《鍵盤音楽史:現代》 53(+2)人目の作曲家は、トーマス・アデス(Thomas Adès, 英, 1971-)。
2018年リーズ国際ピアノコンクールの課題曲に選ばれた 9人の現代作曲家の一人で、そのとき初めて聴いてわりと気に入った作曲家&ピアニスト&指揮者。
今回改めてほとんどのピアノ作品を聴いて、さらに気に入った ♪ 作風がどうのこうのという前に、魅力的な作品が多い。ピアニストでもあるので、美しいピアノの響きを十分に引き出していながら、実にしっかりした構築力も感じる。
トーマス・アデスは、1971年ロンドンに生まれる。Guildhall School of Music & Drama と King’s College, Cambridge でピアノ・作曲などを学ぶ。
3本のオペラ作品「パウダー・ハー・フェイス」(1995)、「テンペスト」(2003)、「皆殺しの天使」(2016)で高く評価されている。指揮者としてニューヨーク・フィル、ロサンゼルス・フィル、ボストン響、ロイヤル・コンセルトヘボウ管、ロンドン響など多くの世界的なオーケストラを指揮するほか、ピアニストとしてもニューヨーク・フィルなどと協奏曲を共演、カーネギーホールやバービカンセンターなどでリサイタルも行っている。
現在、最も称賛され、最も演奏機会の多い現代作曲家の一人とされ、「ブリテンの再来」などと称されることもある。
ピアノ関連作品は下記。出典✏️Thomas Adès/ Works(Faber Music)
ピアノソロ作品
- Darknesse Visible: 1992
- Still Sorrowing: 1992
- Traced Overhead: 1996
- Mazurkas: 2009
- Concert Paraphrase on Powder Her Face: 2009
- Thrift: 2011
- Concert Paraphrase on Powder Her Face (2pf): 2015
- Blanca Variations: 2015
- Souvenir from the film “Colette”: 2018
- Berceuse from The Exterminating Angel: 2018
- Az ág (The Branch): 2022
ピアノ協奏曲など
- Concerto Conciso (pf & chamber ensemble of 10 players): 1997
- Piano Quintet: 2000
- In Seven Days: 2008
- Concerto for Piano and Orchestra: 2018
YouTube には CD のプレイリストがいくつかある。
♪ Thomas Adès: In Seven Days(プレイリスト)
ここでは、キリル・ゲルシュタインとトーマス・アデスのデュオも聴くことができる ♪ 元の CD と収録曲は下記。オーケストラは、アデス自身が指揮するタングルウッド・ミュージック・センター・オーケストラ。
✏️トーマス・アデス: イン・セブン・デイズ(Tower Records)
- 「パウダー・ハー・フェイス」によるパラフレーズ~2台ピアノのための
- 「皆殺しの天使」から子守歌
- マズルカ
- イン・セブン・デイズ~ピアノと管弦楽のための
これ(↓)は、台湾出身の若手ピアニスト Han Chen によるソロ作品集。
♪ Thomas Adès: Piano Works(プレイリスト)
✏️アデス: ピアノ・ソロ作品集(Tower Records)
収録曲:
- 歌劇《彼女に化粧を》による演奏会用パラフレーズ(2009)
- スティル・サロウイング Op.7(1992)
- ダークネス・ヴィジブル(1992)
- ブランカ変奏曲(2015)…世界初録音
- トレースド・オーヴァーヘッド Op.15(1996)
- ピアノのためのマズルカ集 Op.27(2009)
- 思い出(2018)
2018年のピアノ協奏曲(↓)。たぶん、初演の録音と思われる。
ピアノ:キリル・ゲルシュタイン
トーマス・アデス指揮 Boston Symphony Orchestra
初演を収録した CD は下記。
✏️トーマス・アデス自作自演!ボストン響がゲルシュタインのために委嘱した“ピアノと管弦楽のための協奏曲”世界初演を収録!(Tower Records)
ちなみに、今年10月に日本初演を行ったのは角野隼斗(かてぃん)くんと飯森範親さんが指揮するパシフィックフィルハーモニア東京。
オラフソンのためにも "Az ág (The Branch)" という短い曲を書いていて、CD『From Afar』に収録されている。
それから、映画音楽も手がけていて、これ(↓)は "Colette"(2018年)という映画に使われた曲の一つ。
映画 "Colette" のサウンドトラック CD(+α) はこれ(↓)。
主な参考記事は下記。
✏️Thomas Adès(Faber Music)
✏️アデスを知るための5つのキーワード(コンポジアム2020)
✏️トーマス・アデス インタビュー 「作曲とは本質的に混沌としたもの」(コンポジアム2020)
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