェルジ・シャーンドル、レオン・フライシャーに学ぶ。1986年エクサン・プロヴァンス音楽祭に出演。1987年よりソリストとしてパリで活動に着手し、ダニエル・バレンボイム指揮のパリ管弦楽団と共演。1990年クリーヴランド管弦楽団の招きで北米デビュー、翌年21歳でアメリカ合衆国に移住。

フランス人であるが、フランス近代音楽にさして興味がないこと、ドイツ・ロマン派音楽にとりわけ魅了されることを明言している。ラフマニノフ以外のレパートリーは、ベートーヴェン、シューマン、ブラームス、ラヴェルのピアノ協奏曲のほか、リヒャルト・シュトラウスの《ブルレスケ》と、ブラームスの後期小品集がある。ショパンについては、来日した際にポリーニの演奏を聴いたことをきっかけとして演奏するようになった。

両親は共に大学教授。本人は大学で動物生態学を学ぶ。1999年、ニューヨーク・ウルフ・センターを設立。ニューヨーク州郊外で野生オオカミの保護活動に取り組むようになる。現在はニューヨークでの生活の一方で動物学を学び、オオカミの生態を研究しながら、その養育を続けている。共感覚の持ち主としても知られる。著書『野生のしらべ』を上梓した。


■ エレーヌ・グリモーのYouTube音源

※追記@2022/04/05:無くなってる動画が多い…


嫌いな演奏ではない。第2楽章がやや流れすぎのような気はする。第3楽章はフーガも「嘆きの歌」もなかなかいい。ただ、ベートーヴェンの場合、私自身の期待値が高いので、もう少し厚みというか深みがほしいと思う。


指揮はクラウディオ・アバド。それなりに迫力があっていいと思うが、引き込まれるほどではない。



バッハ-ブゾーニの「シャコンヌ」。たぶん初めて聴く曲だが、「今日のコンサート・ピアニストのレパートリーに欠かすことのできない」曲であるらしい。

原曲は、バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番BWV.1004の最終楽章。ルービンシュタインが「ピアノ音楽の傑作である」と評したほどの「ピアノ曲」になっているようだ。今回聴いた中では、一番気に入った演奏である。


上の「シャコンヌ」がよかったので、バッハの平均律を聴いてみた。これはちょっと「ロマン派」的で、好みの演奏ではなかった。



少し前に練習したショパンの「雨だれ」。第一印象としては「普通」。

♪ Rachmaninov : Piano Sonata No. 2 Op. 36 (Hélène Grimaud) ※動画なし@2022/04/05

最初に評価されたのがラフマニノフの協奏曲だということで、ラフマニノフのソナタも聴いてみた。悪くはないが、曲自体があまり好みではない。

♪ Liszt : Piano Sonata S. 178 (Hélène Grimaud) ※動画なし@2022/04/05

リストの演奏の中では好きなタイプの演奏である。派手すぎず、でもピアニスティックなメリハリもあって、個人的には「ちょうどいい?」リスト、という感じ。

♪ Schumann : Piano Sonata No. 1 Op. 11"Grosse Sonate" (Hélène Grimaud) ※動画なし@2022/04/05

シューマンはあまり聴かないし、好きな曲というのもほとんどないのだが、このメリハリのある演奏は気に入った。「ドイツ・ロマン派音楽に魅了されている」という本人の言葉を裏付けるような好演である。


♪ Bartók : Romanian Folk Dances For Piano BB. 68 (Hélène Grimaud) ※動画なし@2022/04/05

バルトークの「ルーマニア民俗舞曲」、6曲の小品からなる曲集である。舞曲という理由もあるかもしれないが、活き活きとしたいい演奏だ。グリモーはこういう曲の方があっているのではないかと思う。

Alban Berg - Piano Sonata Op. 1 (Hélène Grimaud) ※動画入替え@2022/04/05

アルバン・ベルクの作品1.のピアノ・ソナタである。シェーンベルクのもとで作曲を勉強している時代(初期)の作品である。聴くのは初めてだが、曲も演奏もなかなかいい。グリモーは、もしかすると現代曲の方があっているかも知れない。


■ 感想・お気に入り度

レパートリーがかなり広い(YouTube音源が多い)ので、なかなかひと言では言い表せないのだが、全体としては演奏のレベルはかなり高いと思う。が、これだ!というものが見つかったわけではない。

曲と演奏の組合せで一番よかったのはバッハ-ブゾーニの「シャコンヌ」。バルトークとベルクもお薦めだと思う。シューマンも、今までに聴いた演奏よりはいいと思う。直感的には(本人の好きな)ドイツ・ロマン派よりは、現代曲の方があっているのではないかという印象。


音色としては、「深みのある低音、真珠を転がすような高音」というよりは、低音・高音ともにバネのあるはっきりとした「ピアニスティック」な響きである。やや男性的な印象を受けるが、曲によってはもう少し「重み」がほしいと感じることもある。

とりあえず、「お気に入り」入りは保留。ただし、現代曲の演奏者としては、候補にしておきたいと思う。もっと近現代のピアノ独奏曲を弾いてくれるといいのだが。



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