《鍵盤音楽史:現代》 51(+2)人目の作曲家は、トーマス・ラルヒャー (Thomas Larcher, オーストリア, 1963-)。
2018年リーズ国際ピアノコンクールの課題曲に選ばれた 9人の現代作曲家の一人。
トーマス・ラルヒャーは、1963年インスブルック生まれの作曲家、ピアニスト。ウィーン国立音楽大学で、ハインツ・メジモレツとエリザーベト・レオンスカヤにピアノを、エーリヒ・ウルバンナーに作曲を学んだ。在学中から現代音楽のピアニストとして知られるようになった。
ラルヒャーはロンドン・シンフォニエッタ、アルテミス弦楽四重奏団、ハインリヒ・シフ、マティアス・ゲルネ、ティル・フェルナー、ウィーン放送交響楽団、サンフランシスコ交響楽団等のために数多くの作品を書いている。
作風はオクターブやメロディーが素直に出ており、ピアニストとして弾いていた現代作品とは趣が違うようだ。ECMと契約してからオーケストラからの人気や人望は厚く、大編成での仕事をつぎつぎとこなしている。
ピアノ関連作品は下記。出典:✏️Thomas Larcher(Wikipedia/英語)
ピアノソロ作品
- Klavierstück: 1986
- Naunz: 1989
- Noodivihik: 1992
- Antennen-Requiem für H. : 1999
- Smart Dust: 2005
- What Becomes: 2009
- Poems: 2010
(12 pieces for pianists and other children) - Innerberger Bauerntanz: 2012
- Movement: 2019
ピアノ協奏曲
- Böse Zellen: 2006/2007
- Piano Concerto: 2020–2021
ピアノを含む室内楽
- Kraken(ピアノ三重奏曲): 1994–1997
YouTube で一番充実している音源は、タマラ・ステファノヴィチが弾く CD(↓)のプレイリストかも知れない。Smart Dust (2005)、Poems (1975-2010)、What Becomes (2009) は世界初録音。
✏️Thomas Larcher: What Becomes(Tower Records)
収録曲は下記で、"A Padmore Cycle" のテノールは Mark Padmore。
- Smart Dust (2005)
- Poems (1975-2010)
- What Becomes (2009)
- A Padmore Cycle (2010-2011)*
YouTube のプレイリストはこれ(↓)。
ちょっと脱線するが、タマラ・ステファノヴィチはピエール=ロラン・エマールさんの弟子で、最近、メシアンの「アーメンの幻影」(2台ピアノ)を録音して、ちょっと話題になっていたりする ♪
YouTube で聴いた音源をいくつか挙げておく。
トーマス・ラルヒャー自身が弾いている "Poems" もある。
♪ Thomas Larcher - Poems. 12 Pieces for Pianists and other children (1975–2010)
ピアノ:Thomas Larcher
ちなみに、この作品は 2010年のシュパヌンゲン音楽祭で委嘱されたもので、初演したのは今年 51歳の若さで亡くなったラルス・フォークトさん。
*
♪ Thomas Larcher - Innerberger Bauerntanz for piano (2012)
ピアノ:Christopher McKiggan
ピアノ:Thomas Larcher
ちなみに、この作品は 2010年のシュパヌンゲン音楽祭で委嘱されたもので、初演したのは今年 51歳の若さで亡くなったラルス・フォークトさん。
その他、2つほどの音源があった。
♪ Thomas Larcher: Naunz (1989) for piano - Emanuele Torquati
ピアノ:Emanuele Torquati
ピアノ:Emanuele Torquati
ピアノ:Christopher McKiggan
最新のピアノ協奏曲(2021)はベルリンフィルの広告動画があった。キリル・ゲルシュタインの演奏には興味があったのだが、これを聴く限りではあまり好みの作品ではなさそうだったので、今回は全曲聴くのはパスした…(^^;)。
少し物足りないので Spotify を探したら、2枚ほど CD があった。
一つは、ラルヒャー自身が演奏しているもので、ピアノ三重奏曲 "Kraken" も入っている。
収録曲。
- Naunz
- Noodivihik
- Klavierstück
- Antennen-Requiem für H.
- Kraken
もう一つは、ピアノ協奏曲 "Böse Zellen" が収録されているもの。デニス・ラッセル・デイヴィス指揮のミュンヘン室内管弦楽団、ピアノはティル・フェルナーさん ♪
ピアノは「プリペアド」らしく、なかなか面白い作品だ…(^^)♪
ヴィオラと室内オーケストラのための「静寂(Still)」と弦楽四重奏のための「マッドハレス(Madhares)」も入っている。
✏️Thomas Larcher: Madhares(Tower Records)
全体的には、結構「現代音楽」的な要素が強く、ピアノもプリペアドや内部奏法などが多用されていて、曲によってはちょっと遠慮したいものもある…(^^;)。
…が、プリペアド・ピアノとオーケストラのための "Böse Zellen" など興味深い作品もあり、もう少し聴いてみたいと思っている ♪
主な参考記事は下記。
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