《鍵盤音楽史:現代》 50(+2)人目の作曲家は、ブレット・ディーン(Brett Dean, 豪, 1961-)。
2018年リーズ国際ピアノコンクールの課題曲に選ばれた 9人の現代作曲家の一人。そのときの課題曲は "Hommage à Brahms"(ブラームスを讃えて)という作品。
ブレット・ディーンはオーストラリアのブリスベンで生まれ育った。グリフィス大学クイーンズランド音楽学校でヴァイオリンとヴィオラを学び、1982年に卒業。
ヴィオラの名手としても有名で、ベルリン・フィルに 1984年から 14年間在籍した。ヴィオラ協奏曲(2004)も作曲し自ら初演している。
作曲を始めたのは 1988年。2006年作曲のヴァイオリン協奏曲 "The Lost Art of Letter Writing" が 2009年のグロマイヤー作曲賞を受賞している。
ヴィオラ奏者としてソロや室内楽で、また指揮者としても活躍している。
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作曲を始めたのは 1988年。2006年作曲のヴァイオリン協奏曲 "The Lost Art of Letter Writing" が 2009年のグロマイヤー作曲賞を受賞している。
ヴィオラ奏者としてソロや室内楽で、また指揮者としても活躍している。
ピアノ関連作品は下記。出典:✏️Brett Dean ピアノ作品(Boosey & Hawkes)
ピアノソロ作品
- Don't Wake Mother: 1992/2017
- Equality (with speaking part): 2004
- Prayer (with speaking part): 2005
- Etude: Hommage à Janácek: 2009
- Prelude and Chorale: Hommage à Bach: 2009/2010
- Etude: Hommage à Kurtág: 2010
- Etude: Hommage à Brahms: 2013 *1
- Engelsflügel 1
- Hafenkneipenmusik
- Engelsflügel 2
- Etude: Hommage à Lutoslawski: 2017 *2
- Variation for Rudi: 2019 *3
*1 3つの小品をブラームス『4つの小品 Op.119』の各曲の間で弾くことを想定
*2 2016年に亡くなったアメリカの作曲家 Steven Stucky に捧げる "tribute project" の一曲として作られた。
*3 ベートーヴェンの生誕250年を記念してブッフビンダーが行った「ディアベッリ・プロジェクト」で委嘱された 11曲のうちの 1曲
参考✏️ルドルフ・ブッフビンダー:ディアベッリ・プロジェクト(Universal Music)
ピアノ協奏曲
- Gneixendorf Music – A Winter Journey for piano and orchestra : 2019
ピアノを含む室内楽
- Night window (Clarinet, piano, viola): 1993
- Voices of angels (Piano Quintets): 1996
- Huntington Eulogy (Cello with piano): 2001
- Imaginary Ballet (Piano and String Trio)
- Rooms of Elsinor (Viola with piano)
- Seven signals (Clarinet, piano, violin, cello)
YouTube の音源はあまり多くはない。
ところが、"Equality" という、途中でピアニストが叫ぶ("solo piano with speaking part")曲はなぜか人気があるようで、いくつかの音源が上がっている。下記はシドニー国際ピアノコンクールの動画。
ブラームス『4つの小品 Op.119』の各曲の間で演奏される "Etude: Hommage à Brahms" は、下記のプレイリストの最後(24曲目〜)に入っている。ピアニストはイスラエルのオリ・シャハムという人。ヴァイオリンのギル・シャハムの妹。1975年生まれ。
ピアノ:Orli Shaham
元の CD は下記。
その他 YouTube で見つけたピアノ曲は "Etude: Hommage à Lutoslawski" くらい。
♪ Gloria Cheng plays Brett Dean plays Hommage à Lutosławski
ピアノ:Gloria Cheng
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ピアノ:Jonathan Biss
ピアノ:Gloria Cheng
ピアノ協奏曲は 3年前に作られた "Gneixendorf Music – A Winter Journey for piano and orchestra" 1曲のみ。アメリカのピアニスト Jonathan Biss によって委嘱されたもの。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」とともに演奏されることを想定した作品。ベートーヴェンからの引用も聴こえてくる。聴いた中では一番気に入った曲かも…(^^)♪
David Afkham 指揮 Swedish Radio Symphony Orchestra
3つの楽章は、ベートーヴェンの逸話などにちなんだタイトルが付けられている。
- That sounds like a breaking axle
- Difficult decisions. Must it be?
- Applause my friends, the comedy is over
第1楽章では、ベートーヴェンの難聴による孤立を表現するために "muffled upright piano" が使われている。オーケストラもベートーヴェンのピアノ協奏曲とほぼ同じ編成。
なお、"Gneixendorf"(グナイクセンドルフ)というのは、ベートーヴェンの弟ヨハンの家があった場所。1826年に一時滞在し「第九」交響曲の写譜を修正したりしている。ここからウィーンに帰る途中で体調を崩したベートーヴェンはその 3ヶ月ほど後に死去している。
主な参考記事は下記。
✏️Gneixendorf Music – A Winter Journey(Wikipedia/英語)
✏️ブレット・ディーンが2009年グロマイヤー作曲賞受賞(2008/12/4, ショット・ミュージック)
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