バッハが長年にわたって改訂し続けたという、お気に入りの曲だったかも…。
バッハが、アルビノーニの『トリオ・ソナタ集』Op.1(ヴェネツィア, 1694)から主題を借用したフーガには BWV946、950、951 の三つがある。この BWV951 の初期稿 BWV951a は BWV950 とほぼ同時期に作られたものと考えられている。
バッハはこの作品を後に徹底的に改訂(分解修理)しており、BWV951 では初期稿の「旧式のカデンツ定型、執拗な音型、こなれていない対位法」などが大きく改善されている。
また、多くの筆写譜が BWV951a と 951 の両方を含んでおり、バッハの「改訂」内容に感心を持った音楽家がいたことを示している。
なお、筆写譜の中には前奏曲 BWV923 を付したものがいくつか存在する。バッハによるものではないと思われるが、そういう組み合わせで演奏されていたと想像される。
トマゾ・アルビノーニ(Tomaso Albinoni、ヴェネツィア、1671 - 1751)は、バロック音楽の作曲家、ヴァイオリニスト。生前はオペラ作曲家として著名であったが、今日はもっぱら器楽曲、特にオーボエ協奏曲の作曲家として知られている。
作品 1 の『トリオ・ソナタ集』には 12曲が含まれている。バッハが借用したのは BWV946 が第12番第4楽章、BWV950 が第3番第2楽章、BWV951 が第8番第2楽章である。
この BWV951 の元になった第8番第2楽章(Allegro)は下記。
♪ Albinoni: Trio Sonatas Op.1 (Full Album)(タイムスタンプ 54:30〜)
この作品も BWV950 と同じく、グールド、カツァリス、コルネリア・ヘルマンが録音したものがある。どれもそれぞれに良さがあると思うので、三つ並べておく。
なお、ヘルマンは前奏曲 BWV923 と合わせて演奏している。この曲に関しては、ヘルマンの流れるようなピアノの響きが一番気に入った…かな…(^^)♪
グレン・グールド(Glenn Gould、カナダ、1932 - 1982):
シプリアン・カツァリス(Cyprien Katsaris、仏、1951 - ):
チェンバロは、ピエール・アンタイ(Pierre Hantaï、仏、1964 - )の演奏があったので聴いてみた。この落ち着いた感じの演奏もなかなかいいと思う ♪
なお、『バッハの鍵盤音楽』の第5章「初期のフーガ」に含まれる作品は下記。
- BWV896 前奏曲とフーガ イ長調
- BWV949 フーガ イ長調
- BWV993 カプリッチョ ホ長調
- BWV947 フーガ イ短調
- BWV955 フーガ 変ロ長調
- BWV954 フーガ(ラインケンの主題による)変ロ長調
- BWV946 アルビノーニの主題によるフーガ ハ長調
- BWV950 アルビノーニの主題によるフーガ イ長調
- BWV951 アルビノーニの主題によるフーガ ロ短調
- BWV957 フーガ ト長調《神よ、慈しみをもって扱いたまえ》
- BWV533a 前奏曲とフーガ ホ短調
- BWV588 カンツォーナ ニ短調
📘『バッハの鍵盤音楽』(小学館、2001年、デイヴィッド・シューレンバーグ 著)
✏️トマゾ・アルビノーニ(Wikipedia)
※ PTNAピアノ曲事典では BWV923 を「幻想曲」と書いているが「前奏曲」が正しい。また BWV951a を「後期稿」としているが「初期稿」の間違いだと思われる。複数の解説記事と書籍『バッハの鍵盤音楽』で BWV951a は "early version"(初期稿)となっている。
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