往年の巨匠スヴャトスラフ・リヒテル(Sviatoslav Richter、ウクライナ、1915 - 1997)の名演奏が残っている。
タイトルの「カプリッチョ」は「奇想曲」という意味ではなく「他に分類しようのない自由な作品」というニュアンスを表している。
バッハの初期作品にはもう 1曲「カプリッチョ」というタイトルを持つものがある。「最愛の兄の旅立ちに寄せて」という副題を持つ有名な作品 BWV992 である。
YouTube でピアノ演奏を探すと、嬉しいことにリヒテルの演奏が見つかった。初期作品では初めてお目(耳)にかかった名演奏かも知れない。複数の録音があるようだ。
これ(↓)は楽譜の表示付き動画。
アンジェラ・ヒューイットの演奏もあるが、リヒテルには敵わない(と私は思う)。
「J.S.バッハ : 鍵盤のための作品全集」に取り組んでいるバンジャマン・アラール(Benjamin Alard、仏、1985 - )はオルガンで弾いている。この曲は最後の方に "Pedal" という指示があるのでオルガンを選んだのかも知れない。
おまけ。YouTube ではルドルフ・ゼルキン(Rudolf Serkin、ボヘミア、1903 - 1991)の演奏も見つかった。ところが聴いてみると、これが何と BWV992 の「カプリッチョ」、「最愛の兄の旅立ちに寄せて」の方だ。この「兄」は次兄のヨハン・ヤーコプ・バッハ。
調べてみると、元の CD から間違っているようだ…(^^;)。
『💿BBCレジェンズ・グレート・レコーディングス 第3集』(20CD)というのが 2022年にリリースされていて、この中の Disc 13 に「BWV993」として収録されている。さらに元をたどるとこの CD(↓)かも…。表紙にもしっかり「BWV993」と書いてある。
なお、『バッハの鍵盤音楽』の第5章「初期のフーガ」に含まれる作品は下記。
- BWV896 前奏曲とフーガ イ長調
- BWV949 フーガ イ長調
- BWV993 カプリッチョ ホ長調
- BWV947 フーガ イ短調
- BWV955 フーガ 変ロ長調
- BWV954 フーガ(ラインケンの主題による)変ロ長調
- BWV946 アルビノーニの主題によるフーガ ハ長調
- BWV950 アルビノーニの主題によるフーガ イ長調
- BWV951 アルビノーニの主題によるフーガ ロ短調
- BWV957 フーガ ト長調《神よ、慈しみをもって扱いたまえ》
- BWV533a 前奏曲とフーガ ホ短調
- BWV588 カンツォーナ ニ短調
📘『バッハの鍵盤音楽』(小学館、2001年、デイヴィッド・シューレンバーグ 著)
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