《鍵盤音楽史:現代》 54(+2)人目の作曲家は、レーラ・アウエルバッハ(Lera Auerbach, 露, 1973-)
。
6年ほど前に雑誌「音楽の友」の記事(東京・春・音楽祭で来日)で初めて知った作曲家・ピアニスト・詩人・作家・美術家。最近では指揮もやっているようだ。
レーラ・アウエルバッハは 1973年、旧ソ連のチェリヤビンスク生まれ。1991年に旧ソ連を脱出し、ジュリアード音楽院でヨーゼフ・カーリヒシュタインにピアノを、ミルトン・バビットに作曲を学ぶ。さらに、ハノーヴァー高等音楽院で独奏者過程修了、コロンビア大学で比較文学を学ぶ。ノーベル文学賞にノミネートされたこともある。
作曲家として、オペラ、バレエ、管弦楽、室内楽等、100作余りがすでに出版され、世界各地のオペラハウス、オーケストラ、指揮者、演奏家、振付家等と仕事を重ねている。
ヴァイオリニスト諏訪内晶子とは、ジュリアード音楽院、コロンビア大学で同時期に学んだ仲で、アウエルバッハは諏訪内のためにヴァイオリン協奏曲も書いている。
ピアノ関連作品は下記。出典✏️List of compositions by Lera Auerbach(Wikipedia/ 英語)等
ピアノソロ作品
- 1986: Fantasia
- 1992: Memento Mori
- 1994/1999: Chorale, Fugue, Postlud
- 1999: 24 Preludes
- 1999: 10 Dreams
- 2000: Images From Childhood
- 2005: Sonata No. 1 "La Fenice"
- 2006: Sonata No. 2 "Il Segno"
- 2007: Ludwig's Nightmare
- 2011: Milking Darkness
- 2016: Sakura No Yume (Sakura Dreams)
- 2018: Labyrinth
- 2019: Diabellical Waltz
ピアノを含む協奏曲
- 1997: Double Concerto: Vn, Pf, Orch
- 2001: Suite Concertante. Concerto Grosso No. 1: Vn, Pf, String Orch
- 2002: Serenade For A Melancholic Sea: Vn, Vc, Pf, String Orch
- 2015: Concerto No. 1 "Only Through Time Time Is Conquered": Pf, Orch
- 2017: Twofold Dream. Concerto Grosso No. 5: Vn, Pf, Orch
- 2019: Symphony No. 4 "Arctica": Pf, Mixed Choir, Orch
ピアノを含む室内楽
- 1992/1996: Piano Trio No. 1
- 1999: 24 Preludes: Vn, Pf
- 1999: 24 Preludes: Vc, Pf
- 1999: Postlude: Vn, Pf
- 2000: Sonata No. 1: Vn, Pf
- 2001: Oskolki: Vn, Pf
- 2001: Sonata No. 2 "September 11": Vn, Pf
- 2002: Sonata No. 1: Vc, Pf
- 2003: Sonata No. 1: Vc, Pf
- 2005: Sonata No. 3: Vn, Pf
- 2006: Postlude: Vc, Pf
- 2006: Postscriptum: Vn, Vc, Pf
- 2008: Six Preludes: Double Bass, Pf
- 2009: Postscriptum: Vn, Vc, Pf
- 2009: Job's Lament: Vn, Pf
- 2010: Speak, Memory: Vn, Pf
- 2011: Piano Trio No. 2 "Triptych - This Mirror Has Three Faces"
- 2013: Sonata No. 1 "Arcanum": Va, Pf:
- 2013: Piano Trio No. 3
- 2014: Trio For Vn, Horn, Pf
- 2016: Sakura No Yume (Sakura Dreams): Va, Pf
- 2017: Piano Trio No. 4
- 2018: 24 Preludes: Va, Pf
- 2019: Sonata No. 4 "Fractured Dreams": Vn, Pf
YouTube には、アウエルバッハ自身が演奏した CD のプレイリストがある。この「24の前奏曲」は素晴らしいと思う ♪ とくに気に入ったのは 16番、18番、24番。
♪ Auerbach: Preludes and Dreams(プレイリスト)
- 24の前奏曲 Op.41 (1999)
- 10の夢 Op.45 (1999)
- コラール、フーガと後奏曲 Op.31 (1994/2003)
Ksenia Nosikova(クセニヤ・ノーシコワ)というピアニストが弾いているピアノ曲集も聴き応えがある。ただ、2つのピアノソナタはやや重くて、私はまだ消化不良…(^^;)。「幼年時代の映像」(Images From Childhood)はちょっと面白いかも…。
♪ Auerbach: Piano Works(プレイリスト)
✏️Auerbach:Flight and Fire:Piano Works:Ksenia Nosikova(p)(Tower Records)
収録曲:
- 幻想曲 (1986)
- 「死を想え(メメント・モリ)」 (1996)
- ピアノソナタ 第1番「不死鳥」 (2006)
- ピアノソナタ 第2番「しるし」 (2006)
- 幼年時代の映像(子供のための12 の小品) (2000)
その他いくつかの音源。ピアノ協奏曲を聴いてみたかったが音源が見つからず…。
"Ludwig's Nightmare" という曲(↓)、なかなかいい感じ ♪
「さくらの夢」(↓)という曲は、2016年来日時、『東京・春・音楽祭』のコンサート前夜に作曲したもの。「さくらさくら」がベースになっている。
"Labyrinth" は 12曲(約50分)からなる作品だが、YouTube では 前半 6曲を演奏したもの(↓)しか見つからなかった。いい感じの曲なので全曲聴いてみたいが…。
"Diabellical Waltz"(↓)は、ブッフビンダーの依頼により新しく作曲された「ディアベリ変奏曲」の一つ。→《ディアベリ変奏曲11曲の新作追加:ブッフビンダーのプロジェクト》
おまけ。アウエルバッハは室内楽の作品が多く、「24の前奏曲」もピアノだけでなく、ヴァイオリンとピアノ、チェロとピアノ、ビオラとピアノと作っている。
試しに「チェロとピアノ」の作品を聴いてみたが、なかなかにいい感じだ ♪ ときおり、昔の作曲家のフレーズを感じさせるところが出てきたりして面白い。例えば 5番は、一瞬バッハの無伴奏チェロの響きを感じさせながらすぐに「現代」が登場する…(^^;)。
主な参考記事は下記。
✏️Lera Auerbach(Wikipedia/ 英語)
✏️Lera Auerbach(公式サイト)
✏️ロシア・ピアニズムの伝統を受け継ぐ鬼才──レーラ・アウエルバッハ(東京・春・音楽祭/ 文・伊熊よし子)
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