2022年11月28日月曜日

🎹P.シーボーン 1960- 一番のお気に入りはピアノ協奏曲第2番 ♪

《鍵盤音楽史:現代》 48(+2)人目の作曲家は、ピーター・シーボーン(Peter Seabourne, 英, 1960-)。

少し前にリフシッツのアルバム『トッカータとファンタジア』(バッハとシーボーンの曲を織り交ぜたもの)で初めて知った作曲家である。"Steps" というピアノ曲のシリーズを手がけている。





ピーター・シーボーンは、1960年英国生まれ。Clare College, Cambridge で Robin Holloway に、University of York で David Blake に師事する。

Benjamin Britten Prize などいくつかの賞を受賞するなど成功を収めつつあったが、1989年(29歳)ごろ、自分の作品だけでなくその当時の音楽世界(the wider contemporary music world)を嫌いになったことで、作曲から遠ざかる。

12年後の 2001年、友人のピアニスト Michael Bell からの呼びかけにより、再び作曲の筆を取ることとなり、以来 "STEPS" というピアノ小品のシリーズなどを手がけている。

主な作品には、6つの交響曲、7つの協奏曲(3つのピアノ協奏曲を含む)、そしてライフワークとも言えるピアノ作品 "STEPS" は現在 Volume 9 まで作られている。

「現代音楽」界からは一定の距離を置いているが、それでも多くの受賞や委嘱を受けており、リリースされた CD も10数枚にのぼる。世界各地での演奏機会も増えているようだ。

現在、Lincolnshire 在住。


「コンテンポラリー音楽」の「新規性」を求める風潮には懐疑的で、自分の作品に対しては次のようなコメントをしている。

"[My work] has to do with one thing only... making a subject better from its intrinsic nature." 

"My sensibility is Romantic rather than Classical. For me both emotional drive and a sense of free, organic growth are vital. I am with Mahler: music should contain all of life! My work is quite traditional in terms of genre, motif, development and perhaps also formal structures."

"One commentator said that I wilfully ignored recent stylistic trends, yet sounded distinctively modern. I hope so…."

主な出典:✏️Meet the Artist……Peter Seabourne, composer(The Cross-Eyed Pianist)


シーボーンは、「新規性」を優先する「現代音楽」の潮流(というものがあるかどうかも疑問だが…)には無関心で、ある意味「自分の感性」だけを大事にしていると言ってもいいかも知れない。

上の最後の文の、ある評論家の言葉が面白い。「意識して最近のトレンドを無視しているが、その作品には『現代性』が感じられる」

ピアノ作品を聴いた私の感想もこれに近い。間違いなく「現代性」が感じられると思う。そのすべてが私の感性に響いてくる訳ではないが、新しい音楽に対する期待感を感じる ♪


ピアノ関連作品は下記。

ピアノソロ作品
  1. Steps V.1: An Anthology: 2001-6 
  2. Steps V.2: Studies of Invention: 2006-7 
  3. Steps V.3: Arabesques: 2008–12
  4. Steps V.4: Libro di Canti Italiano: 2009–2011 
  5. Steps V.5: Sixteen Scenes before a Crucifixion: 2013–14 
  6. Steps V.6: Toccatas and Fantasias: 2016–17 
  7. Steps V.7: Dances on the Head of a Pin: 2018–19 
  8. Steps V.8: My Song in October: 2020–21 
  9. Steps V.9: Les Fleurs de la Maladie: 2020–21 

ピアノ協奏曲
  1. Piano Concerto no.1: 2006 
  2. Piano Concerto no.2: 2006
  3. Piano Concerto no.3: 2018


これまでにリリースされたアルバムは、ほとんど YouTube で聴くことができる。私の一番のお気に入りは、やはりリフシッツの Steps V.6: Toccatas and Fantasias かな…(^^)?


Steps V.1: An Anthology
♪ Peter Seabourne: Steps, Vol. 1(プレイリスト)
ピアノ:Minjeong Shin



Steps V.2: Studies of Invention
ピアノ:Giovanni Santini



Steps V.3: Arabesques
♪ Peter Seabourne: Steps, Vol. 3 "Arabesques"(プレイリスト)
ピアノ:Michael Bell



Steps V.4: Libro di Canti Italiano
ピアノ:Fabio Menchetti



Steps V.5: Sixteen Scenes before a Crucifixion



Steps V.6: Toccatas and Fantasias
ピアノ:Konstantin Lifschitz



なお、✏️PIANO MUSIC(本人公式サイト)のページでは Vol. 7 以降の曲も聴くことができる。ただし、"computer realisations" ということのようだが…。


ピアノ協奏曲は第2番の初演映像が YouTube に上がっている。

ピアノソロ作品("STEPS")も含めて、この作品が一番好きかも知れない…(^^)♪

ピアノ:Kristina Stepasjuková
Ondřej Vrabec 指揮 Academy Orchestra of the Czech Philharmonic
@Martinu Hall in the Lichtenstein Palace, Prague on 12th March 2016


主な参考記事は下記。

✏️Peter Seabourne(Wikipedia/英文)

✏️Steps piano cycle series (Seabourne)(Wikipedia/英文)


✏️peter seabourne(Vimeo)

✏️Meet the Artist……Peter Seabourne, composer(The Cross-Eyed Pianist)



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