バッハの初期作品にときおり見られる「型破りなほどヴィルトゥオーソ的で即興的な作品」の好例。力作と言ってよい。「幻想曲」と呼ばれることもある。
『バッハの鍵盤音楽』の第6章「種々の初期作品」では、バッハの創作初期(主に 1703〜1713年)の作品のうち、第5章のフーガ、第7章のトッカータ以外のものが扱われている。
幻想曲やソナタなど多彩な曲があるが、多くは17世紀の合奏ソナタと関連している。いくつもの部分が繋げられた形をしており、そのうち一つはフーガである点が共通している。
この「前奏曲」ハ短調は「アンドレーアス・バッハ本」(兄ヨハン・クリストフの楽譜帖)に含まれている。
単純な進行を鍵盤楽器で即興演奏する際にどのように展開されていくのか…をカタログ化したような作品とも言われるが、若き演奏家としてのバッハの情熱が感じられる作品でもある。
この作品は初めて聴いたのだが、意外に?人気がある曲のようで色んなピアニストが録音している。スヴャトスラフ・リヒテルとシプリアン・カツァリスがいい感じ ♪
冒頭の和音+ "arpeggiando" というのをどういうアルペジオにするかという違いも面白い。
リヒテル:
カツァリス:
これ(↓)はチェンバロによる演奏。弾いているのはヴィオレーヌ・コシャール(Violaine Cochard)という人。
なお、『バッハの鍵盤音楽』の第6章「種々の初期作品」に含まれる作品は下記。
- BWV921 前奏曲 ハ短調
- BWV922 幻想曲 [前奏曲] イ短調
- BWV917 2つの主題による幻想曲 ト短調
- BWV963 ソナタ ニ長調
- BWV967 ソナタ イ短調
- BWV992 カプリッチョ《最愛の兄の旅立ちに寄せて》
- BWV965 ラインケンによるソナタ イ短調
- BWV966 ソナタ ハ長調
- BWV989 アリアと変奏 イ短調
📘『バッハの鍵盤音楽』(小学館、2001年、デイヴィッド・シューレンバーグ 著)
✏️バッハ :前奏曲(幻想曲) ハ短調 BWV 921(PTNAピアノ曲事典)
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